消えた。
もうダメかな。
光るまで待ってみようか。
光らないかもしれないけどさ――
消えたもの。終わったもの。
そこにあったもの。
煌々と輝いているものではない、今や古びてしまったあらゆる。時間はいつだって流れ、もう消えてしまったなら立ち去るのがいいかもしれない。次の場所には、新しい出会いがいくつもあるのかもしれない。けれど。
けれど。見つめたい。通り過ぎてしまえるそこで、ここで、じっと。
消えてしまった、ものを、だったものを見つめる。
私はもう一度、それを見たいんだ。
作・演出 細川洋平 コメント
不在と喪失を受容するまでの時間を描いた『公園まであとすこし(以下、公園)』という作品があり、その再演を考えていたのですが、自分の心が、その作品の全く別の側面を見たいといいました。過去に書かれた言葉を元に、あたかも目の前に、今あるかのように演じていく演劇という行為を、自分なりに押し広げてみる。発話や行いの中に、どのような形で今の社会に漂う不在や喪失が現れてくるのかを解明する。上演を通じて、思索そのものを行う。そこに、ふしぎで、切実で、しょうもない、人間の在り方が浮かび上がってくるのではないかと感じています。『公園』を原案として作成しつつ、完全に独立した新作を上演します。
どうぞよろしくお願いいたします。
出演キャスト
藤代太一 佐藤真弓 佐藤滋 藤井千帆

=ほろびてとは=
細川洋平が2010 年より始動させた演劇カンパニー。
2015 年より小さな舞台空間での創作をはじめ、見過ごされる人々を主題にした作品を多く発表。「物語」の構造を疑いながら、演劇という枠組みの更新へ向けた思索を続けている。
『あるこくはく』で第11 回せんがわ劇場演劇コンクール(2021)グランプリ、劇作家賞(細川)を受賞。2023 年度、次世代を担う若手劇団のためのプログラム「芸劇eyes」に選出。2024 年2 月『センの夢見る』を東京芸術劇場シアターイーストで上演。2025 年5 月『ドブへ INTO THE DITCH』を吉祥寺シアターで上演。
カンパニーメンバーは細川洋平と藤代太一。
