オーディションで選ばれた21人とともに、新たな挑戦を
小さなバーから大きな劇場までを自在に行き来しながら、公演のたびに着実にファンを増やし続ける根本宗子。そんな彼女が主宰する劇団、月刊「根本宗子」の最新公演『紛れもなく、私が真ん中の日』では、総勢400人の応募者の中から選ばれた21人の女性がステージに立つ。
根本「最近は同じ役者さんに何度も出ていただくことが多かったので、新しく若い女の子と出会いたくて、全キャストをオーディションで決めることにしました。でも、最初は21人も選ぶ予定はなかったんですよ(笑)」
オーディションを行うまで公演内容は一切決めていなかったというが、結果的に彼女にとって最多人数の作品となる。
根本「1次審査では8〜10人のグループで話してもらったんですが、その雰囲気が楽しくて。これまでの芝居では2〜3人の会話で進んでいくものが多かったんですけど、オーディションでみんなの姿を見ていたら、大勢が同じ空間で話している場面を描きたくなった。だから、面白くてうまい人を選ぶというよりは、全体のバランスや、組み合わさったときの面白さをとりました。もともと、私は“芝居がうまい人”よりも『この人って一体どんな人なんだろう?』という人が気になるので、今回はそういう人たちを選んだつもりです。結果、私よりも演劇経験の長い人もいれば、明らかに演劇の世界にいそうにない異質な子とか、すごく顔が似た3人とかもいる。普段なら一緒にやらないであろう人たちとやるのは楽しみです」
舞台は、とあるお金持ちの女の子のお誕生日会。そこに呼ばれた女の子たちのお話になるようだ。
根本「お誕生日会って、とくに女の子は小さいときに経験するじゃないですか。同世代が子どもを持つようになってみると、お誕生日会ってすごく大変なことだな、と思うんです。内容をどうするのか、呼ぶ人と呼ばない人をどう決めるのか……。その中で生まれる関係性を見せたい。ここ数作はファンタジックな話を書いていたので、今回は普遍的で、よりリアルな物語に戻ってみようかなと。経験を重ねたいまなら、新しいものができるんじゃないかと思っています」
インタビュー・文/釣木文恵
Photo/山本倫子
※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
根本宗子
■ネモト シュウコ ’89年生まれ。主宰する劇団月刊「根本宗子」では、すべての公演で脚本・演出を務めるなど活躍中。