竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』│戸塚純貴 インタビュー

戸塚純貴が竹中直人×生瀬勝久による竹生企画に初出演!

竹中直人と生瀬勝久による演劇ユニット・竹生企画の第四弾公演『マイクロバスと安定』が11月に下北沢・本多劇場から開幕する。作・演出に倉持裕を迎え、2011年に始動した同ユニットは、倉持独自のシニカルな視点で切り取られた綿密なストーリー展開と個性的な出演者の絶妙なセリフの応酬と間で観客を惹きつけてきた。第四弾となる今回の公演では、3年後に世界が滅亡する状況の中でもがいて生きる人々の姿を描く。

本ユニット初出演となる戸塚は、生瀬からの声がけで出演が決まったという。

「生瀬さんは公私ともにお世話になっている、尊敬している先輩です。そんな生瀬さんと演劇をともに作ることができるのは、僕にとってとても大きなことで、まさに念願が叶ったという思いでした。竹生企画という、演劇界を築き上げてきたお二人の作品に参加させていただけることに身の引き締まる思いですし、自分に何ができるのだろうと楽しみです」

倉持の演出は本作が初めて。

「今回、僕は生瀬さんから声を掛けていただいて出演しますが、ストーリーの中では、竹中さんと行動をともにする役どころになりそうです。生瀬さんとは対峙する人物なので、それが意外で面白いと思いました。地球滅亡を題材にしているというとシリアスに聞こえますが、倉持さんらしいコミカルさのある作品になるのだと思います」

映像作品での活躍が光る戸塚だが、舞台にもコンスタントに出演し続けている。

「舞台のライブ感は映像とは違うものがあります。実際にお客さんの前で演じるので、もちろんやり直しができない。それは難しさでも楽しさでもあります。そして、1カ月の稽古を通して演出家さんや共演者の皆さんと共通言語を作り、完成した作品を皆さんに届けるという、その作業は演劇ならではのものです。エネルギーを使う作業ですが、だからこそ生まれるリアリティもある。今回も毎日、純度の高いものをお届けすることを目指して稽古に励んでいきたいです」

本作にちなみ、「もし、3年後に世界が滅亡すると言われたら?」と質問してみると―――。

「これまでとあまり変わらない生活をすると思います。違うことをして、世界が滅亡の前に自分が終わってしまうことの方が怖い。3年後になくなると思ったら、法律も秩序もなくなってしまうのかもしれませんから、人間としてのモラルが試される世界になるのかもしれません」

そして、世界最後の瞬間までに「今抱えている作品をやり遂げたい」と話す。

「僕はやっぱりお芝居、役者という仕事が好きなんです。ありがたいことに何年後の舞台作品のお話もいただいているので、滅亡する前に公演をしたいです。世界が滅亡すると分かっている状態でおこなう公演って、めちゃくちゃ面白いですよね?『もうすぐ世界が滅亡しちゃうけどね』と思いながらも真面目に芝居をする。それってすごいことだと思いますし、どんなものになるのか観てみたい。今回の作品でも、窮地に立たされたギリギリの状態にいる人間の姿がテーマだと思うので、それが芝居に出せたらと考えています。今、僕たちは、デジタルなものに溢れ、人との距離感を取るのが難しくなってきている時代に生きていますが、この作品はこれまで考えてこなかったことに直面せざるを得ない物語になると思います。観てくださる方もこの作品を通して、普段の生活では味わえないような体験をしていただけたら嬉しいです」

インタビュー&文/嶋田真己
Photo/篠塚ようこ
ヘアメイク/中島康平
スタイリスト/鬼塚美代子

※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

戸塚純貴
■トヅカ ジュンキ
数多くのテレビドラマ、映画、舞台に出演。近作は映画『ある閉ざされた雪の山荘で』、NHK連続テレビ小説『虎に翼』など。