舞台『刀剣乱舞』鈴木拡樹 インタビュー

話題のゲームがストレートプレイに
美しき“刀剣男士”たちが躍動する!

 

“刀剣乱舞”といえば、社会現象と呼べるレベルのブームを巻き起こしたゲームとして知られている。名だたる刀剣を個性豊かなキャラクターに擬人化した“刀剣男士”たちが活躍するこのゲームの人気は、各地の博物館・美術館での名刀展示に女性ファンが押し寄せるという意外な影響も生んでいる。そんな話題作がこのたび、ストレートプレイになって上演されることに。「最初に知ったときは『モチーフが刀?』って、衝撃を受けました」と語るのは、主演の鈴木拡樹だ。

鈴木が演じるのは、天下五剣と呼ばれる名刀のなかでも最も美しいとされた刀をモチーフにした三日月宗近。ちなみに三日月は平安時代に打たれた古い刀ということで…。

鈴木 「今回の座組のなかでも最年長ですしね、要するにまあ、じじいです(笑)。今回は三日月というキャラクターはもちろん、そのモチーフである刀自体についても理解を深めていかなければ成り立たないと思って取り組んでいます。あと、この作品で課題として考えているのが、狩衣(かりぎぬ=平安時代の公家の服)の衣裳を着ての身のこなし。狩衣を着たときの所作というとどうしても堅苦しい感じになりそうなんですけど、三日月というキャラクターに合う狩衣のさばき方もきちんと考えなくちゃいけないなって。三日月というキャラクターが舞台上で生きているってことなので、彼の性格だけでなく、動作や行動のひとつひとつにも思いを巡らせて作っていけたらと思います」

 

そして今作で脚本・演出を担当するのは、舞台『K』などを手がける末満健一。鈴木が「原作が本来持っている魅力や、ファンが裏切ってほしくないポイントを押さえたうえで、実写化でしかできないことを見せられる方」と評し信頼を寄せる末満の演出のもと、2.5次元作品を中心に活躍する人気若手俳優たちが刀剣男士となってゲームの世界から飛び出す形となる。

鈴木 「キャストの半分くらいの方々とは共演もしているし、安心感がありますね。僕にとっては古い付き合いの(椎名)鯛造くんを含めてみんなやりやすい感じのメンバーなので、一緒にいいものが作れるんじゃないかと。まだ鯛造くんの役柄が発表されてないんですけど、それは乞うご期待!ってことで……舞台ですし、オリジナルキャラクターになるっていう可能性だってありますしね?」

 

その椎名と共演した初主演作にして代表作といえる「最遊記歌劇伝-Go to the West-」(2008年)など、舞台デビュー以来、シリーズものを数えると20作近い2.5次元作品に出演してきた鈴木。それでも2.5次元作品への思いはまだまだ尽きないという。

鈴木 「2.5次元と呼ばれるもの自体がまだ発展途上で、僕らの世代だけできちんとした文化になるかと考えると、結構厳しいんじゃないかと思うんです。だから次の世代にこれを残していくのだとしたら、今こういう作品に取り組んでいる僕らが協力したり試行錯誤した結果を残していかないと。何十年後かには日本の文化のひとつとして世界的に知られるレベルの強いコンテンツになるように……と考えると、僕自身でもまだまだやってみたいことがいろいろあります。あんまりそういうことを語るタイプじゃなかったんですけど(笑)、鯛造くんだとかを筆頭に役者同士で“このジャンルは受け継いでいかなきゃいけないよね”って話すこともありますし。最近では舞台にプロジェクションマッピングやLEDが使われたりするケースもあって、より3Dのシーンが想像しやすくなってきたり、いろいろな面が進化して、演出的にも選択肢が増えてきているので。まだまだいろんな可能性のあるジャンルだと思うんです。

 

そんな状況のなかでこれ以上ない話題作に挑む鈴木は、このシチュエーションを「僕にとってはプレッシャーというよりもチャンス」と意気込む。

鈴木 「これだけ注目度の高い作品に出させていただくわけで、普段舞台を観ないような方々が舞台に触れるきっかけになるかもしれないこの作品は、僕らにとっても大きなチャンス。僕自身も三日月を演じるなかで、この作品の“大きさ”を感じたいですね」

 

インタビュー・文/古知屋ジュン
構成/月刊ローソンチケット編集部 2月15日号より転載

 

【プロフィール】

鈴木拡樹
■スズキ ヒロキ ’85年、大阪府出身。「最遊記歌劇伝-Go to the West-」シリーズの玄奘三蔵役や舞台『弱虫ペダル』の荒北靖友役などでおなじみ。2月18日[木]~21日[日]には「僕のリヴァ・る」に出演。