ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』《花》 中島かずき インタビュー 〈後編〉

『髑髏城の七人』は磨き甲斐のある“原石”的一作

 

2017年春、豊洲にオープンする「IHIステージアラウンド東京」という新しい劇場で、3月より劇団☆新感線『髑髏城の七人』のロングラン公演が行われる。通算六度目の上演となる文字通り「代表作」に関して、劇団の座付き作家である中島かずきに胸の内を訊いた。

中島 「初演の『髑髏城〜』は、池袋の東京芸術劇場の前に仮設テントを張ったテント公演でした。その芝居が25年以上を経て、新しい劇場のこけら落とし公演として戻ってこられたことに面白さを感じます。この『髑髏城の七人』は上演の度に毎回加筆修正を行ってきました。キャスティングが替わると、台詞の言い回しを少し変更するだけで新しい見え方が生まれる。大きく書き換えることはしませんが、今回の「花・鳥・風・月」にも全て手を加えます。ですから、一本一本の色合いが異なる『髑髏城〜』をお見せ出来ると思います」

 

4シーズン制のトップバッターを飾る〈Season花〉。加筆の際に込められた想いとは?

中島 「僕は(2011年上演の)『ワカドクロ』が新たなスタートになったと感じていて、捨之介と天魔王の一人二役を止めたことで、二人が同一空間に存在することが可能になった。そこから、織田信長という大きな目標がいなくなった後の若者達のドラマを新しく組み直すことが出来たので、その辺りをどれだけ磨き直せるか? ということを考えています。あの時、『ワカドクロ』で掴みかけた輝きと、もう一度向き合ってみたいですね。『髑髏城の七人』というのは所謂“原石”のようなもので、磨く度に違う箇所が光り出す、本当に磨き甲斐のある作品なんです。だからこそ、頑張って何度も磨きたくなるし、とにかく正解が沢山ある芝居なんですよ。僕自身も『今度の髑髏城はどんな風に輝くのだろう?』という興味が尽きない。おそらく今回も、これまで見たことがない『髑髏城〜』が花開くんじゃないかな。そして、それは僕ら新感線にしか出来ないエンターテインメントになり得るのでは? と期待しています」

 

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インタビュー・文/園田喬し
構成/月刊ローチケHMV編集部 12月15日号より転載

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【プロフィール】
中島かずき
ナカシマ カズキ 1959年8月19日生まれ。福岡県出身。作家。1985年上演の『炎のハイパーステップ』より座付作家として劇団☆新感線に参加。説話や史実をモチーフにした多層的ドラマを描き、劇団を代表する作品を次々と生み出す。『アテルイ』にて第47回岸田國士戯曲賞を受賞。