【連載】はじめての歌舞伎体験!歌舞伎ツウ 目指すあなたの 入門書【1】

2018.06.13

ようこそ歌舞伎座へ!

わたくしは、歌舞伎大好きな歌舞伎ツウ猫、”こびきまる” と申します。
これより皆さまを、魅力あふれる歌舞伎と、日本唯一の歌舞伎専用劇場である歌舞伎座へご案内いたします。どうぞお付き合いくださいますよう、隅から隅までずい~~~ッと、よろしくお願い申し上げまする~!

≪歌舞伎の常識 キーワード解説≫

まずは歌舞伎ツウなら知っておきたい、観劇がもっと楽しくなるキーワードを厳選し、ご紹介いたします!

 

■キーワードその1.
出雲の阿国(いずものおくに)

出雲の阿国と言えば、歴史の授業で耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
歌舞伎の起源とされているのが、彼女が京都で披露していた「かぶき踊り」といわれています。そもそも「歌舞伎」の語源は、最先端のファッションを身に着け、常識にとらわれない振る舞いをすることを表した言葉、「傾く(かぶく)」。

阿国は、そうした「かぶき者」たちをまねた扮装で踊る「かぶき踊り」を披露し、大人気となります。この「かぶき踊り」をルーツとして「女歌舞伎」、少年たちだけで演じる「若衆歌舞伎」などが生まれますが、どちらも風俗を乱すという理由で幕府から禁じられてしまいます。
そこで、現在の歌舞伎と同じく、成年男性だけで演じる「野郎歌舞伎」が本流となっていくのです。圧力に屈せず、新たな娯楽を生み出す人々のエネルギーに支えられて、歌舞伎は発展してきたんですね!

 

 

■キーワードその2.
花道

©松竹

客席の中に伸びる舞台、それが「花道」です。
もともと能舞台の「橋掛かり」が由来とされる、歌舞伎独特の舞台機構です。

花道を使っての登場や退場は、それだけで芝居のアクセントとなり、歌舞伎の演出には欠かせません。
役者が出入りする揚幕(あげまく)からの距離と、本舞台までの距離が約7:3のあたりを、その名も「七三(しちさん)」と呼び、花道を使った演出では、ここで決め台詞を言ったり、見得(みえ)を切ったりすることが多くあります。

花道にあるもう1つの重要な機構が、「すっぽん」です。
実際に花道を見てみると、七三のあたりに長方形のくぼみがあるのがわかります。すっぽんは、せり上がり・せり下がりのできる装置ですが、ここを使う登場人物は、実は限られているのです。

それはズバリ、妖怪や妖術使い、幽霊など、「人間ではないもの」。煙と共に登場することもあり、そうすると怪しさ倍増、効果抜群なのです!

幽霊が登場する時の「ヒュ~ドロドロ」という定番の音も、歌舞伎発祥なんです・・・

 

ここでわたくし、こびきまるの名前の由来をご案内いたしましょう。
歌舞伎座界隈の古い町名を「木挽町(こびきちょう)」と言い、現在も、その名の入った通りやお店が多く残っています。後ほどご紹介するオススメスポット、「木挽町広場」もその一つ。
ちなみに、わたくし、首には鈴ではなく、木挽町広場にある大提灯をつけています。
ぜひ本物の大提灯も見てくださいね!

 

木挽町広場の大提灯 ©松竹

 

はじめての歌舞伎体験!歌舞伎ツウ 目指すあなたの 入門書【2】へつづく