
写真左から)佐伯亮、秋山皓郎、横井翔二郎、村松洸希
秋山皓郎と佐伯亮を中心に結成された劇団7枠13番。2024年6月に旗揚げ公演『折り合いの終幕』では、「役者」をテーマに出演者4人による会話劇を繰り広げ、大成功のうちに幕を閉じた。それから約1年、再び4人が集まり旗揚げ公演の思い出や2025年7月に上演される第2回公演『ミックスアンドマッチ』への意気込みを語ってもらった。
「旗揚げ公演が今後の人生の指針となるものにしたい」
佐伯 旗揚げ公演から約1年経ちまして、旗揚げ公演の思い出から話しましょうかね。
秋山 うーん、大変だった(笑)なんだろう、脚本を書いてる時は脚本が一番大変で、演出をやってる時は演出が一番大変みたいな。プラス役者として出演もするっていう。
横井 すごいタスクだね。
秋山 そういう意味では旗揚げ公演の時の役者としての自分は、役者史上一番何も考えてなかった状態かもしれない。悪い意味ではなく、不思議な体験ができたかな。
佐伯 構想は2人で役者の話がしたいねみたいな感じから始まったよね。
横井 そういう話、俺らあんまり聞いてないよね?
村松 ああ確かに聞いてないかもですね。(小声)
横井 声小さ!!
一同 (笑)
佐伯 最初は僕が役者の話をやりたいって言い出したのかな。30歳に差し掛かるにあたって、みんながいろんな転機を考えたり、今後どうしようかと悩むことがあって。それは僕も同じで、だからこそ旗揚げ公演が今後の人生の指針となるものにしたい、尚且つ本人役として演じてみたいと思ったんだよね。
村松 すごいな。うちの劇団(村松主催劇団:Uzume)で、もしナナワクの旗揚げみたいな役者の話を書いてって言われたら、各々の役者像の違いで揉めそう(笑)
横井 二人は揉めなかった?
佐伯 あんまり。
秋山 というより、俺があくまで自分の作品として書いたっていうのはやっぱり大きいかもね。当然亮の話とかを聞いてそれを元にとかはあるけど、全体を通しての伝えたいことであったりは、やっぱり自分の中からしか出なかった。
佐伯 結果的に脚本を見たタイミングも、みんなに配るタイミングより本当ちょっと前だったよね。
横井 ええ、亮もそうなんだ。
佐伯 はい。だから途中でここまで書いたんだけど見て、とかはなかったです。
秋山 旗揚げ公演をどういう作品として書いていこうって自分でも考えたときに、それこそ自分で感じたことであったり、経験したことじゃないとセリフがすごい嘘っぽく感じて。そういう時に亮から提案というか、アイデアはもらってたかな。あとどうせ恥ずかしい旗揚げ公演は恥ずかしくやりたい、そんな役者の話を書きました。
横井 確かに1発目にこのテーマをやろうと思ったことある人、多分世の中にいっぱいいるじゃん?でも多分やらなかった気がするわ。いやちょっと真正面すぎないか、みたいな。
佐伯 しかも旗揚げがやめる話ですしね(笑)
横井 このまま第2回なかったらどうしようかなと思ったよ。
一同 (笑)
「バタバタすぎてあんまり実感がない(笑)。気づいたらラスト1週間とかそういう感じ」
佐伯 よっこいさんと洸希は、皓郎とは旗揚げが初共演でしたが最初の印象とか覚えてます?
横井 何考えてるかまじ分からなかった。もう慣れたけど。
秋山 (笑)
横井 真実にしか興味ないタイプだから、それが分かってからは話が早かった。でも割と最初からこっちが思ったことを言ってさ、で思ったことを返してくれるし、それを受け止められるから、だからすごい良かった印象がある。
秋山 ありがとうございます(照)
村松 俺は同い年の脚本演出、さらに劇団を立ち上げるっていうことにすごく嬉しくて、なんか勝手に、うん、嬉しかったっていう印象(笑)初めてご一緒する演出家さんとか(自分が)構えちゃう時があるんだけど、構えずにスーっと中に入ってやれたって感じかな。
佐伯 確か洸希には、ブルーロック1stの稽古途中で劇団を作って公演しようと考えてるんだよねって相談したんですよ、その時は出演をしてもらう想定で話してはなくて。
村松 そうそう。その時に俺もできることだったらやらしてって話だったよね。うちの劇団の小道具を使っていいよぐらいのものだった。その後出演をしてほしいって言っていただいて。
横井 なんで洸希だったの?
佐伯 劇団やってる先輩であり、、、いや先輩か?
村松 おい(笑)
一同 (笑)
佐伯 いろいろ相談に乗ってくれてた時に、常に現場にいてくれたらめちゃくちゃ心強いなってなって。皓郎が演出だけど出演もするから、洸希がいるといい方向に進めると思って。
村松 結果素晴らしかったから、何もしないで済んじゃったんですよね。
横井 よかったよね、めちゃくちゃ楽しかった。大成功でしょう。
秋山 僕らはバタバタすぎてあんまり実感がない(笑)。気づいたらラスト1週間とかそういう感じで。
佐伯 それでよっこいさんがちょっと遅れての合流だったんですけど、、、
横井 ちょっとじゃなかったです、すいませんでした!!
一同 (笑)
佐伯 よっこいさんの安心感は半端ないですよね。よっこいさんが一緒にものづくりをしてくれると励みにもなるし、役者として負けたくないっていう闘争心も出てくるから刺激しかない。
横井 俺を一番に呼ぶ理由は亮の心が燃えるから、でしょ?
佐伯 はい(笑)よっこいさんが合流してからの稽古のぎゅっと感はやっぱすごかったなと。
村松 確かによっこいさんがいない稽古もたくさんあったけど、もちろんそれも思い出そうと思えば思い出すんだけど、よっこいさんがいない印象があんまりないです。最初は怖かったけど(笑)
横井 怖いっていうけどさ、最近のお前俺に対してすごいよ?
佐伯 すごいよね。
村松 お前がいうな(笑)
一同 (笑)
横井 でもいいよね。1発目に携われるのは。
佐伯 僕もとてもいいメンバーに来てもらえて、人徳だなと感じます。いろいろやってきたことが間違ってなかったのかなって。
横井 あー分かる、そういう成功体験だよな、よかった、やっててっていう。
佐伯 僕自身今後の個人の活動が劇団に貢献していけるっていうのはやっぱり嬉しいし、今までなかったモチベーションにもなっていくのかなって思います。
秋山 そうだよね。
佐伯 この先劇団やっててよかったっていうのも絶対あるし、だからこそ個人の仕事ももっと頑張っていこうとも思うし、それでみんなにもまた劇団公演に出てもらいたいし。今回の第2回公演もいいもので終われるように頑張ります。
横井 だって楽しく演劇するのがモットーでしょ?7枠13番は。
佐伯 そうなんですよ。
村松 ほんとそれに尽きますよね。俳優の気持ちを一番分かっている劇団であってほしい、これからも。
「真面目に“女性”というものに向き合って書いたテーマだから、すごく丁寧に頑張りたい」
村松 旗揚げ公演を経て今回第2回公演をやるにあったって、今までとは違う変化や継続をしていかないといけないじゃん。そういう面で今回の想いみたいなところはある?
秋山 第2回公演は女性をテーマにして、今1番強く感じることは、すごく丁寧にやりたいなと思ってる。何事にもというか、戯曲も演出も。演劇って観に来てくれた人が何を思ってくれてもいいし、できるだけプラスのものを届けられたら素敵なんだけど。今作はお客さんの感度が高い作品になりそうな気がしていて。自分自身、真面目に“女性”というものに向き合って書いたテーマだから、そこを今はすごく丁寧に頑張りたい。
佐伯 僕は制作的な面でもっとたくさんの方に作品を広められるにはどうすればいいかなってずっと考えてる。
横井 そうだよね、大事なテーマだよね。
村松 最初は役者きっかけではあるけど、この先ナナワクがやるならとかフライヤーやあらすじを読んで観に来たっていう方が増えていけば嬉しいよね。
佐伯 そういう意味で元々僕自身、本多劇場を目指して下北沢で演劇をやっていきたいっていうのがあってやってるんだけど、下北ってふらっと演劇を観に来てくださる人が多いじゃん。僕らのこと何も知らなくても。だから奇跡的な巡り合いで観劇してくれた人にもこの先応援していただけるようになりたいなって思う。
横井 俺は信頼する仲間からこうして声がかかってる時点で、正直何が来ても大丈夫だと思ってるよ。その代わり愛を持って書いてねとは思うけど。だから俺たちも頑張るし。とにかく自分たちで表現の場を作ってるということをとても尊敬してる。この先も旗揚げ同様変な欲とかその片鱗すら見えないまま、かっこいい状態で終われたらなって。そのためにまず何より7枠13番を観に来た方達に、いい劇団、いい作品だなと思ってもらえる何かに俺がなれたら最高だなと思ってる。
秋山 ありがとうございます。頑張ります。
横井 じゃあ舞台監督の洸希くんは?
村松 いや僕は何が来ても大丈夫ではないです(笑)
一同 (笑)
村松 舞監は完全に初めてなんで。
佐伯 相当お願いしたよね。
村松 はじめはちゃんと断ろうと思ってて。ナナワクのことが好きだからこそプロとしてやられてる方がいいと思ったんですよね。でも2人のいろんな想いを聞いて、じゃあ僕がやる意味を持ってやるしかないなと今は思ってます。僕のことを俳優として知ってくれている方に、普段フォーカスされづらい舞台監督というポジションから何かしら発信できたらいいな。
横井 でも絶対面白いと思う。だって洸希は演出家やって、脚本家やってプレーヤーもやってるじゃん。その人が舞台監督に求めるものを多分やると思う。必然的にそうなるから、それがどういう感じなっていくのかが楽しみだな。
佐伯 あと稽古場に洸希がいてくれるだけで助かるし嬉しいよね!
秋山 まぁそうね。
横井 待って、亮の熱量と皓郎の熱量あってる?(笑)
村松 大丈夫か?(笑)
秋山 はい。なんなら僕が洸希を舞監にしたいって言い出したので。
横井 じゃあなんでそんなテンション感なんだよ!
一同 (笑)
村松 頑張ります(笑)
佐伯 いつか洸希の劇団とナナワクが一緒に演劇を作れたら楽しそうだよね。
村松 劇団コラボはめちゃくちゃやりたい。
横井 でもそういうのやるなら絶対早い方がいい気がする。待ってたらチャンスってなくならない?
佐伯 そうですよね、それも目指してこの先も頑張っていきます。
横井 その場合も洸希はナナワクの舞監もやるんでしょ?
村松 あっはい(笑)
佐伯 じゃあ最後は皓郎に締めてもらいますか。
秋山 第2回公演は、演出。セリフももちろん重要なんだけど、演出という面で旗揚げ公演の時よりいろいろな見せ方であったり、面白そうな部分が多い脚本になると感じてる。またみんなで楽しくというか、みんなでいろいろ話し合って、それこそタイトルが“ミックスアンドマッチ”なので、さまざまな要素、役者それぞれの面白ポイントをマッチさせて、素敵な舞台が出来ると思っております。楽しみに待っていてください。
写真/垣雅之