爍綽と vol.3「裏緑特技悲喜話」|佐久間麻由&村角太洋&尾関高文 インタビュー【ロングver.】

5月20日(水)より東京・浅草九劇にて、爍綽との新作公演『裏緑特技悲喜話(うらみどりとくぎひきばなし)』が開幕する。爍綽とは俳優の佐久間麻由がプロデュースを手がける演劇企画ユニットであり、注目の劇作家との魅惑のタッグプロジェクト。vol.3は、人々の可笑しみと哀切を活写したコメディで関西の喜劇シーンはもちろん、東西を横断した注目を集めるTHE ROB CARLTONより村角太洋を作・演出に迎える。

物語の舞台はとある特撮シリーズの撮影舞台裏。主役のヒーロー役だったはずの男の身に起こる思いもよらぬ悲喜劇的展開とは…!“主人公だったはずの男”を演じるのは、洗練されたコントをはじめ、独特の存在感を以て観客を魅了するザ・ギースの尾関高文。本作の見どころについて、佐久間と村角、尾関の3人に話を聞いた。

浅草九劇に、悲喜劇のヒーロー現る?!

―まずは、本作の企画の経緯からお聞かせ下さい

佐久間 爍綽とは、アンパサンドの安藤奎さんとの出会いをきっかけに始めた企画だったんです。当初は継続自体を目的とはしていなかったのですが、東京にこにこちゃんの萩田頌豊与さんに出会って、すごく面白くて2回目をやって…。そしてその直後にロブカールトンの作品に衝撃を受け、やはり面白い演劇との出会いには抗えず…(笑)。すでにボブ(村角)さんはホームの関西ではもちろん、東京でも公演をやられたりと大忙しだったのですが、「やるならこのタイミングを逃せない」と思って、思い切ってお声がけしました!

村角 関西に居ながらにして、佐久間さんのことはもちろん、爍綽との話題も耳に入ってきていました。ホットなユニットであることを知っていただけに、まさか自分にオファーをいただけるとは思っていなかったのでめちゃくちゃ嬉しかったです。

尾関 僕のマネージャーも「爍綽とは絶対出た方がいい!」と。そんな団体からオファーをいただけるのはとても嬉しかったです。お笑い畑の自分にとってはこんなことはなかなかないですから。

佐久間 世界観やプロットは決まっていたので、「この役を是非尾関さんに」という思いでお願いをしたので、私もすごく嬉しかったです!

村角 ザ・ギースのコントなどを拝見させていただく中で、勝手ながらマンというキャラクターは尾関さんにピッタリだと感じました。笑いへの信頼はもちろん、ちょっと哀愁も滲む感じで…。

尾関 楽しみな分緊張もしますが、内容もすごく面白そうですし、勉強させていただきます!

―今回は特撮モノの撮影現場が舞台ということですが、物語のあらすじも少しお聞かせいただけますか?

村角 佐久間さんとブレストを重ねる中で「スーツアクター」というキーワードが出て、そこからお話を広げました。あらすじは「大人向けに作った特撮」が予期せず子どもに人気が出てしまう。しかも、主人公・マンではなく、死亡フラグが立っている別キャラ・ビン役に。視聴者キッズから届く助命嘆願の声に葛藤を抱えながらもマンは撮影に奮闘する。そんな哀愁のヒーローを尾関さんにやっていただく予定です。

佐久間 ビン役を演じるのは佐伯ポインティさん。尾関さんとの雰囲気のバランスやギャップも見どころだと思っています。

村角 「裏緑」というのは、言葉のまま「グリーンバック」という意味なんです。ネットで読んだ情報なので真意は不明なのですが、イアン・マッケランが映画『ホビット』の撮影時にCGの都合で出演シーンがひたすらグリーンバックだったらしく、「これがやりたくて役者になったんじゃない」と呟いたというエピソードがあって…。その言葉がすごくいいなと思い、そういう俳優の虚しさみたいなものも描けたらと思っています。

コメディとコント、そのボーダーを越えて

―ちなみに、みなさんは「これがやりたくて演劇やお笑いをやってるわけじゃない」と思った瞬間はありますか?

尾関 お笑いはむしろ「こんなはずじゃなかった」の連続ですから、もはやそうも思わないという感じなんですよ。本当になんでもありなので!

一同 あはははは!

村角 確かに!

佐久間 深いっ!

尾関 昔、「10キロのお米は何粒あるのかを一晩で数えなきゃいけない」みたいな、地獄のような企画をやったりしたんですけど、その時も「なんでだろう」というよりは、「まあそうだよな」と思いながら無心で数えました。

佐久間 そんな尾関さんにやっていただく「これがやりたくて役者になったんじゃない!」のシーン、是非楽しみにしていただけたらと思います。ちなみに私も、昔、素っ裸で全身の型取りをしないといけなくなった時に、多分、シリコーンだったと思うのですが、固まるまで5~6時間ジッとしていなくちゃいけなくて、目も開けられないし、喋れないし、固まり始めると息もできなくなる、冬場でシリコーンが冷たくてガタガタ震えるし、地獄でしたけど、でも「まぁ仕方ないか」と受け入れていた覚えがあります。

村角 ローチケさんの連載でもありますが、「コントと演劇のボーダーとは?」みたいな話を今日も漠然と考えながら来たんですけど、やっぱり怖いなとも思いますよ。「笑い」における大先輩の尾関さんに出ていただくわけですから、そこからは逃れられないと思っているので。

尾関 いやいや、僕も嬉しいと同時に怖いですよ。やっぱり、お話をいただいたからには、ボブさんの描かれる面白い世界観にちゃんとハマらなくては行けないし、お求めいただいている自分を出さなきゃいけないと思っています。

村角 ただ、「お客さんに笑ってもらうこと」を目的とするところで言うと、コメディとコントって方向性は一緒だと思うんですよ。だから、怖いですけど、1時間半ほどのお芝居でいかにその壁を取っ払えるかが今回の自分の勝負どころだと思っているんですよね。

尾関 鍛えていただく気持ちで、楽しみつつ勉強させてもらいます!

佐久間 ホームではないプロデュース公演だからこそ、爍綽とだからこそできることもきっとあると思うので、その辺りも思いっきり楽しんでいただきたいです!

村角 ありがたいです。劇団公演とガラッと全部を変えたいと思っているわけではないのですが、裏テーマとしては「劇団公演とはちょっと違う客層にも届けたいな」という思いもあったりするので、スペシャルな座組みのみなさんとだからできる、新しい作品を作っていけたらと思っています。

直感と衝動を信じて、“まだ見ぬ面白いステージ”を!

―他ではなかなか叶わない、作家の新たな魅力と個性豊かなキャストの融合。爍綽とならではの期待感を感じるお話です。ところで、特撮モノということですが、みなさんには憧れたヒーローっていましたか?

村角 僕は迷うことなく、『バッドマン』一択です!

佐久間 今日のリュックにもキーホルダーがついてますもんね!

村角 幼稚園の頃から大好きで…。もちろん、『ウルトラマン』とかも好きで見ていましたけど、大人になってもずっと好きなのはバッドマンですね。佐久間さんは?

佐久間 あまりメジャーどころではないんですけど、『サラダ十勇士トマトマン』がすごく好きでした。歌もよく歌っていましたね。知らないって人は是非調べて下さい!(笑)。尾関さんはどうですか?

尾関 小さい頃、『太陽戦隊サンバルカン』というアニメをよく見ていましたね。20年くらい前にサランラップとかを地方に持って行ってPRしながらその場で売る仕事をしていたんですけど、その時に僕に色々と手解きをしてくれた人が『太陽戦隊サンバルカン』の中の人だったんですよ。売るのもめちゃくちゃうまくて、サランラップの現場でもずっとヒーローでした。未だに会いたいです。あの人には優しくしていただいた!

佐久間 すごい出逢い!

村角 いい話です!

―思いがけず、本作にも通じるヒーローエピソードが飛び出しました。最後に、みなさんが思う本作の魅力や見どころをお聞かせください

尾関 手練れの俳優さんたちの共演はもちろん、佐伯ポインティさんや人間横丁の山田蒼士朗さんなど、ムードが柔らかくて、見ているだけで和む、親しみ深いキャラクターの人がたくさんいるところも魅力ですよね。なので、観劇に不慣れな方も緊張感なく楽しんでいただけたらいいなと思います。

村角 本当にそうですよね。このメンツを見ていただけたら、いかに演劇やコントと似て非なるものになるであろうということがわかると思いますので、演劇やコントというくくりで見るのではなく、「なんかステージで行われている楽しくて面白いものが見られそうだぞ」というくらいの軽やかな気持ちで遊びに来ていただけたらと思います。

佐久間 私自身、爍綽とというカンパニーをやっていく中で、「面白そう!」という直感や衝動を何より大切にしているんですよ。だから、集まっていただいたみなさんにもワクワクしながら参加をしていただきたいですし、観客の方も情報を見て少しでも「面白そう!」って感じたら、直感を信じて来てもらえたら嬉しいなと思っています。その直感や衝動を裏切らないよう、倍にしてお渡しできるようみんなで頑張りたいと思います!

尾関 あとはやっぱり特撮ならではの演出。ここも見どころになっていくのではないでしょうか!

村角 やっぱりヒーローですから尾関さんには宙吊りになっていただきたいですよね!せっかく浅草九劇で上演するので高さも活かして…。

佐久間 長時間吊られるなんてことも?

村角 物理的にはできなくはないだろうと…。

佐久間 ポインティさんと並んで?

村角 物理的にはできなくはないだろうと…。

尾関 どこまで本気かわからないのですが、「こんなはずじゃなかった」悲喜劇的展開になっても、頑張って吊られたいと思います!(笑)

インタビュー&文/丘田ミイ子
Photo/明田川志保