
世田谷パブリックシアター×ワジディ・ムワワド×上村聡史の第四弾、舞台『みんな鳥になって』が開幕。それに伴い、舞台写真とトレーラー、演出・キャストの開幕コメントが到着した。
コメント
演出・上村聡史
台詞ひとつひとつ、今の世界とここにある物語に正対し、作りました。その成果を実感できた初日でした。八人の俳優が紡ぎ、吐き出し、伝えぬく表現の余韻が、劇場全体に満ち溢れていることに、喜びを感じています。その一方で、この余韻が、観客の皆様ひとりひとりの怒りや悲しみにも繋がっていくのだろうと、作り手として、いっそうの強い責任を感じました。千穐楽までこの熱量を貫き通したいと思います。
中島裕翔
無事に初日の幕が上がったことに安堵しています。約1ヶ月半の稽古期間を経て出来上がったこのカンパニーのチームワークがあれば千穐楽まで走り抜けられる。それを実感した日でもありました。
言葉を自在に操る素晴らしい役者たちによってワジディ・ムワワドのポエティカルで美しい言葉たちが紡がれ、みなさんを劇場を超えて、思いもよらない世界へと連れていきます。
それぞれのキャラクターの思いを受け取っていただけたら嬉しいです。
私もエイタンを一生懸命に生きたいと思います。
岡本健一
初日の上演は、劇場中が物凄く静かでいて、濃密な無音の中で、姿や声に色や言葉、音や風景に、あらゆる感情が生まれていて、真空の中で心が動き、果てしなく無限な宇宙の中で、言葉を吐き出しているような…初めての体験をしました。
そして、カーテンコールでは劇場に居るみんなが、生きていることに感動していました。
次の日の公演では、またしても初めての感情が生まれ、初めての声を聞き、初めて感じる空気の流れを体感しました。
この回も凄かったです。
これからも何が湧き上がるかわかりません。
観劇したお客様には、どんな感情が生まれているのでしょうか。
劇場は常に生きて動いています。
世界も日本も私たちも動いています。
このままでは駄目なんだということも強く感じています。
それと同時に、これからの世代、これからの社会、愛国心、希望、色んな思いや大きな愛も感じています。
この作品で、自分の中から新しく生まれる感情が沢山あることに感謝しています。
これから観劇してくだる方々のためにもスタッフ、キャスト一同、毎日を健康第一で大千穐楽まで挑んでいきますので、皆様も御自愛してお過ごし下さい。
岡本玲
ついに幕が上がりました。
この作品をお客様に届けられることに胸がいっぱいです。ご観劇くださった皆さま、本当にありがとうございます。演じるたび、公演を重ねるたびに、この作品の凄まじさを痛感します。まだ足りない、まだ深く潜れる、と自分自身への怒りを感じるほどに。上村さんをはじめ、心震える素晴らしいカンパニーの皆さんとご一緒できていることに心から感謝しています。千穐楽まで、この作品と、役と、自分自身と向き合い続ける覚悟で挑みます。劇場でお待ちしています。
那須佐代子
おかげ様で無事開幕いたしました!
この作品がどのようにお客様に伝わるのか初日まで不安だったのですが、終演後にはお客様の集中力を通してある手ごたえを得たように感じました。
現在進行形の民族間の問題を扱いつつも、どこか寓話的で美しい言葉が散りばめられたムワワドの劇世界は、絶望を通り越したその先にある光、力を感じさせてくれるように思います。
いま多くの方々に見ていただきたいお芝居です。ご来場を心からお待ちしております。
松岡依都美
まずは無事に開幕いたしました事をとても嬉しく思います。この作品の緊張感は凄まじく、一瞬たりとも気が抜けません。ただ初日の客席からはその緊張感を上回るほどの、もの凄い集中力を感じました。演じる側もそうですが、観る側も真剣勝負。両方の熱が混じり合う瞬間に『演劇の力』を実感いたしました。この作品に触れることで、世界に目を向けるきっかけとなればとても嬉しいです。1人でも多くのお客様に届く事を願って明日からもキャスト、スタッフ一丸となって挑んでまいります。
伊達暁
『みんな鳥になって』、たくさんの人たちの想いと働きによって初日の幕が開き、この世田谷パブリックシアターから飛び立つことができました。こうしている間にも彼の地では止むことのない虐殺。自分に何ができるのか。この作品に散りばめられた言葉を探り、祈り、力強く伝えていく、最後まで。今この作品に出会えたこと、そして、ご来場の皆様とひととき同じ世界を生きられることに感謝しています。
相島一之
初日が開いて。回数を重ねれば重ねるほどこの作品のことを考えます。戦争とは何なのか。人はなぜ争うのか。民族とは何なのか。じゃあ、人間とは何なのか。この世界の中で僕らはどう生きればいいのか。どの問いもとてつもなく大きく深い。簡単に答えなど見つからない。でもそれを問い続け、考え続ける。そんな作品なんだなと思っています。そんな作品に参加できることを光栄に思います。どうか演劇の魅力、可能性がみなさまのもとに届きますように。
麻実れい
初めてのムワワド作品との出会いは11年前の『炎 アンサンディ』でした。今回の『みんな鳥になって』は3作目の出演となります。現在でも厳しい中東の問題。今舞台は様々な矛盾をテーマとしています。御客様一人、一人が物語を通して人と人また家族のつながりを感じていただければ嬉しいです。
舞台写真
撮影:細野晋司










トレーラー
ストーリー
ニューヨークの図書館。ユダヤ系ドイツ人で遺伝学を学ぶ青年エイタンは、イスラム史を学ぶアラブ系アメリカ人のワヒダに出会い、声をかける。二人はたちまち惹かれ合い、恋に落ちる。
エイタンは、ワヒダとの結婚を家族に認めてもらおうとするが、敬虔なユダヤ教徒である父ダヴィッドの強い反対に直面する。過剰なまでにワヒダを拒絶する父の姿に、本当に自分は父の子なのかと疑いを抱いたエイタンは、DNA検査を行う。やがて父の出生に関する疑念を深めたエイタンは、その真実を確かめるため、ワヒダとともに祖母レアが一人で暮らすイスラエルへと向かう。
しかし滞在中、二人は爆弾テロに巻き込まれてしまう。病院に運ばれたエイタンのもとへ、父と母ノラ、そして祖父エトガールが駆けつけ、長らく断絶していたレアとの再会を果たすこととなる。
こうして、封じられていた家族の過去が、少しずつ明らかになっていく──。