
7ORDER舞台公演『【舞台】7ORDER 〜BOY meets GIRL〜』が2025年5月に上演される。グループ結成6周年の翌日に開幕する本作は、7ORDERにとって、2019年の『舞台「7ORDER」』以来、6年ぶりとなる作品だ。
本作をもって、阿部顕嵐はグループを卒業するため、6人揃ってのパフォーマンスを観られるのは今回がラストチャンスとなる。7ORDERが原案、そして企画・プロデュースを務める本作には、彼らのどんな思いが込められているのか。“未来・成長・出会い”をキーワードに、6人の思いに迫った。
――本作の原案は安井さんの家に集まってみんなで考えたとのこと。その話し合いを振り返ってみて、初披露のエピソードがあれば教えてください
萩谷 まだ話してないことかぁ。めっちゃ食卓の照明がおしゃれだった。
安井 あはははは(笑)。たしかにまだ誰も言ってないけど。
諸星 あと僕が座った椅子が不思議な形をしていて、どうやって座ればいいのか分からなかった。
安井 姿勢よく座るための椅子ね…って待って。舞台関係ないじゃん。それは僕の家の言ってない話ね(笑)。あの日の議事録探すからちょっと雑談しておいて。
萩谷 実現しなかった案でいうと、7ORDERの楽曲でミュージカルは成立するのか、みたいな議論はしたよね。曲のイメージからシーンを作っていくのもありかなって。
阿部 たしかに話したね。1回トライはしようとしました。
萩谷 そうそう。さすがに曲調がバラバラすぎてできなかったけど、そんな案もありました。
――話し合いの場には、みなさんがそれぞれに「これをやりたい」という案を持ち寄ったのでしょうか?
萩谷 一応そういう話でしたが、ほぼ0からのスタートでした。
阿部 とりあえず話し合おうっていう感じで始まりましたね。まず、真田くんは参加してないですし。
真田 病欠だったんです…。だから、この話題すごく気まずいんです(苦笑)。
安井 僕もコメントに「みんなで」って書いちゃったんですが、それは完全に勘違いで。なんか、ごめんね?
真田 いやいや。当日は参加できなかったんですが、僕も「こういうシーンどう?」ってあとから提案しました。採用されたシーンは…ないですけど(笑)。
安井 (議事録を見返しながら)「顕嵐が粗品さんばりに客席をいじるシーンから始まる」って書いてあります。
一同 (口々に)それ、あった!
萩谷 最初はとにかく顕嵐に何かさせようとしてました(笑)。顕嵐に独白させる、とかもあったよね。
阿部 ディズニーランドとかシルク・ドゥ・ソレイユみたいな感じの、お客さんとの掛け合いのイメージのね。
安井 って顕嵐は言ってるんですけど、それ以外のメンバーのイメージでは、議事録に書いてある通り“粗品さん的”な掛け合いでした(笑)。
萩谷 最初はライブの感覚に近くて、お客さん参加型で構想していたんですが、最終的には僕らが辿ってきた過去とか、これから進む未来とか、そういったものをお客さんに覗き見してもらうような方向性に落ち着いた感じです。僕らが活動してきたものって間違いじゃなかった。そういう感覚を持ち帰ってもらえるような作品にしたいなというところで、今回の原案ができました。
――その原案をもとに出来上がった脚本を読んでみて、いかがでしたか?

安井 舞台を作る段階から7ORDERとしてがっつり関わるのは初めてのことだったので、僕らも手探りな部分が大きくて。なので、脚本という形にしていただいたことで、やっと輪郭が掴めたというか。なかなか全員が揃うタイミングもないので、あとは稽古場で作っていく形になりそうだなと現段階では思っています。脚本は土台としてあって、あとは僕らのやりたい要素を稽古の中で肉付けしていくような作品の作り方になるのかな、というのは最近みんなで話していますね。
諸星 だから、僕は怖いなと思っています。今回の稽古では、「このシーンにこういう意味を持たせたい」みたいな作業をしていくと思うので、すごくパーソナルな部分が出てきそうですし。なにより、稽古が超重要になると思うと…いやぁ怖いです。多分、稽古終わりに1人で飲みに行っちゃいますね(笑)。
萩谷 舞台の稽古って使う筋肉が違う感じだしね。
諸星 そうそう。僕は舞台自体が久々だから、稽古ってどんな感じだったか、最近必死に思い出していて。ドキドキしながら稽古が始まるのを待っている状態です。大変な稽古になると思うけど、芝居の中でメンバーと向き合えるというのは、素敵な時間になりそうだなとも思っています。
真田 物語自体が自分たちの物語なので、ある種、卒業アルバムのような脚本だなと思いました。懐かしさもあるけど、それをエンターテインメントな感じで伝えるのも、僕たちらしいなと思います。
――脚本を拝見して、今・未来・夢といったキーワードが印象的でした。作品に盛り込まれている夢や未来以外で、「こんな未来になったらいいな」と思い描いているものはありますか?
萩谷 ゲームの装備みたいに、ボタンひとつで組んでおいたコーディネートを着られるようになりたい。
阿部 アニメの世界だ!!
長妻 僕は人格をデータ化して時間を超えたい。
一同 おお~。
安井 未来に行きたいの、過去に行きたいの?
長妻 未来に行きたい。日本がどうなってるのかとか、先が知りたい。漫画も最終巻から読んで、先に結末を見るんだよね。
諸星 どういうこと!?
阿部 最終巻から!? いや、もうそれは最悪。
萩谷 終わりを読んで、興味があるかどうか見てるんだ?
長妻 そうそう。好きな作品でも、長い場合は、終わりから読みつつ、頭からも読みつつみたいなことをする。『ONE PIECE』も長いから、最初の方を追いかけながら新しい方も追う感じ。
安井 はぁ~。それで脳みその中で整理できてるのすごいな。
長妻 先を読むのを我慢できないし、できれば完結してから一気読みしたい。だから、人格をデータ化して、そこに一気に漫画のデータをドゥンッて入れられる未来がいいです。
――グループとしての公演は『舞台「7ORDER」』以来6年ぶりとなります。久々の舞台公演を前に、この6年を振り返ってみて、ご自身で「ここは成長したな」と思うところはどんなところでしょうか?
真田 根本的には変わっていない気がします。いろんな経験をした分、ちょっとやそっとのことじゃ動じなくはなりましたけど。あとは、占いをすごく気にするようになった(笑)。
諸星 物事を多角的に見られるようになったと思います。この6年間で、いろんなことの素晴らしさやものの見方を学んだなと。
真田 おお~かっこいい!
長妻 役者だな~。
諸星 いや、僕が一番役者から遠ざかってたから(笑)。もう本当に稽古が始まるの緊張してるんだから。
一同 (笑)。
阿部 僕は筋トレをめちゃくちゃするようになって、それに比例してストイックになりました。部屋もちょっと汚れると、すぐ掃除しますし。
萩谷 え、掃除できるようになったんだ!?
阿部 昔からしてたから!
萩谷 いや、昔、ながつ(長妻)と顕嵐の家に行ったとき、足の踏み場もなかったじゃん!
長妻 マジで物が多かった!
阿部 そうだったかも。でも今は成長したから、仕事の気持ちの切り替えも含めてすごく綺麗にするようになりました。
安井 成長したところかぁ。受け入れて進む、みたいな飲み込み力は上がったかもしれないですね。6年前はもっと余裕がなくて、他の価値観が入ってくるのが怖いと感じていたんですが、そこは大人になったのかなと思います。あと、自炊ができるようになりました!
一同 おお~!
長妻 僕は逆に、これまではなんでも挑戦したい、受け入れたいという姿勢だったのですが、最近は取捨選択を意識するようになって、自分がそれに取り組んだ先を考えるようになってきた気がします。あとは、好きな芝居や音楽が見つかってきて、今はその知識を得ている途中ですね。
萩谷 僕は、いろんな球の投げ方・キャッチの仕方を覚えた気がします。昔は、そんなつもりはなかったのですが、今思えば物事を真っ直ぐにしか見ていなかった。高速球とストレートしか投げられなかったので、その頃に比べると成長したのかな。あと、音源を聞くと、自分の声がすごく変わったなと思います。昔も今も「こう表現したい」という理想があるんですが、昔は基礎となる階段を3段くらいすっ飛ばして、その上に行こうとしていたんだなということに、これまでの経験や出会いのおかげで気づけた感覚があります。それも一つの成長ですかね。
――タイトルに“meets”とありますが、改めてみなさんにとって、7ORDERとの出会いはどんな意味を持つものでしたか?

萩谷 7ORDERはなるべくしてなったというか、能動的に「この船に乗りたい人いる?」と大きくしていったので、出会いというより“始めた”という感覚が強いですね。その中で、出会いという意味では、7ORDERとして活動をしていなかったら出会っていない人がたくさんいるし、今の関係値にはなっていなかったと思うので、7ORDERがあったからこそ多くの出会いに恵まれたなと感じています。
長妻 7ORDERとして活動しはじめた頃の僕は20歳くらいで、当時は自分の好きなものは全くない状態でした。でも、いろんなことをやるこのグループにいたことで、音楽もダンスも好きなものが見えてきて。自分の好きなものを7ORDERと一緒に見つけてこれたなと思います。
安井 今回の舞台をやるにあたって、改めてこれまでの時間を振り返っているのですが、出会ってからは約10年。学校や会社といった枠があるから一緒にいたわけじゃなくて、自分たちで一緒にいたいと思って10年過ごせたことは、すごいことだなと感じています。幼馴染や家族、親友とはちょっと違って、自分の感性や気持ちを交換し合いながら10年間一緒にいられる関係ってすごいし、それは人生の中でも間違いなく大事な出会いで。これから先、おじいちゃんになっても、そこは変わらないのかなと思える出会いでした。
阿部 やっぱり、出会うべくして出会ったのがこのメンバーなんだろうなと。たとえ、僕が野球選手になっていたとしても、みんなとはどこかで出会っていただろうなと思えるくらい、強い縁を感じていますね。最初の出会いの頃から、みんなとは縁が深くて。(安井や萩谷とは)ドラマで共演していたし、ながつは同期だし、モロ(諸星)もレッスンでよく話していたし。真田くんは…エリートだったのでちょっと別次元の人でしたが。
安井 だから最後まで「真田くん」呼びなんだ。
阿部 そうかも(笑)。
真田 だから寂しいですよ。「真田くん」って呼ぶ人がとうとういなくなっちゃうので。
長妻 じゃあ今度は僕が「真田くん」にするよ。
真田 ちょっとやめて! 今より距離感出ちゃってるじゃん!
一同 (笑)。
阿部 …という感じです。次、モロ。
諸星 人生が変わった出会いですね。もともとバンド音楽や楽器に興味がなかったことを考えると、人生を塗り替えられた感覚です。あのタイミングでこのメンバーに出会えて、今ここにいて、楽しくやっているということ自体が、かけがえのないことだなと思うし、この先もきっと面白いことをやっていくと思う。この出会いがずっと自分の中心にあるのだなという予感がしています。
真田 この出会いのおかげで得たものもあるし、もちろん失ったものもある。ただ、その中で自分が変わらずにいられたのはこの場所なのかなって思えるくらい、縁を感じています。顕嵐に会うのは今日が久々なのですが、いつも通りゲラゲラ笑い合っていて、変わらない関係性がすぐそこにある。年齢は重ねているけど、感覚としては10年前と変わっていなくて。他愛もない会話の変わらなさって、この関係性だからこそできるもので、それって素敵なことだし、大切にしたいなと思っています。
――では最後に、本作で7ORDER卒業となる阿部さんから、公演に向けての意気込みとファンへのメッセージをお願いします
阿部 なにより、応援してくれる人たちが劇場に足を運んでくれることに感謝しています。心の底から、ここまでついてきてくれてありがとうと応援してくれる人たちみんなに伝えたいです。だから、今回の作品では、今までの活動の恩返しができたらなと思います。同時に、僕たちがやりたいことを観て楽しんでもらえたら嬉しい。その一言に尽きますね。みんなが楽しめる作品にするために今色々と考えているので、ぜひ劇場に足を運んでください。
インタビュー・文/双海しお
写真/中田智章
ヘアメイク/大島千穂、大島智恵美