『落語と長唄の世界』立川志の春&杵屋佐喜 インタビュー

落語×長唄が織り成す、奇跡のエンターテインメント

 

イェール大学卒業後、三井物産に入社するも、ふとしたきっかけで立川志の輔に弟子入り、落語家となった立川志の春。方や、江戸時代から続く長唄家元の家系に生まれ、『平成中村座スペイン公演』にも参加した三代目杵屋佐喜。出自は違えども、ともに名門出身の二人が小豆島で行う『落語と長唄の世界』は、“名門”らしからぬ会だ。

志の春「今回の公演は三部構成になっています。一部は、私と佐喜さん各々が、レギュラー作品を上演します。二部では、落語×長唄のミュージカルを二作品。まず歌舞伎の演目である『供奴』を落語形式で紹介した後、佐喜さんに長唄を唄っていただこうと思っています。もうひとつは、小室ファミリーが一世を風靡したʼ95年ごろの日本が舞台。古典芸能と最新のエンターテインメントとの間で悩む長唄唄いが、芸とは何かを見つけていく物語です」
佐喜「長唄は楽器として三味線こそ使いますが、落語と共通しているのはどちらも“声”の芸だということです。今回の公演のような新しい切り口で、若い方々にも落語や長唄といった古典芸能に興味を持ってもらえるとうれしいです」

志の春「おそらく落語も長唄も難しそうだなという先入観でブロックされがちなので、両方を掛け合わせることで、どれだけエンターテインメントとして届けられるかが、今回のポイントですね」

時代や作品に共通項は多いものの、あまり交わることのなかった落語と長唄という二つの古典芸能。エンタメの種類が増え続けていくなかで、古典芸能はどのようにしてその輝きを保ち続けられるのか。

佐喜「もともと長唄は流行歌ですので、観客を含めたその瞬間、刹那にしかできない演者同士の息合いが三味線音楽としての最大の魅力だと思います。観客と演者が一体となってそれを感じられるのは舞台ならではの魅力だと思います」

志の春「小学校で落語をやると、アンケートに『聴く前は寝ると思っていたけど、おもしろかった!』なんて書かれることが多いんです。今回の公演が、そうした古典芸能はつまらないとか、古いといった先入観を外す場になればいいなと思います。実は、第三部にはR12指定の『七転八倒・下(シモ)の会』も用意していますので、そちらもご期待いただければと(笑)」

 

文/編集部
Photo /篠塚ようこ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
立川志の春

■タテカワ シノハル(写真右) ’02年に立川志の輔に入門。古典や新作にとどまらず、得意の英語をいかした落語も演じる。

杵屋佐喜
■キネヤ サキ(写真左) ’02年、七代目佐吉の前名である三代目佐喜を襲名。唄方として演奏会、歌舞伎公演、TV、ラジオ等に出演。