“ビートルズ”創成期の青春物語『BACKBEAT 2026 FINAL』公開稽古&会見レポート

2026.03.27

4月12日(日)のプレビュー公演を皮切りに、愛知・大阪・東京・兵庫にて『BACKBEAT』が上演される。

先日発表された第40回日本ゴールドディスク大賞では、ビートルズが「アーティスト・オブ・ザ・イヤー(洋楽)」をGD大賞史上最多となる10度目の受賞を果たし、変わらぬ人気を証明した。そんなビートルズが日本を熱狂させた初来日から60年。羽田に降り立った瞬間も、武道館で鳴り響いたあの一音も、今なお伝説として生き続けている。世界を変え、歩み始めた“原点の物語”『BACKBEAT』が、この記念すべき年に甦ることは、まさに運命的な巡り合わせと言える。そして、初演、再演と、初期ビートルズの粗削りながら勢いのある生演奏を再現してきた5人が、本公演でファイナルステージを迎える。

三度目の上演にしてファイナル公演となる、舞台『BACKBEAT』の公開稽古が行われた。本作は、世界的ロックバンド・ビートルズの創成期を描いた1994年公開の伝記映画『BACKBEAT(バックビート)』を、イアン・ソフトリー監督自ら舞台化した作品。結成当初は5人編成だったビートルズに、メジャーデビューを待たず袂を分かつことになるバンドメンバーが存在した…という史実が基になっており、日本では2019年に初演され好評を博し、2023年に再演された。翻訳・演出は石丸さち子。出演は戸塚祥太、加藤和樹、辰巳雄大、JUON、上口耕平、愛加あゆ、林翔太、尾藤イサオらが名を連ねる。

本物のバンドさながらの役者たち自身の生演奏も大きな見どころ。公開稽古では3曲が披露された。1曲目は「Long Tail Sally」。ドイツ・ハンブルクにやってきたビートルズがクラブで演奏していて人気が出てきた頃。クラウス(林)に連れられてクラブにやってきたアストリッド(愛加)が、ビートルズと初めて出会うシーンの曲だ。ポール(JUON)の歌声が痺れるロックナンバーで、場の温度が爆上がりするような熱さにテンションが上がる。

2曲目は2幕のナンバー「Love Me Tender」。グループの人気が高まる一方、絵画と恋人アストリッドへの想いに揺れ動くスチュアート(戸塚)がメンバーに懇願し、アストリッドに向けて歌う。スチュアートは歌の世界に陶酔してとろけるように甘い。アストリッドはその想いに応えるように彼をを見つめ、また、クラウスも彼らを温かく見守っている。

続いて、1幕後半のシーン。ハンブルクで一気に評判を高め、格上のクラブに移ったビートルズだが、スチュアートはアストリッドの家に住み絵を描き始め、グループと別の方向を向き始める。そんなスチュアートを、ジョン(加藤)がグループに繋ぎ止めようとする。ジョンがリードボーカルのナンバー「Money(That’s Want I Want)」から始まる。掠れたシャウトが耳に残る。ミュージカルで聴く歌声とは違う、ジョンの歌声を仕上げてきた加藤の力量に唸らされる。二人の場面では、ジョンのスチュアートへの愛情が痛いほど溢れ、その想いに応えながらも自分らしさを失わないスチュアートの姿は誇り高い。「世界を分かち合おう」と手を取り合う二人の姿は、後に世界を駆け上がるビートルズの前途を象徴するような輝きに満ちていた。

演出の石丸は「10代後半のビートルズのメンバーたちが出会ったこと自体が本当の奇跡であり、このメンバーが集ったことも同じくらい奇跡。再再演にしてツアーを回れる最高の奇跡。今ではビートルズの当時の空気を感じていただけるところまで来た」と語り、「一言で言えば青春。必ず誰もが通ってきた青春の喜びと痛みのドラマを、演奏と共に味わっていただきたい。演劇的に深めることも、演奏がぶち上がることも、最高に楽しいと思ってやることが、丸ごとお客様に伝わると思う。彼らは全力でやります!」と熱を込めた。

スチュアート・サトクリフ役の戸塚は「熟成されてきて、進化し、深化もできている」と現在の手応えを示した。「夢みたいなキラキラした華やかな世界だけれど、そこに至るにはすごくダークな一面がある。ピートが解雇される場面で、光にはやっぱり影があるというの味わせてもらっていて、そこにグッとくる」と明かした。

ジョン・レノン役の加藤は「徐々にビートルズになりつつある感覚。生半可な覚悟ではできないので、覚悟と希望を持って彼らの音楽を体現していきたい」と言い切る。「ファイナルなので観なければ損をする。そこにあるリアリティを大事に生きて、その向こう側に突き進むので、体感しに来ていただきたい」と語った。

ジョージ・ハリスン役の辰巳は「音楽の中でジョージらしく生きるというのが、自分の中でも、この舞台にとって大切なこと。ビートルズのリアルなストーリーの中でその曲を演奏する準備をしている。ジョージ・ハリスンを生きることは僕の人生の宝物のひとつ。自分の人生を賭けて生きる覚悟を持って、毎公演音を掻き鳴らしていきたい」と誓った。

ポール・マッカートニー役のJUONは「自分の今回のテーマは、前回の自分の演技を超えること。それが皆様に貢献できるポイントなんじゃないか。BACKBEATは僕の生きがいのような存在。ファイナルと言うが、終わる気はしないので、ファイナルのその向こう側で頑張る」と力を込めた。

ピート・ベスト役の上口は「演奏中後ろからみんなを見ていて、みんなが弾ける瞬間が全部分かる。まだまだぶっ飛んでいくんだなと改めて今日発見できたので、もっと爆発していくと思う。生の今しかない。最高のエネルギーに是非会いに来てほしい」と力強く呼びかけた。

アストリッド・キルヒヘア役の愛加は「出会いが人生に影響を与えていく。アストリッドがこのすごいヤツらと出会って、彼らに強い影響を与えていくところにプレッシャーを感じているが、前回の上を目指せるように。皆さんのパワーがすごいので、それを感じて毎日積み重ねていけたら」と話した。

クラウス・フォアマン役とリンゴ・スター役を演じる林は初参加。「ファミリー感がある現場。初挑戦のドラムはみんなと合わせるのが楽しくてしょうがない。初参加をうまく活かして演じられたら。令和のビートルズの演奏を聞いて衝撃を受けると思う。僕もビートルズのファンとしてステージ上に立ちたい」と笑顔で述べた。

エルヴィス・プレスリー役の尾藤がメンバーの演奏を絶賛。「皆さんの演奏もお芝居もすごい成長ぶり。僕も負けずに頑張っていきたい」と目を細めた。また、60年前にビートルズの来日公演を実際に観た経験に触れ、当時のエピソードを明かした。「内田裕也さんと最前列で観て。ジョージが出てくると必ず手を振ってくれて嬉しくて。ふたりで日本のアーティストからプレゼントを渡したいと、楽屋まで5メートルのところまで行ったけど、結局は渡せなくて」と振り返り、共演者たちも興味津々で聞き入っていた。

最後に、戸塚が「お客さんと演者という関係性を飛び越えて一緒に遊びましょう!」と力強く呼びかけた。再演を重ねる中で蓄積された経験と変化が、舞台上でどのように結実するのか、その集大成に注目が集まる。

公開稽古の様子

チケットはただいま販売中!詳細は下記公演概要欄の「チケット情報はこちら」をご確認ください。

取材・文/岩村美佳