平野啓一郎の傑作小説が原作のミュージカル『ある男』│稽古場映像 初公開シーン映像が公開!

平野啓一郎の傑作小説で、2018年に読売文学賞を受賞し、世界中で翻訳された長編小説『ある男』。その物語が新作ミュージカルに!浦井健治、小池徹平、濱田めぐみ、ソニン、上原理生、上川一哉、知念里奈、鹿賀丈史など、いま、圧倒的な歌唱力と演技力を誇るキャスト陣と共に世界初演を迎える。このたび、その世界観の一端を感じられる初のシーン映像が公開された。

ひとつの“死”をきっかけに、ある男の真実を追う物語が、緻密な脚本と旋律豊かな音楽によって舞台上で立ち上がる。本映像では、メインキャストたちが本番さながらに演じた稽古場でのシーン披露の様子をお届けする。

<一幕一場>

弁護士・城戸章良(浦井健治)は、宮﨑に暮らす女性・谷口里枝(ソニン)から、ある奇妙な依頼を受ける。

それは、亡き夫・谷口大祐に関する「違和感」の真相を突き止めてほしいというものだった。

長年疎遠だった兄・谷口恭一(上原理生)が、弟・大祐の訃報を聞いて里枝を訪ねてくる。だが仏壇に飾られた遺影を目にした恭一は、愕然とする。

そこに写っていたのは―弟とはまったくの別人だったのだ。

愛した夫は、名前も、過去も、すべてが偽りだった。

では、谷口大祐と名乗っていたあの男は誰だったのか?

章良は、“名前のない男”=Xの調査に乗り出す。

やがて明かされていくのは、一人の男の数奇な運命と、隠された過去。

♪「別人」 

歌唱者:谷口恭一(上原理生)

静けさを破るように、恭一が放つひと言。

「これは別人です」。

長年疎遠だった弟・大祐の訃報を受け、親族として仕方なく訪れた恭一。だが仏壇に飾られた遺影を見た瞬間、彼は確信する。

「この男は弟ではない」と。

その驚きと怒り、戸惑いを抑えきれず、里枝(ソニン)に真実を突き付ける場面を描いた、緊迫のナンバー。

♪「ある男」

歌唱者:城戸章良(浦井健治)、X(小池徹平)

「彼は一体、誰なのか?」

遺影の男が“別人”だったという衝撃の告白を受けた章良は、正体不明の存在、名前を失った男“X”の調査に乗り出す。

調査の入り口に立った章良の心理に、“X”という存在がまるで幻のように立ち現れる、ミステリアスで幻想的な一曲。章良の現実と内面、過去と現在、そして生者と死者の境界が曖昧になり、彼自身が謎の中に引き込まれていく。

「なぜ彼はすべてを偽ったのか?」

“ある男”と章良の声が交錯し、まだ顔の見えない真実が観客に投げかけられる。

ここから、物語は静かに、しかし確実に闇の核心へと踏み込んでいく。

<一幕十場>

城戸章良(浦井健治)は、“ある男”=Xの正体を突き止めるべく、調査にのめり込んでいく。やがて彼は、戸籍ブローカーの存在に行き着き、横浜刑務所に収監中の小見浦憲男(鹿賀丈史)との面会を重ねる。

小見浦に導かれるまま、章良は他人の名前を語り、実際に“なりすまし”を体験することに。その一線を越えた瞬間から、章良の内面も静かに崩れ始めていく。

だが真相は掴めない。そんな章良を嘲笑うように、小見浦が口にした名は「曾根崎義彦」。それが“X”の本当の名前なのか?なぜXは、すべてを偽り、別人として生きたのか?

やがて暴かれ始める“ある男”の正体。
だがその「真実」は、果たして暴かれるべきものなのか。
章良とX、時空を越えて交錯する二人の心が、“嘘と真実”、“正体と記憶”を巡り激しくぶつかり合う。

♪「暗闇の中へ」 

歌唱者:城戸章良(浦井健治)、X(小池徹平)

なぜ彼は、別人として生きる道を選んだのか。

なぜすべてを捨て、過去から逃れようとしたのか――。

章良は“真実”を求めてXに迫るが、その先に広がっているものは。

Xの人生は本当に暴かれるべきものなのか?

他人の傷に踏み込むその行為は、果たして「正義」と呼べるのか?

章良とXが、互いの信念と心の奥をぶつけ合いながら、静かに、しかし激しく対峙する一幕ラストのデュエット。

言葉と旋律が絡み合い、観客の心に深く問いを残す。

この先に待つのは、希望か、それとも、暗闇か。

【披露曲フル収録】ミュージカル『ある男』稽古場映像 初公開

本公演は、8月4日(月)~8月17日(日)まで、東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて上演され、その後は広島、愛知、福岡、大阪にて巡演予定だ。