ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が3月25日(水)に東京・明治座にて開幕を迎えた。

本作はウーピー・ゴールドバーグ主演の大ヒット映画をミュージカル化したもの。ウーピー本人もプロデューサーの1人として参加し、ロンドン、ブロードウェイなどで大ヒットを記録した。日本では2014年に初演され、以後何度も再演を重ねてきた人気作となっている。
日本公演では、主人公のデロリス・ヴァン・カルティエは、Wキャストで演じられてきた。今回のデロリスは、初演以来すべての日本公演でデロリスを演じ続けてきた森公美子と、そして2024年10月に宝塚歌劇団を退団し今回が退団後初のミュージカルとなる彩風咲奈の2人が演じていく。
この記事では、開幕に先駆けて行われたゲネプロから、彩風咲奈バージョンの模様をお届けする。

物語の舞台は、1970年代のアメリカ。破天荒な性格のクラブ歌手・デロリス(森公美子/彩風咲奈)は、クラブを経営するカーティス(松村雄基)の愛人をしながらスターを夢見ていた。だが、カーティスが人を殺すところを目撃してしまい、命を狙われるハメに。警察に駆け込み助けを求めたデロリスは、警察官になった幼馴染のエディ(石井一孝/廣瀬友祐)と再会する。エディの提案で身を隠す場所になったのは、なんと修道院。厳しい規律に辟易していたデロリスだが、聖歌隊の下手すぎる歌を耳にしてシスターたちにコーラス指導を行うが――。

幕が開け、逆光の中でクラブ歌手としてデロリスが登場するのだが、そのシルエットの美しさにまず息をのんだ。すらりと長い手足にパワフルな歌声。劇場空間がたちまち煌めくナイトクラブへと染まっていった。彩風扮するデロリスは、天真爛漫で賑々しく、奔放で華やかな色気がとても魅力的。歌っているときは、歌う楽しさと喜びにあふれているし、幼馴染のエディをからかったり、厳しい規律にうんざりしたりと、クルクルと変わる表情から目が離せなくなる。周囲を巻き込んでいくパワーとまぶしい日差しのような熱いパッションを、彩風が演じるデロリスからビシビシと感じられた。

そんなデロリスを手助けし、修道院で身を隠すことを提案するエディ(石井一孝/廣瀬友祐)。こちらもWキャストとなっており、彩風版では廣瀬友祐が演じている。警察官ながらちょっと頼りなく、“汗っかきエディ”とからかわれてばかり。デロリスへの淡い恋心や確かな正義感を胸に秘め、コンプレックスを抱えながらもやさしさがにじみ出てくるようなエディを廣瀬は好演していた。




そして、修道院のシスターらもとても魅力的だ。突然に飛び込んできたデロリスに頭を悩ませる修道院長(鳳蘭)は、積み重ねてきた信仰の深さがあるからこその葛藤に揺れ動く。リアリストで理性的なオハラ神父(太川陽介)。デロリスら聖歌隊が放つサウンドに撃ち抜かれてからは、ファンのような振る舞いでかわいらしくも見える。シスターもそれぞれに個性的で、中でも見習いシスターのシスター・メアリー・ロバート(梅田彩佳)は、いち早くデロリスに興味を抱き、特別な交流を深めていく。彼女の気付きと成長は、この物語の持つテーマのひとつともいえるだろう。




また、本作は悪役も含めてキャストがとてもチャーミングだ。どのキャラクターにも憎めないかわいらしさがあり、そこがとても愛くるしい。デロリスの愛人でギャングのボスでもあるカーティス(松村雄基)は、ギラギラとした危険な色香を漂わせながらもコミカルな部分があり、その子分の3人(岡田亮輔、施鐘泰、山崎大輝)のドタバタ感もとってもキュートだった。



アラン・メンケンによる素晴らしい楽曲、そしてそれを体現する彩風をはじめとするキャストの歌唱力にも脱帽だ。70年代のソウル&ディスコ、伝統的な讃美歌からのゴスペル&ファンクといった多彩なナンバーの数々は、とてもキャッチーで胸躍るサウンド。修道服をひるがえしてのダンスは、衣装のキラキラも相まってとても煌びやかだ。思わず体がリズムをとってしまうような、理屈抜きでワクワクするような楽しさにあふれた時間だった。

カーテンコールの後には、客席も含めてダンスタイムに突入。物語の世界に浸り、多幸感がいっぱいの中でキャストらと一体になれる喜びは本公演ならでは。振り付けはしっかりレクチャーしてくれるので、ぜひ会場で思いっきりハジけてみてはいかがだろうか。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』は東京・明治座にて4月21日(火)まで上演中。その後、大阪、長野、宮城、愛知での公演も予定されている。

取材・文・撮影/宮崎新之
