舞台「PROPS!」│高本学×北乃颯希 インタビュー

写真左から)高本学、北乃颯希

漫才賞レース準決勝、担当芸人の出番まで奮闘する裏方たちの物語!

12月4日(木)より東京は吉祥寺シアター、12月12日(金)より大阪・扇町ミュージアムキューブCUBE01にて開幕する舞台「PROPS!」。漫才賞レース準決勝の裏側を舞台に、マネージャー歴3年目の契約社員と、会場に現れない相方を待つ芸人が、同事務所のマネージャーたちとともに、刻一刻と迫りくる出番まで右往左往するという物語だ。
年末の超大型漫才グランプリに向け世間の気運が高まるこの時期に、毎公演、吉本興業の人気芸人が登場し、オープニングにネタを披露するということでも話題となっている。

主演は高本学で、お笑い芸人のマネージャー・浦寺(うらじ)を演じる。相方を待ちぼうける芸人・大我(たいが)役を北乃颯希が努める。
共演経験もある2人が今作にどのように臨んでいるのか。稽古中の2人に話を聞いた。

愛のある「芸人マネージャー」をリアルに演じたい

――今回演じる役柄について教えてください

高本 僕は芸人のマネージャーになって3年目の契約社員で浦寺(うらじ)という役を演じるのですが、天然で、まっすぐで、自分が担当している「ポッツォ」というコンビをすごく愛している人です。それには理由があるのですが、浦寺のこの日までの人生が垣間見られるよう、リアルに演じたいです。まっすぐなぶん空回りもするところもありますが、愛を持った人なので、大切に演じたいなと思っています。

北乃 僕は9年目の芸人で、新人賞を獲ったこともあるお笑いコンビ「ポッツォ」のツッコミで大我(たいが)という役を演じます。人生を賭けた大きな賞の準決勝当日に、相方が会場に来ないって、めちゃくちゃやばいことやのに、その不安を周囲には見せずに強がっています。が、会場に来ない相方への想いもしっかり持っている、とても裏表がはっきりしてる人ですね。
僕は元々お笑いが大好きなので、芸人の役はプレッシャーがあります。何なら今回は現役で活躍している芸人さんたちがオープニングでネタもやってくださいますし、さらに松田大輔さんや九条ジョーさんという、本物の……本物のって言い方は変やな、俺が偽者や(笑)。共演にプロの漫才師、お笑い芸人さんがいらっしゃるのでね。毎日稽古場で、どうやって笑いを取ったらいいのか、と本当に毎日芸人さんのように…いや「俺は芸人なんだ」と思いながら稽古に励んでいます。

――普段から北乃さんはお笑いライブを観に行ったり、芸人さんとの交流があるんですよね。役作りの上では参考になっていますか?

北乃 お酒も好きなので、一緒に飲みに行く方が多いですね。その方たちの普段の感じを参考にしながら役を作っているところはあります。それ以前に俳優友達と一緒に漫才ライブをやったり、コントライブをしたこともあります。自分がネタを考えていたので、大我の気持ちがすごく理解できますね。

――高本さんも俳優として普段からご自身の所属事務所のマネージャーさんと接していると思うのですが、役作りの参考にしましたか?

高本 僕も役者として日々マネージャーさんの愛をたくさん受け取りながら、仕事をさせていただいていますが、芸人さんとマネージャーの関係は、僕らの感覚とちょっと違うし、特殊なんだな、というのを台本から感じました。
僕ら俳優とマネージャーさんは一緒に成長していく感覚が強いですし、〈僕〉という俳優のマネージメントを〈お願い〉している方、という認識なのですが、芸人さんは、芸人さんが売れていく過程にマネージャーさんが〈付いて行く〉感覚のように見えます。そこに独特のシステムが出来上がっているのだな、と思いながら演じています。

――役柄を通して見たお互いはどんな印象ですか?

高本 マネージャーの役を演じていると、ちょっとその感覚で颯希を見てしまいますよね(笑)。以前の共演作では絡むことが少なかったので。

北乃 前に共演した時は、絡みは少なかったのですが、日替わりで「一発芸しなさいよ」みたいな無茶ぶりのパートがあって、僕は出ていないシーンなのに、毎回、舞台上から学くんに呼ばれたんですよ。楽屋にいるのに「颯希、呼ばれてるで」って。

高本 でもそれは「(楽屋にいる人も)呼んでいいよ」という許可があってのことだからね(笑)。若気の至りもありますけど、その頃から「颯希が面白くしてくれるだろう」って信頼があったんですよ。

北乃 突然舞台上から呼ばれているほうとしては「ふざけんな」ですよ(笑)!

高本 こんな感じで、颯希は壁を作らないでいてくれるので、すごく接しやすいんです。

北乃 まぁ同郷っていうのもあるしね、年齢も2つしか違わないし。

高本 だから今回は、もう本当に芸人「ポッツォ」の大我として見ています。颯希自身がめちゃくちゃお笑いが好きだから、その愛が伝わってくる。多分芸人だったらこう反応するだろう、こう考えるだろう、的な感覚が染みついているし、好きだからこそ背景にある色んなストーリーを知っているんだと思います。今はもう芸人にしか見えないですね。

北乃 学くんは真面目やのに、ちょっと抜けているのが可愛いところなんですが、浦寺というマネージャーも、そのまんまの人ですね。今回はある程度当て書きをしてくださっている部分もあるからかもしれませんけど。冒頭に台詞がなく、ボーっとするシーンがあるんですけど、学くんは浦寺としてでなく、ホンマにボーっとしている時があるんですよ。そこで台詞を忘れるんだけは、本番ではやめてほしいなと思っています(笑)。

高本 本当に長時間ボーっとしているシーンなんだよね。

北乃 その時の学くんの顔にはちょっと注目していただきたい。浦寺の「おもしろ顔ポイント」は何個かありますんでね。

高本 でも、今回の共演者は面白い人が多いよね。

北乃 それは本当にそう。僕のツボは、寒川(さむかわ)さん(演・菊池美里)です。

――浦寺と同じ会社のデスク(現場におらず事務所で事務・デスク業務をしている人)なのに、賞レースの予選が大好きで準決勝の会場にいる、という寒川さんですね

北乃 僕以外はほぼ全員マネージャーの役なんですけど、寒川さんのとあるシーンで、なぜか一句詠むシーンがあるんですよ。僕はそこがホンマにツボで。役者さんの声、表情、何かが欠けたら絶対クスリともしないかもしれないのに、全部がマッチして120点のシーンなんです。僕はそこが大好きです。直後の皆さんの表情もめちゃくちゃ好き。僕はその後に不機嫌な顔で出てこないといけないんですけど、笑わず出てこられるかな?と。役者として頑張らないと、と思っているところです。

表に出ている人たちを支えている人のドラマ

――では観どころをお願いします!

高本 お客様は多分これまで、芸人さんとマネージャーの関係性を舞台で見ることはなかったと思うんです。裏にいるスタッフさんの姿や、こういったコミュニケーションをして、芸人さん達が劇場や漫才の舞台に立っているんだ、というお仕事のリアルを描いているストーリーだと思います。観てくださった皆さんが、この作品から何か受け取って、明日から自分も頑張ろう、と思えるような主人公でありたいなと思っています。

北乃 普段は表に出ている人だけをお茶の間で見ているけれど、その人たちを裏で支えている方々にも苦労があり、ドラマがあるんだよというのをぜひ知っていただきたいです。僕個人としては、オープニングでネタをやってくださる芸人さんや、松田さんや九条さんといった名だたる芸人さんが出演している中、僕を知らない方が「え、あの人、芸人じゃなかったんだ!?」って思ってもらえるようなお笑いコンビ「ポッツォ」の大我を演じられたらと思います。

高本 ぜひ劇場で、心が温まるストーリーを楽しんでほっこりして年末を迎えてもらいたいですね。劇場でお待ちしています!

写真/保坂萌

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高本学 単独インタビュー記事も公開中!
詳細はこちら ⇒ https://engekisengen.com/genre/play/122085/