ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』《花》 中島かずき インタビュー 〈前編〉

進化した『髑髏城の七人』が
観客を新たな体験へ誘う

 

客席を取り囲んだドーナツ状のステージが特徴的な「IHIステージアラウンド東京」という新劇場で、2017年3月より劇団☆新感線の代表作『髑髏城の七人』のロングラン公演が行われる。オランダで誕生した画期的なシステムを採用した当劇場での上演にあたり、作品の生みの親である劇作家・中島かずきはどのような想いを抱いているのだろう。

中島「僕自身、オランダで体験するまで『アトラクション的感覚を刺激する劇場なのかな?』と予想していたのですが、実際は〈芝居をしっかり見せるシステム〉として機能していて、作品世界が作り出すドラマの中へ入って行く感覚がある。今まで感じたことのない一体感を与えてくれる空間なので、我々としても全く新しい挑戦が出来ると思っています。ひょっとしたら、このシステムを使って世界一面白い芝居を作れるのは新感線かもしれない、なんてことも考えました。幸いなことに、今のところオランダと日本にしかない劇場なので大きなことが言えるのですが(笑)」

 

世界では二番目、アジアでは初となる劇場機構を、私達観客はどのように楽しむべきなのか?

中島「360度囲まれていると言っても、お客様自身がキョロキョロ見渡す必要はなく、目の前にあるものを観て下されば良い訳です。その意味では普通の劇場と同じですし、特に身構える必要はありません。『髑髏城の七人』はポイントとなる大きなシーンが三つ程なので、巨大なセットの中を行き来したり、走り抜けたり出来るこの劇場にはぴったりの作品だと思う。『髑髏城の七人』の進化形をお見せするつもりですので、ファンの方々には〈お芝居の新しい楽しみ方〉を体験して欲しい。これまでよりも、更にリアルな情感を味わって頂けると思います。とは言え、現時点では想像がつかないことも多いでしょう。僕もそうでした。でも大丈夫、観れば分かります。観れば絶対に面白いので、是非劇場へお越し下さい」

 

新しい劇場が新しい演劇を生み、新しい演劇が新しい体験を生む。この進化から、ますます目が離せない。

 

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インタビュー・文/園田喬し

構成/月刊ローチケHMV編集部 11月15日号より転載

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【プロフィール】
中島かずき
ナカシマ カズキ 1959年8月19日生まれ。福岡県出身。作家。1985年上演の『炎のハイパーステップ』より座付作家として劇団☆新感線に参加。説話や史実をモチーフにした多層的ドラマを描き、劇団を代表する作品を次々と生み出す。『アテルイ』にて第47回岸田國士戯曲賞を受賞。