
激動の時代を背景に、土方歳三と熱い恋を生きた女“お雪”。司馬遼太郎が生んだ傑作『燃えよ剣』を十朱幸代がお雪として語ります。2013年より上演を重ねてきた本作もついにファイナルステージ。磨きのかかった十朱幸代の語りと宮川彬良のピアノ演奏で極上の時間をお届けします。
幕末の世に鬼神のごとく非情の剣を振るい恐れられた土方歳三。その男が純情一途な恋をした。
その女もその男を一途に愛した。数少ない逢瀬の中で、お互いの命をぶつけ合って燃え上がらせる。
その愛は夢のように美しく、女の心の永遠となった。
台本・演出:笹部博司コメント
十朱幸代さんのお雪はとても可愛くて愛おしい。僕はいつも最後のシーンで泣いてしまいます。十朱さんはこうおっしゃって下さっています。「私は熱中するけれども、とても飽きっぽい。舞台も途中で飽きてしまっている自分に気がつく。だから一度やったものは、二度やりたくないし、再演も好きではない。でも、このお雪はいくらでもやっていたい気がします。やってもやってもその先があるのです。自分の中にこんな気持ちが生まれるなんて不思議な気がします」
十朱さんが女優人生の終活としたいとおっしゃった『燃えよ剣』。ぜひご覧ください。
十朱幸代コメント
私はとても恵まれた女優人生でした。
もう思い残すことはないと思っていました。
ところが、その気持ちは突然沸き起こりました。
もう一度、あの恋を生きたい。
相手は鬼より怖いと恐れられた新選組の副隊長土方歳三。
お雪は、歴史上の人物ではありません。
過激な人生を生きた土方の心を癒す唯一の存在として創作された女性です。
慎ましく、優しく、激しく、切なく燃え上がった恋。
司馬遼太郎は『燃えよ剣』という物語で、自分の夢を実現したのだと思います。
私はもう一度、お雪に出会いたいと願います。
劇場でお待ちしております。
【十朱幸代プロフィール】
1958年に NHKドラマ『バス通り裏』でデビュー。以後、テレビ、映画、舞台と幅広く活躍。ニッポン放送の朝のラジオ番組『いってらっしゃい』の初代パーソナリティ。「国民の恋人」と称された。75年に山本周五郎『おせん』で芸術座最年少座長を務めて以来、『おたふく物語』『雪国』など26年間連続お正月公演の記録を作る。ブルーリボン主演女優賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞、舞台でも菊田一夫演劇賞・演劇大賞など数々の賞に輝く。13年には旭日小綬章を受賞。10年『ジョン・ガブリエルと呼ばれた男』、11年NHK連続テレビ小説『カーネーション』(松坂貞子役)、12年一人芝居『キャサリン・ヘプバーン~五時のお茶~』(キャサリン・ヘプバーン役)などに出演、多彩な女性の生きざまをフレキシブルに演じている。
宮川彬良プロフィール
劇団四季、東京ディズニーランドなどのショーの音楽で作曲家デビュー後、数多くの舞台音楽を手掛ける。「身毒丸」「ハムレット」「天保十二年のシェイクスピア」で読売演劇大賞・優秀スタッフ賞を受賞。また、ショーのために作曲した「マツケンサンバ II」が大ブレイク、舞台音楽からヒット曲を送り出した。
アニメ「星のカービィ」、「宇宙戦艦ヤマト 2199/2202」、連続テレビ小説「ひよっこ」等の音楽を担当、NHK「クインテット」、「どれみふぁワンダーランド」、「宮川彬良のショータイム」では音楽を担当し自身も出演。近著に“「アキラさん」は音楽を楽しむ天才”(NHK出版)。