演劇調異譚「xxxHOLiC」 -續・再-│太田基裕 インタビュー

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見えない果てを目指して、
深海を潜り続ける

演劇調異譚「xxxHOLiC」 -續・再-の上演が決定した。壱原侑子としてまた舞台に立てることに、演じる太田基裕自身も特別な思いがある。

「前回は個人的な理由で公演が止まってしまって。そのときからまたやりたいとは思っていたので、制作の方から再演のお話をいただいたときは、嬉しさとか感謝とかいろんな気持ちがこみ上げてきました」

初演から数えて3度目となる壱原侑子役。だが、回を重ねてもまだ役を掴んだという感覚はないという。

「むしろ深海にどんどん潜っているような感覚です。侑子さんという役は、自分自身の人生観や死生観とリンクしていて、演じるたびに自分が人生や命というものをどう捉えているのか、その前提を問い直されている気分になるんです。きっと果ては見えないし、果てに行き着くことなんてないんだろうなと思いながらやっていくのが正しい気がします」

だからこそ、侑子というキャラクターは他の役とは違うアプローチが求められる。

「侑子さんって理解して演じようとすると説教っぽくなっちゃうんですよね。その言葉の奥行きというか、奥底にあるものをどれだけ想像力を膨らませて感じ取れるかが大事なんです」

オールメールという演出も本作の特色の一つ。太田の妖艶な色香に魅了される観客も多い。

「あまり女性らしさにこだわりすぎないようにしています。仕草に関してもこの角度の方が美しいみたいなことは決めこまず、この台詞を発するにはどういう佇まいがいいだろうって、内面から探っていくというか。水のようにしなやかで、時に力強いのが侑子さんの魅力。そこを大切にするようにしています」

シーンごとに変わる侑子の華やかな衣裳も見どころの一つだ。

「どの衣裳にも、衣裳さんの願いや命がこもっている。本当に素敵だなと思います。ただ、すっぴんの自分が着ると、さすがに『おい!』ってなりますね(笑)。そういう意味でも、衣裳だけでなく、ヘアメイクや照明、舞台美術、すべてからエネルギーをもらっています」

毎回、哲学的な格言を残す侑子。太田の心を強く打ったのは、やはりあの言葉だ。

「『この世に偶然なんてないわ。あるのは必然だけ』という台詞は、前に進んでいこうという勇気をもらえる言葉ですよね。前回、公演が中止になったときもこの台詞を何度も反芻しました。たくさんの方にご迷惑をおかけして申し訳ない思いもありましたが、それでもこの役と出会えて良かったと感謝の気持ちを持てたのも、この台詞があったから。僕としても、特別な思いがある再演。皆さんの記憶に何か残像を残せるような作品になったら嬉しいです」

インタビュー&文/横川良明

【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:個人的にはコージーコーナーが好きで(笑)。わりとどこの駅にでもありますし、コージーコーナーのシュークリームはいつも買わせていただいております。幅広い層の方に食べていただけますし、「高いぜ!」みたいな嫌らしさもないし(笑)。それに個包装ですし。マウントを取るわけでもなく、お手頃な感じがシュークリームは安心ですし、みんなも美味しく食べられるかなと思っています。もしも余ったら2個食べてもいいし、あまり気負わないのでいいかなって思います。

※構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載

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【プロフィール】

太田基裕
■オオタ モトヒロ
舞台を中心に活躍。近作に『音楽劇ライムライト』、ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』など。