
楢山幕府のライトノベルズ『断罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す』が初の舞台化。シリーズ累計(電子書籍含む)130万部突破、漫画化もされている大人気作だ。
腹違いの妹フェルミナの策略にはまり「悪役令嬢」として地位を奪われ娼館に売られてしまい病死した公爵令嬢・クラウディアが、14歳の頃に時間逆行。娼婦時代に知った「人間の裏と表」と身に着けた「手練手管」で今度こそ生き抜いてみせると誓い、断罪の運命を変えるため悪女フェルミナを超える完璧な悪女を目指す痛快ラブファンタジーが、どんな舞台になるのか期待が膨らむ。
ビジュアル撮影の現場を訪ねて、華やかな衣装に身を包んだ、クラウディア・リンジー役の込山榛香さんと、クラウディアと恋に落ちる王太子シルヴェスター・ハーランド役の黒木文貴さんに、今作の魅力や役柄などについて語っていただきました。
――お二人は初共演ということですが、お互いの印象から伺えますか?
黒木 今日が初めましてなんですけど。先月まで舞台『THREE’S 2025』で共演していた出演者が込山さんと仲がいいということで、すごく真面目で面白い方だというのはお聞きしていまして。
込山 AKB48の同期です。褒めてもらえていたなら良かったです(笑)。
――お互いの第一印象は?
込山 私は、王子様姿の黒木さんしか知らないんですけど。シルヴェスターはけっこうクールなキャラクターだと思いますが、低めの声も素敵で、めちゃくちゃカッコいい王太子になるんだなと、すごく楽しみです。
黒木 ありがとうございます。僕はウイッグを被る直前を拝見して…
込山 すっぴんで(笑)。
黒木 そうそう(笑)。完成したビジュアルを見て、美しくてクラウディアそのものだなと思いました。コミックスの絵のまんまだなと。
込山 嬉しいです!
――お二人すごくお似合いです。今作は悪女がテーマの物語ですが、脚本を読んだ感想と魅力に感じた部分を教えてください
黒木 コミックスと脚本を読ませていただいて…。シルヴェスターの年齢が16歳で、僕は33歳なので実年齢の半分以下なんですね。王子様なので精神年齢的にも言動も普通の16歳よりは大人ではありますけど、僕自身としてすり合わせができるかなと。見た目ですとか、声色ですとか、姿勢ですとか…そういう部分は活字から読み取るにも、苦労しそうだなというのは第一印象で思いました。物語で魅力に感じるのは、シルヴェスターとクラウディアの関係性の甘酸っぱさというか。王太子とか公爵とか身分とかがある上での、現実離れした華やかな世界で描かれているけれど、「どうせ好きなんだろう?そこの2人~」みたいな、意外と自分たちにとっても身近なことが描かれていて、学園ものみたいなところも魅力かなと。
込山 確かに(笑)。
黒木 だから、クラウディアに対して「そこ行けよ!シルヴェスター」みたいな、お客さんがちょっとむず痒い気持ちになるようにできたら、より面白いのかなと感じましたね。
込山 私は、クラウディアが最初は妹のフェルミナに対しての復讐心ばかりなんですけど、だんだん成長していく過程が印象的です。王太子とのだまし合いみたいなところもあり、ただただ甘酸っぱいだけじゃなくて、ちょっと推理っぽいところもあって、そこもすごく面白いなと。老若男女が楽しめる魅力のある作品だなと思いました。
――ご自身が演じる役の印象と魅力を感じるところは?
黒木 まず、魅力からなんですけど、恋する男子高校生で素直になれない。
込山 ハハハハ。
黒木 それは恥ずかしさとかプライドだけじゃなくて、王族として育って英才教育を受けているからこそ、本心を出したくても出せなくなってしまっている。出さないように生きてきた。それがクラウディアと出会うことによって、ほぐれていく。崩れていく。そこがシルヴェスターの魅力になったらいいなと思っています。最初はツンツンしていたのに、自分の感情があふれ出てしまう感じを表現したいなと思いますね。
込山 もう、すでに役を作り上げてきているじゃないですか~。
黒木 いえいえ(照れ笑)。
込山 私は漫画を読んで、ただただ楽しんじゃいました(笑)。クラウディアは女の子の強さとずる賢さと、そして弱さ、王太子に素直になれないところだったり…いろんな面を持っていて。それがすごく面白いし魅力だなと思いました。
黒木 クラウディア…。
込山 意見が弱いですか?(笑)
黒木 いやいや、そんなことないです(笑)。たぶんこの2人は似ているんでしょうね。そんな気がしますね。
込山 以下、同文です!クラウディアとシルヴェスターは似た者同士(笑)。

――込山さんは、クラウディアはどんな人物だと思いますか?
込山 常に学ぼうとする強い女の子だなと。娼館に送られてしまっても、そこで人間の裏と表があることを学んだり、フェルミナにやられたことに対してもやり返す方法を賢く考えたり、それに優しさもすごくあるなと。でも、悪役って立場によって違うものだなと思って。フェルミナにとってはクラウディアが悪役だし、クラウディアにとってはフェルミナが悪役だし、それはすごく面白くて。何回もこの作品を観て、いろんな役の目線からも観ていただきたいなと思いました。
――クラウディアと王太子シルヴェスターは、最初はお互いの心を探り合うような関係から始まり、だんだん距離を縮めて真実の愛で結ばれていくという間柄。お二人が演じる上で大切にしたいことは?
込山 クラウディアは愛のない結婚をした公爵夫妻のもとで、ちゃんと愛を見ることなく育ったと思うので、王太子に対しても、愛の伝え方も受け取り方もわからない。彼女のそういう不器用さと、その不器用さを乗り越えてちゃんと真実の愛を見つけられたんだなっていうところを、見せられるように頑張りたいなと思っています。
黒木 僕がやるからこそのシルヴェスター、込山さんがやるからこそのクラウディアというところを、お互いの内から出るものを、すごく大事にしたいなと思います。
――時間が戻って、人生をやり直す「逆行」という設定についてはどう思われますか?
込山 面白いですよね。誰しも人生できっと戻りたい時期ってあると思うので。本当に壮絶な人生の最期を迎えたクラウディアが、逆行してまた人生をやり直す。そして復讐するために完璧な悪女を目指す物語になっているんですけど。自分の同じ人生だけど、考え方とかが違うとこんなにも成長できたり、違う結末になるんだなっていうのが面白くて。本当に最初から最後まで素晴らしいストーリーになっております。
黒木 はい、本当に。
――役作りで、原作の小説や漫画のキャラクターのどういうところを意識しますか?
込山 コミックスを読んですっごく面白いなと思いましたが、脚本を初めて読んだときに、すごく涙が出たんです。
黒木 おお~。
込山 逆行した人生で、クラウディアが兄のヴァージルに「ディアをひとりにしないで」と言うシーンと、お父様に「いい子になるように頑張ります。認めてもらえる様に頑張ります」と言うシーンは、味方につけるために父親や兄を篭絡しているだけではなく、きっと愛しているんだろうしとか、クラウディアの気持ちを感じて涙しました。恋愛だけじゃなくて、家族愛も描かれている作品なので、その部分でのクラウディアの成長とか感情をいかに表現できるかを、役作りで頑張りたいなと思います。
黒木 クラウディアとのシーンは、馬車のシーンなどいろいろなシーンがあるんですけど。原作のイラストや漫画で絵として印象に残るようなシーンは、しっかり踏襲したいなと思っています。同じ台詞、同じシーンを舞台上で描くとなったときに、別の構図だとわかりずらいので、角度とかも「もうちょっと左足前じゃない?」とか(笑)、そういう細かいところまで、演出の荒木(吏沙)さんや込山さんとお話ししつつできたらなと思っています。
込山 はい(笑)。
黒木 込山座長のもと「ここはやり直しだったかな」とか、「うわ~!もうちょっとやっておけばよかった」とかってならない、逆行をしたいと思わないように、稽古に臨みたいです。ね、座長?
込山 はい!

――稽古で楽しみにしていることはありますか?
込山 私は今まで、AKB48というアイドルと舞台を掛け持ちで常にやっていたので、共演する俳優さんや女優さんに対して常に緊張してしいて、違う畑からおじゃまさせていただいていますという遠慮する気持ちがあったので、稽古場であまり共演者と話せなくて、本番に入ってはじめて話す、みたいなことが多かったんです。
黒木 ええ~!
込山 今回は、初めて黒木さんにお会いしたときから、すごく優しい雰囲気で、もう緊張はほぐれているので。
黒木 ああ~良かったです。
込山 クラウディアがあんまり緊張しないタイプの堂々としていて度胸のある女の子なので。その感じで最初から稽古を楽しみたいと思います。
――今作がAKB48卒業後の最初の舞台になるんですね?
込山 はい、そうです。なので心を新しくして臨みたいです。舞台に集中できることになったので、稽古も本番も本当に楽しんでいきたいなと思っています。だから、こんなにしゃべっているの珍しいです(笑)。
黒木 そうなんですね。それは嬉しい。
込山 事前に私のことを聞いたとおっしゃっていたので、猫かぶらなくていいなって感じで(笑)。
黒木 アハハハハハ!今回の舞台は初めましての方が多いので。僕も自分から話しかけるのはそこまで得意ではないですけど、まずは皆さんと打ち解けるところからだなというのは感じています。いい雰囲気の稽古で、エンターテインメントとしての最高点を目指したいですね。
――お2人が思うこの舞台の見どころ、注目してほしいところは?
込山 腹違いの妹のフェルミナが何かを仕掛けてきて、きっとお客さんも「お~フェルミナまたやってるな」ってなると思いますけど、きっとスカッとする展開になると思います(笑)。フェルミナも曲者ですけど、登場するキャラクターひとりひとりが、本当に個性的なんですよね。だから、絶対に誰かを好きになって帰れるところも見どころだなと思います。
――推しを見つけられる?
込山・黒木 はい!
黒木 舞台ならではの華やかなダンスシーンや殺陣も楽しみにしていただきたいですね。
――最後に、読者と公演を楽しみにしている方へ、改めて意気込みとメッセージをお願いいたします
黒木 原作の小説から始まり、漫画化もされ、今回の舞台化でコンテンツとしては3つ目になります。舞台『断罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す』が、さらに作品の飛躍になるような、そんな舞台になるといいなと思っています。そして、舞台ならではの面白さをご来場いただいたお客様に知っていただければと思います。ご来場お待ちしております。
込山 AKB48を卒業して初の舞台になります。今後はお芝居を頑張っていきたいなと思っていますし、今一番楽しいなと思うのがお芝居なので、この舞台を心から稽古も本番も楽しんでいきたいと思います。オファーをいただいたときに、タイトルからめちゃくちゃ面白そうだなと思って、まずコミックスを読んで「絶対にやりたいです!」とお返事しました。脚本も面白過ぎて一気に読んで、涙が出るくらい感動する作品になっております。その面白さをクラウディアとして、皆さまにお届けできるように頑張りたいと思います。劇場でお待ちしております!