歌舞伎座「六月大歌舞伎」開幕レポート

菊五郎、吉右衛門が魅せる現代歌舞伎の最高峰!
魅力溢れる歌舞伎座6月公演!

 

歌舞伎座「六月大歌舞伎」が現在、上演中。

昼の部は、変化に富んだ展開が魅力の『妹背山婦女庭訓』より「三笠山御殿」を上演。
蘇我入鹿の館に藤原鎌足の使者として来訪した漁師の鱶七と入鹿の対立から始まり、鱶七演じる尾上松緑が荒事の面白さを見せます。続いて、藤原鎌足の子息、求女の後を追って館へ迷い込んできたお三輪。官女たちに囲まれ苛められても、求女への一途な思いが心を打ちます。お三輪を演じる中村時蔵が昭和56年の時蔵襲名披露でも演じた思い入れ深い作品です。

続く二幕目は、「六歌仙容彩」から『文屋』を。尾上菊之助が好色で愛嬌のある公家の文屋康秀を演じ、官女たちを相手に軽妙な踊りで楽しませます。昼の部の最後の演目は、尾上菊五郎が20年振りに悟助を演じる『野晒悟助』。悟助は二人の女性から好意を寄せられる色男で、今回は初夏らしく見た目にもさわやかで涼しげな工夫を凝らした衣裳で登場。母の命日で喧嘩を自粛する悟助が市川左團次が演じる提婆仁三郎の乱暴にじっと耐える姿や、最後の四天王寺の足場を使った悟助の大立廻りが見どころです。

夜の部は、義太夫狂言の名作『夏祭浪花鑑』。団七九郎兵衛を中村吉右衛門、女房のお梶を菊之助、そして一寸徳兵衛を中村錦之助が演じる、大坂を舞台にした夏芝居です。なかでも、「鳥居前」の団七と徳兵衛の立て札を用いての立廻りが見どころです。また今回は、吉右衛門の孫の寺嶋和史が団七倅の市松役で出演。「長町裏」での義父の義平次殺しの、泥にまみれた凄惨な殺しの場面では、歌舞伎ならではの様式美が発揮されています。

続く二幕目は、24年振りに上演される『巷談宵宮雨』。好色で強欲な破戒僧ながら、娘を思う一面もある龍達を中村芝翫が演じます。初夏らしい怪談もので夜の部を締めくくります。

「六月大歌舞伎」は26日(火)千穐楽まで歌舞伎座で上演中です。