PERSONA3 Lunation the Act|梅津瑞樹 インタビュー

ⒸATLUS. Ⓒ SEGA./PERSONA3 Lunation the Act 2025

「青春を捧げた」作品の舞台化は嬉しいと同時に不思議な気持ちもあります。

名作RPG『ペルソナ3』が、7月に舞台「PERSONA3 Lunation the Act」として上演される。主人公・汐見彼方を演じるのはアトラス作品に「青春を捧げた」と語る梅津瑞樹。「原作ファンとして、令和のこの時代に舞台化に携われることが嬉しい」と語る梅津は、取材中も終始アトラス愛を爆発させていた。

「去年、『ペルソナ3 リロード』が発売されましたが、原作の『ペルソナ3』は19年前という懐かしいタイトルなので、その舞台化ということで、嬉しいと同時に不思議な気持ちもあります」

アトラス作品の思い出を聞くと、「ペルソナ」シリーズをはじめ、『魔剣X』や『デビルサマナー』など、次々と作品名が飛び出す。

「先日、豪華版で買っておいた『ペルソナ3 リロード』をやりましたが、見たことがある景色なのに、時間が経っているから新鮮で。当時確かにあったのに今は持っていない感覚とか、学生生活の美しさみたいなものをまざまざと見せられて、切なさを感じました(笑)。これが大人になるってことかと……」

当時、自分と主人公を重ね合わせていたという梅津。今回はどんな主人公像で演じるのか、その答えはまだ出ていないという。

「僕はゲーム準拠の主人公像の印象が強いんですが、皆さんの中にある主人公像ってやっぱり劇場アニメやその後の作品で主人公役を演じた石田彰さんの演技の印象が強いんじゃないのかなと。初めてその声を耳にしたときに、想像より幼く無垢な印象を受けて『アニメの主人公はこんな感じなんだ』と思った記憶があって。今回、そこは特別意識しなくていいとアトラスさんからは聞いているのですが、とはいえ、劇場にはアニメで予習してきてくれる方も多いだろうし。人物像をどこに着地させるべきか、まだ悩んでいるところです。でも先日の撮影では、主人公の姿になれて、ありし日の自分がまざまざと思い浮かびましたね。当時は男子校だったので、おしゃれをすると白い目で見られる。だから髪がどんどん伸びていくんです。そんな折に主人公のビジュアルに触れて、『うわ、これは好きだ』となったし、イヤホンもMP3プレイヤーもほしくなったし。前髪で目が隠れていたから、おかげで視力も落ちました(笑)。本当に青春そのものだったので、32歳で青春をやり直させてもらえるのはありがたい限りです」

好きだったキャラクターを聞くと、本作では武子直輝が演じる伊織順平の名前が挙がった。ビジュアル撮影時には「滅多にそんなことしないのに、直輝から順平姿の写真が送られてきた」そう。笑顔で語る姿に、二人の仲の良さが伝わってくる。

「順平は本当に普通の高校生で、背伸びしていないところが共感しやすいキャラですよね。変に悟っていないし、もがいてあがいていて、親しみやすくていいなと。逆に、女性キャラクターは男子校ゆえに、いわゆるギャルゲー的な見方をしていました(笑)。ゲームでしかそういう機会がなかったですからね(苦笑)」

稽古開始に向けて、すでに原作愛は十分。

「ペルソナでの戦闘シーンをどう表現するんだろうというところが、懸念でもあり、楽しみでもあるところで。その中で役者ができることって、やっぱり殺陣だと思うので、事前に『めちゃくちゃ殺陣をやりたいです』と伝えさせてもらいました。会話劇というよりかは、エンターテインメントとしての面白さみたいなものが存分に味わえる舞台になったらいいのかなと思っています」

インタビュー&文/双海しお

【プチ質問】Q:気分転換やリフレッシュしたいときにすることは?
A:夜の散歩ですね。すごく嫌なことがあった日も、ふらふらっと夜の街を歩いていると、小一時間くらいで家に帰りたくなってくるんです。そうなったら、もう大丈夫のサインというか。そういう時間帯に歩いている人を観察するのも面白いですし。昼間とは違うものが溢れかえっている街を歩く時間が、ちょっと特別でいいなと思っています。

※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載

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【プロフィール】

梅津瑞樹
■ウメツ ミズキ
代表作に舞台「刀剣乱舞」シリーズ、ミュージカル「薄桜鬼」シリーズなど。演劇ユニット「言式」脚本・演出。