デキメン列伝 第6回 海宝直人

“デキる”のみをものさしに、今後の舞台界を担っていくであろう、注目株の若手俳優をピックアップ。彼らが「デキメン(=デキる男優)」である理由、そして、隠れた本音をロング・インタビューで探る!

【第6回】海宝直人 NAOTO KAIHO

マリウスは最後の最後まで成長していく、とても魅力的な役


Writer’s view

7歳のとき、ティーカップの姿で愛らしく舞台に登場! ミュージカル生まれミュージカル育ちですくすくと、品のあるハンサムな青年に成長した彼は、「レ・ミゼラブル」のマリウスとなりました。姿は美しく、歌も演技も安定、かつフレッシュさを失わない海宝さんのマリウスに“堕ちた”レミゼファンも多いのでは。9月まで務め上げた後、秋には超話題作「アラジン」のアラジン役が控えています。これまでの20年の道のりと、自ら「ここが勝負」と語る今現在の思いをたっぷり聞きました。

取材・文/武田吏都

 

――7月4日のお誕生日に合わせてソロライブが行われますね。「20th Anniversary」とあるのを見て思わず二度見してしまったんですが(笑)。26歳にして芸歴20年!

海宝 小学校1年生のときの劇団四季「美女と野獣」が初舞台でした(ティーカップ姿のチップ役)。それまでキッズモデルの仕事はちょこちょこしていたんですけど、舞台に立つ、芝居をするのはそれが初めて。やはり3歳年上の姉(海宝あかね=劇団四季)の影響が大きいですね。姉が「アニー」に出ていたので舞台を観たり、ステージ裏に連れて行ってもらってお姉さんたちに遊んでもらったり(笑)。歌ったり踊ったりということが、すごく日常的でした。

――ご両親は全く芸能関係ではないそうですが、弟さん(海宝潤=ジャニーズJr.)もこの世界にいらっしゃって。それぞれ活躍の場は違いますが、三姉弟が同じエンターテインメントの世界にいるというのは刺激になるのでは?

海宝 そうですね。姉の舞台を観に行ったりもしますし、弟がテレビに出ているのを見たりもしますし。それぞれの世界の話を聞くと、それもまた面白いです。

――子供の頃から、目立つことが好きな子だった?

海宝 基本的には人前が苦手ではあるので、クラスの発表とかで前に出されてしゃべったりするのはすごいイヤでした。今もそんなに得意じゃないです(笑)。すごく緊張しぃでオーディションとかも人がズラッと並んでいると緊張して、いまだに手が痺れますし。ただステージに立って芝居をすると、自然でいられたりします。出る直前まではすごく緊張しているんですけど。

 

――そしてその幼少時から劇団四季の方々、「美女と野獣」では石丸幹二さん、続く「ライオンキング」では坂元健児さんや濱田めぐみさん、そして現在「レ・ミゼラブル」で共演されている吉原光夫さんらを含めた先輩方との豊富な共演経験があるのですね。

海宝 「美女と野獣」「ライオンキング」と続けて6年間やっていました。今思えば、先輩の皆さんの歌や芝居にものすごく身近に触れていた経験は、自分の歌だとかセンスを育ててくれたという意味で大きかったし、そういう時間だったなぁと思いますね。

 

――ミュージカルではふさわしい役があまりない中高生の時期には7年ほどミュージカルの舞台から離れ、再開したのが2008~09年の「ミス・サイゴン」(アンサンブル)ですね。

海宝 高校を卒業する少し前ぐらいにオールキャストオーディションの新聞広告が大々的に出て、応募しました。それに受かったことが、この仕事でずっとやっていけたらと、ちゃんと思った大きなきっかけだったかもしれないです。子役時代って、子役担当としてスタッフさんがマンツーマンで付いていろんなことを教えてくれたり、衣裳さんや床山さんもすごく丁寧にやってくれたりしたものが、「ミス・サイゴン」で初めて、基本的には全部自分でやるという環境に入りました。そういう意味では大人の俳優として初舞台というか、新人という感覚でいました。

 

――そこからは途切れなく、舞台出演が続きます。話が前後しますが、海宝さんにご登場いただきたいと思ったのは、海宝さんが主にネット上で(笑)「海宝センパイ」と呼ばれていることが気になったからで。きっかけは2011年の「恋するブロードウェイ♪」のようですね。「恋ブロ♪」は大山真志さん、小野田龍之介さん、味方良介さんらテニミュ出身者たちも多く出演するコンサート仕立ての舞台。海宝さんはテニミュなど2.5次元作品への出演経験はないですが、彼らのファンにも実力のある“センパイ”として一目置かれる存在で、ポジション的にちょっと面白い存在だなと感じたんです。周りが同世代ばかりの現場というのはあまりなかったと思いますが、「恋ブロ♪」はどんな経験でしたか?

海宝 確かに“センパイ”って呼ばれ始めたのは「恋ブロ♪」からですね。小野田が言い出したのかなぁ(笑)。vol.1のときは全員はじめまして、でした。ただ、小野田、大山、内藤(大希)に関しては同じく子役からやっていて、彼らはアルゴミュージカルだったりフィールドは違うんですけど、感覚的にはそんなに遠くないものがあるので。その3人がいたから違和感なくというか、畑違いで「うわ、ヤベッ!」っていうのはなかったですね。すごく居やすかったです。

――愛称は「センパイ」ですが、同世代でいるとリーダーシップなどを発揮するタイプ?

海宝 いや、全然しないです(笑)。

 

――歌う仕事が圧倒的に多いですが、ストレートプレイの舞台にもいくつか立っています。特に、「高き彼物」では友人の死で心の傷を負った高校生という難役を演じて、印象に残っています。

海宝 芝居的なところを突き詰めていく作業はすごく面白かったですし、歌わないことへの違和感とか全くなかったですね。ストレートプレイも映像も、チャレンジできるのであればやってみたいです。

加藤健一事務所「高き彼物」(2009年) 撮影/石川純

 

――マリウス役で海宝さんを知った方には想像つかないであろう(笑)、「フル・モンティ」(2014年)の話もぜひ。あの作品で海宝さんが演じたのはなんと、冒頭でストリップを披露する男性ストリッパー役! イメージを覆す役だったのと、肉体美にも驚きました……。

海宝 キョーレツなものを観ていただきまして(笑)。あの時期は、相当ジムにも通っていました。僕も最初に台本を見たときはビックリしましたけど、あの稽古場自体が破天荒なので、稽古が進んでいくと違和感がないというか。福田(雄一)さんのカンパニーはそれぐらいぶっ飛んでいて(笑)、他のミュージカルの現場では経験しない空気感で。なので、「Tバックになるぐらいナンだ!」みたいな感覚が、後半では芽生えましたけどね(笑)。(鈴木)綜馬さんと「この現場、コワいね~」「こんな現場初めてだね!」って2人で言い合ってました(笑)。でも楽しかったです。

 

――自分の殻を破るという感覚はやはりありましたか?

海宝 それはありましたね。Tバックになるからというよりは、その役をやるにはカッコつけたり構えたりしてたら絶対できないなって感覚があったので。山田(孝之)さんにしろ、ムロ(ツヨシ)さん、(ブラザー・)トムさん、(中村)倫也くんにしろ、みんな全然カッコつけずほんとに自然体で全部出してみるという感じだったので、そこに食らいついていかなきゃなっていうのは思っていて。

 

――海宝さんのもうひとつの面を見たように思ったのは今年の「氷刀火伝-カムイレラⅡ-」も同様でした。海宝さん演じた琅丸(ロウマル)は苦悩する主人公・氷刀火(西川大貴)と対照的に物語を力強く運ぶ役割でしたね。続く「レ・ミゼラブル」でマリウス役を演じることを念頭に置きつつ観ていましたが、むしろアンジョルラスっぽいとも感じました。自分の中にはどちらの要素もある?

海宝 自分ではよくわからないですけど、マリウスの稽古の最終日かな、演出補のエイドリアン(・サープル)に、「男性的な部分をすごく感じた。甘さよりもその男らしさをマリウスに出してほしいと思ったから、君を選んだんだよ」と言われましたね。

ミュージカル座「氷刀火伝-カムイレラⅡ-」(2015年)

 

――自己分析すると、性格的にはどっち寄りでしょう?

海宝 どうなんだろうなぁ……あまり几帳面な性格じゃなくて結構ズボラなので。そういう意味では、甘くてセンシティブな感じではない部分もあるのかなという気が。大きい声じゃ言えないですけど、部屋とかもそんなに……(苦笑)。

 

――マリウスイメージをキープするため、あまり詮索しないでおきましょうか(笑)。さて「レ・ミゼラブル」ですが。海宝さんは作品の大ファンの、いわゆる“レミゼオタク”?

海宝 そうですね(笑)。子供のときから何度も観ていてCDもずっと聴いてましたし、大好きな作品ではありました。もちろんいつか出たいと強く思っていました。

 

――製作発表で「何度もチャレンジして得られた役」と言っていましたが、ずっとマリウス志望?

海宝 子役のときはガブローシュでオーディションを受けたこともありますが、「ミス・サイゴン」以降はマリウスですね。今思えば、自分の中に「僕はマリウスだ!」という強い思いがあったというよりは、小学生のときから周りの人に「マリウスだよね」「マリウスできたらいいね」みたいなことを言われて育ったので(笑)、なんか自然とマリウスなんだな、と思っていたような気がします。

写真提供/東宝演劇部

 

――そしてついにマリウス役に決定。製作発表で「プリュメ街」~「心は愛に溢れて」を歌唱披露しましたよね。生で拝見して、既にある程度できあがっているという印象も受けました。それは夢見た期間の長さや思い入れの深さが関係しているのでしょうか。

海宝 そういう部分はあるのかもしれないですね。でもあの製作発表のときと、今舞台上で歌っているのは自分の中では全然感覚が違います。製作発表のはそれまで観てきた「レ・ミゼラブル」のもので、たぶん、それまでの自分のイメージの最終型だったのかなと。あの後で稽古に入ったわけですが、もちろん新演出というのもありますし、自分のイメージの中にあるマリウスを一度全部取っ払おうというか、真っ白な新作に挑むような気持ちで臨もうと思っていました。

 

――観客として旧演出もよくご存知ですが、かつての旧演出版と現在上演されている新演出版ではどういう部分に一番変化を感じますか?

海宝 エイドリアンがすごくこだわっていたのが、マリウスとコゼットにリアリティを持たせること。例えば「A Heart full of Love(心は愛に溢れて)」はクラシックなメロディですごくロマンティックで甘いですよね。だからやる方も自然とロマンティックな方向にいってしまう。新演出ではバルコニーのセットにもなったので、それこそ「ロミオとジュリエット」みたいな。そこをエイドリアンは、「とにかくリアルにしてほしい」と。「君たちが現代で誰かと恋に落ちて語り合ったり、デートをするときのようなリアリティを持って」というのをすごく言われました。作り上げられたプリンス、プリンセスみたいな見え方になってしまうと壁が出来て、お客さんはそこに自分の感情を入れ込むことが難しくなってしまう。だから「A Heart~」も歌い上げるんじゃなくて自然な会話にしてほしいということを言われたので、そこは意識するようにしています。リアルな2人でいられるように。

写真提供/東宝演劇部

 

――マリウスはコゼットのことしか見えていませんが、エポニーヌ目線で観ている観客も多いはず。最期まで自分に愛を捧げ尽くすエポニーヌへはどんな感情を持って演じていますか?

海宝 もう、皆さんに言われます。「エポニーヌに感情移入してしまう」って(苦笑)。マリウスにとっては、やんちゃな弟みたいな感覚なのかなって自分では思っていて。これは僕じゃなくてどなたかの言葉なんですけど、あるときパッと現れてマリウスを笑わせて、すっと去っていく。そういうなんか、神出鬼没でとっても明るい、そんな存在なんだって。エイドリアンからも、コゼットとエポニーヌに対する感覚が同じに見えてしまうのは絶対にダメだと言われました。だから最初にエポニーヌに本を取られて「エポニーヌ、元気か?」ってところもそんなに優しくならないでほしいと。エポニーヌには女の子に対するジェントルな優しさというよりは、身近な弟に対するような親密でラフな距離感でいられるようにしようとは思っていますね。

写真提供/東宝演劇部

 

――エポニーヌに感情移入してしまうと「マリウス、ひどい!」と言われてしまいがちでもありますが(笑)、やはり演じてみて難しい役ですか?

海宝 どうでしょう……僕は、マリウスというのは最後の最後まで成長していく役だなと思っているので。登場のシーンでは革命に燃えていて積極的にビラを配って、怖いもの知らずというか、まだ未熟だからこその力強さがあって。それがコゼットと恋に落ちて、今まで芽生えたことのない感覚に出会う。ミュージカル版だとまたすぐに別れが訪れてしまうんですけど、仲間と戦いに行くという決断を下して。そのバリケードでエポニーヌの死に直面して、さらに仲間たちも死んでしまう。そしてジャン・バルジャンから真実を聞いて自分の愚かさや思慮の浅さを思い知り、最後はコゼットを守って生きていく男になるっていう。だから彼はこの作品全編を通して、いろんな感情に出会って成長していく人物だなぁと思うんです。そこを見てもらえると、なんか愛してもらえるのかなって気はするんですけど(笑)。僕自身はマリウスという役を今回追求しながら演じてみて、とても魅力的だなと思いました。

――日本版では同じ役に3~4人のキャストがいるので、組み合わせの妙が非常にありますよね。特にマリウスと関係の深い役柄について一人ずつ、本番で組んでみた印象を教えていただけますか? まずはコゼット。

海宝 若井(久美子)さんのコゼットとは舞台稽古ではほとんど組まなかったんですけど、本番ではたぶん一番多いんです。なので本番で回数を重ねていくに従って、コミュニケーションはとりやすくなっています。若井さん自身が気さくなので、舞台裏でも遠慮なく意見を言い合えるし、いろんなことを話せますね。(磯貝)レイナさんはすごくしっかりされているので、引っ張っていってくれるというか、頼りがいのあるコゼットです。(清水)彩花ちゃんは若井さんと逆で、帝劇では2回だけなんですけど、稽古ではずっと一緒にやっていました。なのでコミュニケーションをいっぱいとったなという気がしているし、とりやすいですね。

 

――アンジョルラスの3人はいかがですか?

海宝 三人三様でほんとに全然違います。(上原)理生さんは引っ張っていくパワーというか、圧をすごく感じますね。普段は結構柔らかいんですけど、アンジョルラスをやるときにはすごくこう、カッ!となるので、このアンジョルラスのために自分ができることってなんだろう、自分の役割を果たそう、みたいな感覚にさせてもらえます。のじ(野島直人)さんはずっとこの作品をやられているし、普段からとてもいろんなことを教えてくれるので、舞台上でもすごく引っ張っていってくれるアンジョルラスです。パリのシーンでも「このビラをあっちに配ってくれ!」って指示をくれたりとか。同じ仲間内の兄貴分という感覚かなと。(上山)竜治さんは対等なパートナーというか、すごく近い距離にいる同志。だからマリウスも遠慮なく意見を言える、そういう関係性だなって思いますね。

――なるほど。わりと観客から見えている印象のままかもしれません。ちなみに「デキメン列伝」の第一回にご登場いただいたのが上山竜治さんでした。新キャスト同士のフレッシュなマリウス&アンジョルラスのコンビが好評ですが、カーテンコールでも仲良しぶりを発揮していたとか(笑)。

海宝 アレですね? みんなで手をつないでお辞儀するとき、し終わっても、竜治さんが僕の手を離さないんです!(笑) 3回目出ていこうとしたら、僕とコゼットとの間に入ってこようとするんですよ。話変わっちゃうから!って(笑)。

写真提供/東宝演劇部

 

――「レ・ミゼラブル」の作品全体で海宝さんが一番好きなナンバーは?

海宝 難しい……。「ワン・デイ・モア」かなぁ。やっぱりあの曲は高揚します。あれだけいろんな人が全く違う感情を、それぞれのエネルギーで飛ばして歌うじゃないですか。マリウスは迷いの末の決意、アンジョルラスは決意のもととにかく歌声でみんなを鼓舞する。テナルディエとマダムは悪巧みをして、ジャベールはスパイになって学生たちを潰してやるぞと歌っている。他にもバルジャン、コゼット、エポニーヌ、民衆たちのいろんな思いがあって、それでもひとつの曲として成立している。そして最終的にみんな同じ「明日にはわかる神の御心が 朝が 明日が来れば」って同じ言葉を言って終わるっていうのは、ほんとに奇跡的だなと思うんです。やっぱり特別好きですね。

写真提供/東宝演劇部

――東京の帝国劇場での公演は間もなく千穐楽を迎えますが、出演は9月の富山公演まで続きます。長丁場ですが、心がけていることは何かありますか?

海宝 自然と変化していく部分もあると思うんですが、ほんとの芯の部分、稽古で作り上げたものは自分の中でぶれないようにしなきゃなと思っています。ロングラン公演って深まる部分もあるんですけど、違う脱線をしていく危険性もあるなと思うので。そういうとき、エイドリアンが言っていたことや稽古で作り上げたもの、その芯に立ち返ることをしなきゃなと思っています。キャストとコミュニケーションをとってどんどん追求しつつ、立ち返ることも大事にしていきたいですね。

 


「レ・ミゼラブル」舞台映像ダイジェスト

――「レ・ミゼラブル」の後の予定もぎっしりです。9月に「THE SHINSENGUMI 2015」に沖田総司役で出演した後は、いよいよ劇団四季「アラジン」のアラジン役に挑戦!

海宝 ほんとに今年が勝負だなと思っています。ここで雑な仕事をすればもう先はないでしょうし、全てにおいてしっかり丁寧に真摯に向き合わないと。頑張ります!

 

 デキメン‘s view

Q.「イケメン」というフレーズに感じることは?
自分に言われると違和感しかない(苦笑)。ただ、「恋ブロ♪」や「アルターボーイズ」でいわゆるイケメンと言われる世界にも触れさせていただいたんですけど、そういう世界の第一線で活躍している人たちってルックスの良さはもちろん、すごく努力しているんですよね。そういう人たちがほんとの“イケメン”なんでしょう。なので、もっと彼らの中身も見てもらったら、きっといろんな発見があるだろうなとは思います。

Q.「デキメン」が思う「デキメン」
現場で会った先輩ですごいなと思ったのは、「ファントム」でご一緒した大沢たかおさん。芝居に対する集中力と発想力、そしてエネルギーがすごい。演出家とディスカッションして新しいものを作っていくバイタリティが、俳優としてほんとに素晴らしいと思いました。
同世代では、「RENT」「フル・モンティ」でご一緒した中村倫也くん。その2作品だけでもものすごい振れ幅の役だったんですけど、それぞれがパーフェクトに成立していて。でもなんか飄々としていて力みもない。そういう居方が素敵だし、幅の広さがすごいなと思いました。

Q.「いい俳優」とは?
役作りはもちろん大事だと思うんですけど、いざ演じるときにその積み上げてきたものを意識せず、相手に集中してコミュニケーションが取れる俳優。自分がどうやろうということじゃなくて、相手のアクションに反応してその場で自然なコミュニケーションがとれる俳優になれたらなと自分は思っていますね。ミュージカルの場合は特にいろんなことが決まっているからこそ難しいと毎回思うんですけど、新鮮さを失わず、毎回新たな発見があるというところに身を置きたいと思っています。

 

 マネージャーから見た「海宝直人」

5~6年ほど前に出会ったのですが、話す言葉の一言一言などから、歌や芝居だけじゃない、いろんなセンスを持ち合わせていると感じました。一番感じるのは、吸収力が高いこと。それは本人が素直なことも大きいですね。名前のとおり“素直な人”で、そこが演技にも生きていますし、成長の一番の礎になっているなと思います。人とのコミュニケーションの部分で改善を求めたり、注意したことはほんとにありませんし、芸歴が長いのにいつもフレッシュな感じというのは皆さん思われるみたいで。ご両親にもよくお会いしますが、ああいう温かいご家庭に育つとこんな風に育つんだろうなという感じがします(笑)。
うちの事務所は「やりたいことをやる」が基本なので、今後も本人が一番望む「歌が歌える仕事」、ミュージカルやコンサートを軸に、どんどん幅を広げていきたいと思っています。いろんな可能性を感じさせてくれますし、これからどんどん成長していくと思うので楽しみです。   (オフィスストンプ合同会社 担当マネージャー)

 


Profile
海宝直人 かいほう・なおと
1988年7月4日生まれ、千葉県出身。A型。1996年、7歳で劇団四季「美女と野獣」のチップ役で初舞台。その後、1999年開幕の劇団四季「ライオンキング」で初代ヤングシンバ役を務める。高校卒業後の2008年、「ミス・サイゴン」に出演し、本格的に舞台活動を再開。現在も主にミュージカルで活躍中。ロックバンド“cyanotype(シアノタイプ)”のボーカルとしても活動する。月刊「シアターガイド」にて「Actor Ship’s Log~俳優航海日誌~海宝直人」を連載中
【代表作】舞台/ミュージカル座「氷刀火伝-カムイレラⅡ-」(2015年)、TSミュージカルファンデーション「Familia-4月25日誕生の日-」(2014年)、「メリリー・ウィー・ロール・アロング」(2014年)、「RENT」(2012年)、「アルターボーイズ」(2012年)、「蝶々さん」(2011年)、「恋するブロードウェイ♪」vol.1~3(2011~14年)、「ファントム」(2010年)、加藤健一事務所「高き彼物」(2009年)、加藤健一事務所「劇評」(2002年)、劇団四季「ライオンキング」(1999~2001年)、劇団四季「美女と野獣」(1996~98年)
【HP】 http://kaihonaoto.com/ http://stomp.cm
【ブログ】「KAIHO」 http://ameblo.jp/naoto-kaiho/
【Twitter】@naotosea