第31回読売演劇大賞3部門受賞、破竹の勢いで演劇界に新風を巻き起こしている新進気鋭の作・演出家・小沢道成が、多才な人気俳優陣を迎えてお贈りする最新作!
トラウマを抱え、孤独に生きてきた図書館職員。
個性豊かな利用客たちとの出会いが、退屈な日常を少しずつ変えていく。
笑いと涙と音楽のヒューマンエンターテインメント。
───── 静かな図書館で、私の妄想が騒ぎ出す
自ら作・演出・美術を手がける演劇プロジェクトEPOCH MANの『我ら宇宙の塵』(2023)にて、第31回読売演劇大賞3部門受賞の快挙を遂げ、今や国内外を問わずオファーが殺到するなど、大きな注目を浴びながら次々と新たな試みに邁進する新進気鋭の作・演出家、小沢道成。そんな小沢の最新作は、「静かな図書館を舞台にした“華やかな”物語が観てみたい」という、これまで温めてきた構想から誕生した、この『わたしの書、頁を図る』です。
図書館職員として何の変哲もない退屈な時間を過ごし、よく見かける利用客らの人物像や日常を妄想しては、また元の退屈な時間に引き戻されるという毎日を繰り返すだけの柳沢町子。しかし、突如現れた年下の青年によって大きく心を揺さぶられ、図書館の常連利用客たちの真の姿や想いを知ってゆくに連れて、葛藤し、変化していく……。
小沢が得意とする、人の心の喜怒哀楽に寄り添い深層をもえぐるような情感あふれる緻密な脚本を、デジタルとアナログを融合した斬新かつ繊細な演出に加え、今作では表現力豊かな出演者たちによる芝居と歌と演奏で物語を彩ります。そして、これまで数多くの小沢作品に携わり、その真髄を知り尽くしたオレノグラフィティが創り出す心沸き立つオリジナル楽曲で、図書館に集まる個性豊かな利用客たちの人生が動き始めます。
木村多江の舞台初主演作は、自身へのあて書きから誕生した物語
味方良介、坂口涼太郎、猫背椿ら実力派キャストが集結し、演劇ならではの作品が生まれる

本作の主人公・図書館職員の柳沢町子を演じるのは、舞台で磨き上げた演技力を礎に、映画・ドラマなど多岐にわたる分野で活躍する木村多江。自身にあて書きされたキャラクターを通して、自分自身の新たな一面に出会うために、そして、これまでの印象を一新し、本来自分の中に有るという“ロックな魂”を開花させます。
共演には、自主映画監督として町子に出演を持ちかけ、その運命を大きく動かしていく岸口慶太役に、舞台・ミュージカルで高い評価を受け、近年は映像分野でも存在感を発揮する味方良介。さらに、舞台で鍛えた表現力と繊細な感情描写で注目度急上昇中、ネクストブレイクにも期待がかかる若手俳優・光嶌なづな、優れた歌唱と多彩な表現でミュージカルを主戦場に活躍する中井智彦、しなやかな身体性とユニークなキャラクターで強い印象を残す実力派・坂口涼太郎、そして比類なき豊かな感性で作品に奥行きとリアリティをもたらし観る者を惹きつける猫背 椿が、一癖も二癖もある図書館の常連利用客を演じます。
唯一の居場所である図書館の中で出会う人々との関わりを通して、果たして町子はどのように過去と現在(いま)の自分に向き合い、どのような選択をしていくのか・・・
町子と慶太、そしてこの図書館に集まる個性豊かな利用客たちの行方にどうぞご期待ください。
【ストーリー】
とある町の図書館職員、柳沢町子(木村多江)。
図書館を訪れる常連客たちの様子や選ぶ本から、その人物像や職業、日常を想像する──そんな退屈で平凡な、それでいてかなり妄想過多な毎日を過ごしている。
町子の目には、図書館に通う常連客たちもまた、社会に馴染めず、何かしらの煩いを抱えた人間のように映っていた。不登校の中学生(光嶌なづな)。無職の男(中井智彦)。売れない舞台役者(坂口涼太郎)。現実逃避にやって来る主婦(猫背 椿)。図書館で静かに本を開く彼らの姿を見ながら、町子はいつもそんな物語を思い描いている。彼らもきっと、自分と同じように、一冊の本を開き、物語に触れている時だけ満たされる。そこだけが自分の居場所なのではないか、と……。
ある日、最近よく図書館を訪れる青年・岸口慶太(味方良介)が町子に声をかける。自主映画を撮っているという彼は、いつも通りの町子の姿を「撮らせてほしい」と言う。
「なぜ私を?」
自分の人生にはありえないはずの出来事に、天地が揺らぐほど戸惑う町子。
やがて慶太の撮影は、図書館に通う常連客たちも巻き込んでいく。カメラが向けられることで、次々に映し出される彼らの真の姿や想い。静かな図書館の日常は少しずつ揺らぎはじめ、堅い鎧に覆われていた町子の心も大きく揺れ動き出す。そして、カメラを向ける慶太自身もまた、ある葛藤を抱えて生きていた。
図らずも彼らと関わっていくうち、町子はこれまで想像もしなかった思い切った行動へと踏み出すのだが──。
作・演出・美術家コメント
小沢道成(おざわ みちなり)

図書館を舞台にした〝華やかな〟物語が観てみたい。
そう思いながら構想を書いているあいだ、僕の頭にはずっと木村多江さんの姿が浮かんでいました。静かな日常のなかで、忘れられない記憶の声と、手に入らない妄想に飲み込まれていく──そんな姿が。
周りでは生々しい楽器の音が鳴り響き、目の前の人たちが騒がしいほど歌や会話を繰り広げる。静かにしないといけない場所なのに。演技だけでなく、歌や楽器の演奏もできる多彩な才能をもつ俳優陣が集まりました。それぞれの豊かな個性が重なり合い、どんな演劇が生まれるのか、今からとても楽しみです。
本に囲まれた劇場・紀伊國屋ホールで贈る、賑やかで華やかな図書館の物語。劇場でお待ちしています。
キャストコメント
木村多江(きむら たえ)
紀伊國屋ホールは幾度となく芝居を観た、私の人生のページを作った場所。そして小沢さんが、あてがきのように書いてくださった、今はまだ私のような私でない人の物語。それが才能ほとばしる小沢道成という人に導かれ、どう私の中に生まれみなさんの元に届くのか。今は怖くて足がすくみそうだけれど、きっと、いや必ず私の物語になる、みなさんの物語になるはず。そんな予感を抱かせてくれる、演出の小沢道成さんと素晴らしいスタッフ、そして共演者の方々とこの場所に立ち、この物語の中に生きるんだ。険しい道のり、でもすでに走り出してしまってるんです。7月、その瞬間を目撃してください。
