『キレイ―神様と待ち合わせした女―』生田絵梨花 インタビュー

『キレイ』の主人公ケガレに生田絵梨花が体当たりで挑む!


おそらく、このキャスティングの第一報を耳にした誰もが驚いたことだろう。2019年版『キレイ』のヒロイン・ケガレに生田絵梨花が決まったというニュースには、それほどの意外性があった。だが衝撃を受けたのは生田本人も同じだった様子で、「オファーを聞いた時は、えっ!?って10回くらい言いました」と笑う。

生田「いろいろな感情の、え?でした。私でいいんですか?という気持ち、そこからだんだん嬉しさがこみあげてくる感じになっていって。私もミュージカルは何作か立たせていただいていますが、『キレイ』はお芝居がベースになっている作品なので、あまり体験したことがない世界に入ることになると思うんです。そしてここまで凄い方々と共演できることも貴重な経験ですから、いろいろなことを教えていただきたいなと思っています」


大人計画主宰・松尾スズキが初めて手がけるミュージカルとして大きな話題を集めた『キレイ』の初演は2000年。その後、キャストや演出を変えながら上演を重ね、進化し続けてきた傑作舞台だ。近未来のようで懐かしさをも感じさせる、“もうひとつの日本”を舞台に、すべての過去を忘れた少女が過去、現在、未来が交錯する中、奇天烈なキャラクターたちに出会い、やがて忌まわしい自分の過去を知ることになる。

初演(ʼ00年)、再演(ʼ05年)は映像で、再再演(ʼ14年)は劇場で観劇したという生田。

生田「まさか自分がケガレをやることになるとは夢にも思っていませんでした。でもやっぱり『ケガレのテーマ』はとても耳に残っていて、パンフレットに載っていた楽譜を見たり、耳コピしたフレーズを歌ったりしていました。いきなりケガレの歌から始まるのですが、そこから物語が立ち上がってくる感じがすごく好きでした。ケガレは記憶をなくしているということもあって、すべてのことに対して素直に反応してすぐ行動するし、正直になんでも口に出しちゃう。そこが純粋に見える反面、ちょっと汚く見えたりもする。いろいろな側面がある役だと思うので、今は何も決めつけず、松尾さんの演出を受けてから、このケガレという謎に包まれている少女を模索していきたいです」生田がこれまで舞台で演じてきた役柄とはまるで違う、新たな魅力が発掘されそうだ。

生田「私も、自分のどんな扉が開けられるのか、すごく楽しみなんです(笑)。今までは真っ白なイメージの役を演じることが多かったのですが、今回はたくさんの色が混じり合っているようなイメージなので。これを機に、自分のイメージを固定化させずにいろいろ崩していけたら。お芝居を1から勉強させていただくつもりで、楽しみながら参加させていただきたいと思います」


現役アイドルとして活動しつつ、こうして舞台俳優としてのキャリアも着々と積み重ねている彼女だが、乃木坂46のメンバーたちとはお互いの存在がとてもいい刺激になっているとも。

生田「『忙しそうだったりがんばっている姿を見て、自分もがんばらなきゃって思う』と言ってくれることがあるのですが、メンバーもそれぞれモデルとか女優のお仕事をしています。私自身も、そういうみんなの姿に力をもらって、自分にできることを精一杯がんばろうと思える。お互いに、高めあっていけているように思います。今回の舞台の話をしたら、メンバーもみんな揃って『観に行きたい!』って言ってくれているんですよ(笑)」

 

インタビュー・文/田中里津子
Photo/山本倫子

衣装:
ワンピース
¥29,000
JILLSTUART  /   JILLSTUART  青山店

 

※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
生田絵梨花
■イクタ エリカ 乃木坂46のメンバー。女優としても活躍し、第44回菊田一夫演劇賞を受賞。来年3月にはミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~』に出演予定。