た組新作『景色のよい観光地』——加藤拓也、2年ぶりの劇団書き下ろし。
密やかな“毒”が、静かな観光地を揺るがす。全キャスト5名からのコメントが解禁された。
第67回岸田國士戯曲賞、読売演劇大賞優秀演出家賞など、近年の演劇賞を席巻し続ける劇作家・演出家加藤拓也。
その最新作が、2年ぶりとなる“劇団のための書き下ろし”として誕生する。
国内外の演劇関係者から常に新作を期待される加藤が、今回は「観光地」という一見のどかな場を舞台に、人間の奥に沈んでいる欲望や違和感をじわじわと炙り出す。
作品の中心となるのは、山間にひっそりと佇む現代的な小さなお茶屋。
澄んだ空気と美しい景色に包まれた空間で、店主とそのパートナー、そこに集う客たち——
“穏やかに見える日常”の裏側に潜む、秘密の趣味と衝動が、来訪者の出現によって静かに輪郭を帯びていく。
観光地のポストカードのような風景が、ふとしたきっかけで色を変え、気づけばその場の空気全体が揺らぎ始める——
加藤作品ならではの、緻密な会話劇が存分に発揮される作品だ。
あらすじ
山中の観光地にある現代的なお茶屋。健介と隆治は一緒に生活をしながら共同で店を経営している。健介は主にお茶やお菓子を担当し、隆治は経営や運営の全般を管理していた。隆治は「毒のある物を調理する」という健介の趣味に惚れ込んでいる。
お茶屋が開店して丁度一年が経ったある日の閉店後、近くの旅館で働く前野とオーガニックレストランを経営する宮口が店を訪れ、隆治が惚れ込む健介の趣味の存在を知る。三人はこの密やかな趣味をたくさんの人に共有するよう説得を始める。
コメント
作・演出:加藤拓也
舌の上に機械を乗せると電気信号で味が再現できるようですが、食べちゃいけない物の味も成分を分析すれば、味が再現できて、食べちゃいけないものが体験できるようになるのではないかと思いました。食べられない物の中にも美味しいと感じる成分はあるはず。お話は鍼灸師がお茶屋になって食べちゃいけないものを食べる話で、沢山の人に観てもらいたいと思っています。
隆治役:平原テツ
今回の作品はマジで会話、会話、会話ですね。まぁ、加藤くんの作品は毎回こうなんですが…ずーと皆んな喋ってます。だからこそ丁寧にやらないと、スルスル〜と進んでお客さんを置いてけぼりにしちゃうので、受け取って貰えるようしっかりと創り上げていく所存です。相変わらず加藤くんのキレっぷりが出てる作品なので、楽しみにして下さい。
健介役:田村健太郎
僕は旅が好きです。知らない土地を歩いて、普段感じれないことを感じたり気づいたりしながら観光する。劇場もそういう場所だと思います。見に来てくれた方を知らない場所にお連れできるよう、稽古したいと思います。果たしてどんな景色が広がるのか。脚本を読みますと、ほのぼのとした観光ツアーにはならなそうな雰囲気です。ミステリツアーかクレジージャーニーか…乞うご期待!
前野役:安達祐実
加藤さんとまた舞台を作れることが、嬉しいです。台本の2ページ目くらいで既に「これは大変なことになりそうだ」と思いました。でも大丈夫!テツさんもタムケンさんもいるんだから!と言い聞かせています。それにしても人間ってなんでしょう。見たくないものには蓋をして、平気な顔で生きていたりする。みなさんの立っているその場所からはどんな景色が見えますか?しっかり立っていると思っていたその場所が、観劇後にはグラグラと揺らいでいるかもしれません。何はともあれ、楽しみながら一生懸命演じたいと思います。
宮口役:宮崎秋人
この度、た組に初参加します宮崎秋人と申します。「心臓が濡れる」で初めてた組作品を観劇してから、一ファンとして追っかけていたので念願叶っての出演です。初めて手にするた組の台本を心踊らせながら読んで、「うわーこの役を自分がやるのか」と、デビューの頃に近い感覚になりました。脚本からざわざわするような音が鳴ってる感覚があって新しい出会いを既に感じております。稽古が楽しみです。よろしくお願いいたします。
楊役:呉静依
これから3ヶ月ほど異国の地で稽古と公演に取り組みます。ワクワクすると同時に、少し緊張もしています。異なる文化との出会いはもちろん、人と人との交流にはすでにたくさんの可能性があると感じています。日本は私にとってまったく馴染みのない国ではありませんが、文化や生活様式には台湾とは大きく違う部分もあります。私は台湾の魂を胸に、素晴らしいチームの皆さまと協力しながら、さまざまなことを探求していけたらと思っています。それはまるで実験であり、冒険のようでもあり、考えるだけでワクワクしてきます!
※宮崎秋人の「崎」は「タツサキ」が正式表記
※呉静依の「呉」は「中国語(繁体字)」が正式表記
