ミュージカル『メリー・ポピンズ』歌唱披露イベント&製作発表レポート

P.L.トラバースの小説とウォルト・ディズニー・カンパニーによって、1964年に製作され、アカデミー賞5部門を受賞した不朽の名作映画を原作に、『オペラ座の怪人』『CAT’S』『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』といった日本でも大人気のミュージカルを生み出したプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュの手により、2004年にミュージカル化された『メリー・ポピンズ』。2018年には日本版キャストで初演され、多くの観客を魅了。2022年に再演もされた。そして、待望の再々演が2026年3月21日(土)より開幕する。

2025年12月16日(火)には、プリンシパルキャスト16名に加え、アンサンブルキャスト28名の総勢44名による劇中楽曲披露を含む製作発表イベントを開催。会場にはメディアのほか、抽選で選ばれた一般オーディエンス約200名が集まり、華やかなパフォーマンスが披露された。

この日、イベントに参加したキャストは、濱田めぐみ、朝夏まなと、大貫勇輔、小野田龍之介、上川一哉、小西遼生、福士誠治、木村花代、島田歌穂、樹里咲穂、コング桑田、安崎求、浦嶋りんこ、久保田麿希、石川新太、DION、アンサンブルキャスト男性16名、女性12名の計44名。(笹本玲奈と知念里奈は欠席)

楽曲披露では、「チム・チム・チェリー」「何もかもがパーフェクト」「鳥に餌を」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」の4曲が披露された。「チム・チム・チェリー」は朝夏、濱田、大貫、上川、小野田の5人による貴重なコラボ、「何もかもがパーフェクト」は濱田と朝夏によるデュエット、「鳥に餌を」は島田と樹里によるデュエット、そして「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」は登壇全キャストによる豪華な歌唱となった。

会見では、登壇者たちが一言ずつ挨拶。その後の質疑応答で、本作の魅力について聞かれた濱田は、「初演、再演に出演して、自分の中を旅しているような気持ちになりました。メリーを演じていながらメリーに教わることがすごく多い。観に来てくださる皆さんはいろいろな環境の方がいらっしゃると思いますが、帰るときはみんな笑顔で、きっと新しい自分に出会えているのではないかなと思います。見たくなくて蓋をしていたところも、メリーの魔法によって蓋を開けて、そこをのぞいてみる。怖いと思っていたけれど、そんなにひどくなかったと、そんな安心感を感じていらっしゃるのではないかと思います。メリーのセリフに『どんなことでもできる』という言葉がありますが、その言葉を会場に来てくださった方全員が思っていただけたらいいなと思います」と熱弁。

続けて「今回、世界的な情勢もあって、とてもタイムリーな状況でこの作品を上演できるなと思っています。いろいろなことを感じていただき、いろいろな自分に出会っていただけたらと思います」と呼びかけた。

また、初演からバート役を演じている大貫は「この作品は、家族が成長していく物語でもありますが、バートとしては、『Step in Time』という楽曲(が魅力の一つ)です。タップをしながら壁を登って、逆さまで歌う景色はこの作品でしか観られない景色です。僕自身もエキサイティングで興奮します。また素晴らしい景色が見られると思うとワクワクしています」と笑顔でコメント。

同じくバート役の小野田は「この作品は、誰かが悲しんだり、悲劇に陥る瞬間がない。でも、非常にドラマチックです。悲劇で涙されるお客さまはたくさんいらっしゃると思いますが、こんなにも幸福感や喜び、迫力で涙が流れる作品というのはなかなかないと思います。日本ではまだ3度目の上演ですが、長い間上演しているのではないかというくらい愛されています。きっと日本人の感性にもすごく合っている作品ですし、その中で日本人にしか描けない繊細さがあると思います。日本ならではの感動をお客様に届けることが出来ると思うので、自信を持ってしっかりと作っていきたいと思います」と力を込めた。

朝夏は今回が本作初参加。出演が決まったときの気持ちを「メリー役に決まったときに、メリーの先輩の濱田さんと笹本玲奈ちゃんから『大丈夫だよ、大変だけど一緒に頑張ろう』と温かい言葉をかけていただいて、私もどんなことだってできると思いました」と振り返り、「一つひとつ丁寧に作っていって、私らしいメリーが見つけられたら」と思いを寄せた。

同じく初参加の上川は「僕は日本初演を観させていただいて、いつか必ずこの役に挑戦したいと思っていました。今回、その機会をいただき、本当にうれしく思います。ファンタジーにあふれた作品なので大変なことはたくさんあると思いますが、誰よりも楽しんで出来たらいいなと思います」と話しつつ、「僕は高いところが本当に苦手で」と本音もこぼす。これを聞いた小野田は「それはバートとしては致命的」とつっこみ笑いを巻き起こすと、上川は苦笑いを浮かべながら「克服できたらいいなと思います」と意気込んだ。

なお、この日は、招待された一般オーディエンスからの質問にキャストたちが答えるコーナーも。「『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』な瞬間は?」という質問が挙がると、コング桑田は「毎日がそんな感じです。目が覚めたときから楽しい毎日を送っています」とにっこり。安崎は「このオーディションに受かったことです。よく知っているメンバーがたくさんいるので、今日も同窓会のように楽屋で話をして楽しい時間を過ごしました。この一瞬の心の時間が私にとっては『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』です」と回答を寄せた。さらに、イベントではプレゼント抽選会なども行われ、盛りだくさんの内容となった。

また、この日は、子役のキャストも発表され、ステージに出演者が並んで会場を盛り上げた。

プリンシパルキャストのコメントは以下。

■濱田めぐみ(メリー・ポピンズ 役)

初演の2018年、再演の2022年、そして2026年と3回目のメリー・ポピンズ役になります。今回、新たなメンバーも加わり、楽しい、そしてエネルギッシュでたくさんの素敵なメッセージを届けられる舞台にしたいと思いますので、ぜひお楽しみください。

■朝夏まなと(メリー・ポピンズ 役)

2018年の日本初演で濱田めぐみさんがメリーを演じていらしたのを劇場で拝見させていただきました。そのときに大感動して、いつかこの作品に携わることができたらと思っておりました。今回こうして仲間に入れていただけてとても幸せです。精一杯頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

■大貫勇輔(バート 役)

僕も初演から関わらせていただき、3回目になります。今回は半分以上のキャストが新しくなるということで、初心に返り、新たな気持ちで、新しいものを作り上げていけたらなと思っています。楽しみにしていてください。

■小野田龍之介(バート 役)

初演から引き続き3度目の参加となりますが、今回も携わることができて非常にうれしく思っております。キャストが大きく変わることで、きっとまた『メリー・ポピンズ』の日本公演の歴史の中で大きな変化があるのではないかと出演者として非常にワクワクしております。先日、映画『メリー・ポピンズ』でバートを演じたディック・ヴァン・ダイクさんが100歳を迎えられたそうです。その100歳のエネルギーを我々もいただきながら、映画をリスペクトしながら、そして日本版らしいミュージカル『メリー・ポピンズ』を作りたいと思います。「働いて働いて」ではなく、我々は「稽古して稽古して稽古して」、厳しい稽古を乗り越えていきたいと思います。

■上川一哉(バート 役)

こうしてこのカンパニーの一員になれたことを本当にうれしく思います。バート役の3人の中では僕が1番年齢が上なのですが、誰よりも若い気持ちで、お2人からいろいろと学ばせていただきたいと思います。

■小西遼生(ジョージ・バンクス 役)

魔法がかかったような不思議な世界の中で、物語の軸となる家族の愛を体現できるように、そしてお父さんの中にある子供心をお見せできたらと思います。僕自身ももしかして忘れているような気持ちをこの作品で見つけることができたらいいなと思っております。

■福士誠治(ジョージ・バンクス 役)

今回、半分以上初参加の方がいる中の1人でございます。とても明るいカンパニーだなとお会いしているキャストを見ながら思っておりました。早く『メリー・ポピンズ』ファミリーになれることを願って、稽古して、本番を迎えたいと思います。

■木村花代(ウィニフレッド・バンクス 役)

私も初演に続いて3度目の出演となりますが、今回なんと旦那さんの役が若返るということで、私もフレッシュな気持ちで心新たに頑張っていけたらと思います。この『メリー・ポピンズ』という作品が私は大好きで、毎回毎回メリーに魔法をかけていただいています。人生のバイブルともなっている作品ですので、皆さまにも夢と愛を届けられるように精一杯演じたいと思います。

■島田歌穂(ウィニフレッド・バンクス 役)

私も初演、再演参加させていただき、そしてまた今回携わらせていただけること、本当にうれしく思います。何度この舞台に立っていても、最後のメリーが飛んでいくシーンを観ると涙が出てくるほどに素晴らしい作品だと感動します。今回も新しい素晴らしい皆さまをお迎えして、私自身も新鮮な気持ちで、より楽しく、大切に演じさせていただきます。

■樹里咲穂(バードウーマン/ミス・アンドリュー 役)

私は2004年のロンドンの初演の舞台を観させていただいて、そのあと日本版の初演も再演も観させていただいている生粋の『メリー・ポピンズ』ファンです。今回はこの物語の中に入って、バードウーマンとミス・アンドリューの2役を演じられるということで、ワクワクしていますし、本当にうれしい気持ちでおります。私が客席で味わった感動を皆さまにお届けできるように、一生懸命稽古して頑張りたいと思います。

■コング桑田(ブーム提監/頭取 役)

初演から出演させていただいておりますが、今回は最後のカーテンコールのダンスを完璧に毎回、踊れるように努力いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。皆さん、劇場に1回、いやいや、2回、3回と来て、メリーの魔法にかかってください! 劇場でお待ちしております!

■安崎求(ブーム提監/頭取 役)

ディズニー映画の吹き替えは何本か経験がありますが、ディズニーの舞台は初めてです。大変興奮しております。『メリー・ポピンズ』の大先輩であるコングさんにいろいろと教わりながら、楽しんで楽しんで楽しんでまいります。

■浦嶋りんこ(ミセス・ブリル 役)

私も3回目となります。新たにロバートソン・アイのフレッシュな方がいらっしゃいますので、新しい叱り方を身につけて頑張って、バンクス家のために頑張って働きたいと思います。

■久保田麿希(ミセス・ブリル 役)

私は普段、再演の作品に携わるときに、心新たに、フレッシュにと心がけて稽古をしていきますが、今回、ミセス・ブリルを演じるにあたっては、初演、1度目の再演のときに手に入れたミセス・ブリルに自信を持って、厚かましくもバンクス家のベテラン家政婦として役を構築していきたいと思います。そして、厚かましくもミュージカル『メリー・ポピンズ』のベテランとして皆さんを支えていくことが私の今回の役割じゃないかなとも思っております。

■石川新太(ロバートソン・アイ 役)

またこの世界に帰ってこられて本当にうれしいです。今回も精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。

■DION(ロバートソン・アイ 役)

大好きな『メリー・ポピンズ』の作品に携われることを本当にうれしく思っております。誠心誠意、頑張りますので、よろしくお願いします。

舞台写真

濱田めぐみ(メリー・ポピンズ 役)
朝夏まなと(メリー・ポピンズ 役)
大貫勇輔(バート 役)
小野田龍之介(バート 役)
上川一哉(バート 役)
小西遼生(ジョージ・バンクス 役)
福士誠治(ジョージ・バンクス 役)
木村花代(ウィニフレッド・バンクス 役)
島田歌穂(バードウーマン/ミス・アンドリュー 役)
樹里咲穂(バードウーマン/ミス・アンドリュー 役)
コング桑田(ブーム提督/頭取 役)
安崎 求(ブーム提督/頭取 役)
浦嶋りんこ(ミセス・ブリル 役)
久保田磨希(ミセス・ブリル 役)
石川新太(ロバートソン・アイ 役)
DION(ロバートソン・アイ 役)

取材・文・撮影/嶋田真己