ミュージカル『PandoraHearts』|横山賀三 インタビュー

©望月淳/SQUARE ENIX・ミュージカル『PandoraHearts』製作委員会

思い切り作品の世界に浸かって演じていけたら

連載終了から10年経った今もなお根強い人気を誇る望月淳による漫画「PandoraHearts」が初のミュージカル化。ある日突然、身に覚えのない罪で闇の監獄・アヴィスへと堕とされてしまう主人公オズ=ベザリウス役を演じるのは、本作が初主演となる横山賀三だ。

「長く愛され続けている作品の魅力をしっかり届けて、原作ファンの方はもちろん、本作で初めて触れる方にも作品を好きになってもらえるよう責任感を持って挑みたい」と意気込む。

原作の世界観と個性豊かな登場人物たち、そして複雑な伏線が絡み合う物語に魅了されたと語る横山は、「オズとアリス、そしてオズの親友で従者のギルバート=ナイトレイ(以下、ギル)の3人がとくにお気に入り」と語る。

「オズの視線で原作を読んだときに、とくにオズへの愛が強いアリスとギルのことを愛しく感じました。僕が演じるオズは、少年らしくて無邪気で元気いっぱいな面を持っているけれど、内面にはアリスやギルと同じく、孤独や不安を抱えている人物だと思っています。ある日突然自分の存在そのものが罪だと告げられ訳も分からないままアヴィスに堕とされたことで、真相を明らかにするためにも彼は仲間とともに旅に出ますが、つまりそれは自分の存在が罪である理由を知ってしまうということ。その怖さがあるはずなのに、彼はそれを表には出さず、時には自分を犠牲にしてでも仲間のために動く。そういった強さを持っているかっこいい人物だなと思います。でも、やっぱり内には不安や孤独があると思うので、演じるうえでは、いろんな登場人物との出会いで生まれる心の変化を大切にしていきたいです。伏線が複雑に絡み合ったストーリーなので読み進めている間は謎も多く、点と点が線になるまでは登場人物の本音が読めない部分もあるのですが、やっぱり舞台で演じる以上、その中でも自分なりの正解がない状態ではお客様に届かない。なので、彼の心の中で生まれるものに丁寧に繊細に向き合って、たくさん考えながら役作りをしていきたいです」

さらに今回初座長を務めるということで、その心意気も聞いてみた。

「僕は心配性なところがあるのですが、座長らしく前に進んでいく強さを持てたらいいなと思っています。座長として物怖じせずに、今できる精一杯の表現をしていきたいです。とはいえ、自分一人ではできないこともたくさんありますし、先輩方に頼って、助けていただきながら舞台上に立てたらなと思っています。今回初共演の方ばかりなので緊張もしているのですが、どんな状況でも前に進むオズに背中を押してもらいながら立ち向かっていきたいです」

9月30日(火)には23歳の誕生日を迎える。

「22歳は、多くの出会いを経て理想像がリアルになった一方で、それを表現するには自分に足りないものが多くあると痛感する1年でした。後から考え込んでしまう節があるので、23歳は過去を振り返って後悔するよりも、前へ進んでいける人間になるのが目標です。あとはスカイダイビングにも挑戦してみたい(笑)!」

作詞・高橋亜子×音楽・富貴晴美のタッグによる楽曲も楽しみだと横山は目を輝かせる。

「この素敵な世界を届けるために役として生き、そしてオズとして歌を届けられるように、精一杯頑張ります。お客様が『PandoraHearts』の世界に入り込めるよう、自分自身も思いっきり作品の世界に浸かって演じていけたらいいなと思っています」

インタビュー&文/双海しお

【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:稽古場への差し入れはまだあまり経験がないのですが、今回は座長なので差し入れをしたいなと思います。みんなが嬉しいものを選びたいので、有名ステーキ店のお弁当とか差し入れしてみたいな……という夢をこの前見ました(笑)。

※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

横山 賀三
■ヨコヤマ カザン
2013年に劇団四季ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』で舞台デビュー。近作はミュージカル『ニュージーズ』、ミュージカル『憂国のモリアーティ』など。