三浦 香が企画から手掛けるオリジナルショーステージ「Multi-Unit Apartment」(以下、マルアパ)。2026年4月、はやくも第2弾「Multi-Unit Apartment」N*2の上演が決定した。
昨年夏に上演された第1弾は、架空の街・リトルラブリータウンのアパートを舞台に、とびっきりキュートで賑やかなレディたちのアパート暮らしと、思わず口ずさみたくなる魅力的な楽曲&ダンスで多くの観客たちを魅了。レディな姿と、“リグレットショー”で魅せるレディたちの男装とのギャップも大きな話題となった。
第2弾の今作は、マルアパ住人のうち、ビビ役の持田悠生、ゾーイ役の福島海太、イザベラ役の加藤良輔が登場。前作では男性キャラクター・オスカー役を演じた井阪郁巳が新たにクロエとして出演。さらにイギリスからやってくる少女・ニコラ役の木村聖哉、その父・チャールズ役の佐々木 崇と新たな顔ぶれが参加する。
初演に引き続き、今回も稽古場を取材。稽古場の模様と、三浦氏のミニインタビューをお届けする。


稽古場レポート
稽古場を訪れると、アクション監督・加藤 学氏によるアクション稽古の真っ最中。今回の唯一の男性キャラクターである英国紳士・チャールズ(佐々木 崇)を巡る、ゾーイ(福島海太)・イザベラ(加藤良輔)・クロエ(井阪郁巳)による、女の三つ巴バトルの動きがつけられているところだった。加藤氏も自身のSNSで「アクションの概念を変えてくれる現場」と発信していたが、他の稽古場で見てきたアクション稽古とは、ひと味もふた味も違う賑やかなキャットファイトが繰り広げられる。
思わずクスッとしてしまう歌詞も相まって、稽古場は笑い声に満ちている。このシーンに登場する4人のキャストも、それを指導する加藤氏も実に楽しそうだ。反面、4人によるドタバタをナンバーのカウントにあわせなくてはならないため、動きはシビア。殺陣の確認を繰り返しながら、あちこち動き回るレディたちの動線を整理し、おしゃれも恋も全力でハイテンションな彼女たちの日常を立体的に組み上げていった。
動きが決まると、休憩へ。三浦氏おすすめの健康グッズをみんなで試したり、そこから井阪による即興通販番組風トークが始まったり。三浦氏を中心に女子校のお昼休みのようなトークに花が咲いていた。
続いて、芝居稽古へ。全員が入れ代わり立ち代わりマルアパにやってくる賑やかなシーン。住人のビビ(持田悠生)、ゾーイ、イザベラはさすがの安定感を発揮。犬猿の仲なビビとゾーイに、相変わらずアパートでは敏腕編集長の仮面を脱ぎ捨て酒を煽るイザベラ。彼女たちのおなじみの姿に「リトルラブリータウンに帰ってきた!」という懐かしい気持ちがあふれる。同時に、新登場のキャラクターたちによって引き出される彼女たちの意外な一面に驚かされる場面も。今作で初めてリトルラブリータウンに訪れる人はもちろん、二度目の訪問の人も新たな発見を楽しめるだろう。
新キャラの3名も実に魅力的。井阪演じるクロエはアメリカの超トップ人気モデル。抜群のスタイルからしてカリスマオーラが溢れでる。前作ではキザな恋愛詐欺師を演じた井阪のレディな姿に期待が高まる。木村演じるニコラは高校3年生のあざとい系お嬢様。これまでの住人のわがままさとはまた少し違う、品のあるツンケンとした様子とティーンエイジャーらしいフレッシュさがかわいらしい。佐々木演じるチャールズはニコラの父親。佐々木から自然とこぼれる品行方正さが、どういった形でチャールズを形成するのか興味を惹かれた。
ワンシーンを終えると、三浦氏が細かな女性としての所作を修正していく。「もう少し骨盤を閉じる意識を持っていてもらいたい」、「人を制止するときに、そう動くのは男性の発想だと思う」。こういった指摘を起点に、どうしたら女性であれるのか。オールメールカンパニーならではの話し合いが生まれていた。
稽古見学の後半では、お馴染みのメインテーマ曲「Show me what you got BOY!」の稽古へ。三浦氏は「もっと怒りがほしい、男子の悪口を言うように」と、レディたちのパッションを言語化。新キャラを演じる3人には「自己紹介を兼ねて、クロエはセクシー、ニコラはキュート、チャールズはジェントルとわかりやすく」、住人3人には「前回が8人だったから、その人数差を埋めようと力みすぎているかも。もっとこの3人らしさを出していい」と伝える。一人ひとりのキャラクターを丁寧に引き出していく三浦氏の演出が、稽古場に浸透していく。 稽古場は終始エネルギーに溢れ、レディたちの熱量が空間を満たしていた。おなじみの住人たちの安定感と、新キャラクターたちの新鮮な魅力。その化学反応が、第2弾をさらにパワーアップさせる予感に満ちた稽古場だった。


三浦 香氏インタビュー
――前作の手応えはいかがでしたか。千穐楽を終えた際のお気持ちや、お客様の反応などで印象に残っていることを教えてください。
オリジナルということでどれくらい伝わるのか不安がありましたが、期待通りお客様がノリノリになってくださってとにかく嬉しかったです。どちらかというと演じている男性たちが、女心に疑問を持っていたので「本当にお客さんが理解してくれてる!!」と感動していたのを覚えています。
千穐楽を終える頃にはお客様が声もガンガンにマルアパのノリ方を発明してくださって、これがオリジナルの強みだと感じました。
――今回のストーリーはどんなところから着想されたのですか?
今回出てくる新キャラも初演の時には存在していました。まだ出ていないキャラクターもいるくらいなのでマルアパの物語はまだまだあります。ネタバレになるので言いにくいのですがまだ明かされていない「住人たちの真実」のために必要なピースを小出しに披露しているイメージです。
着想は、周りにいる女トモダチや先輩たちから、もしくは本当のセレブのニュースを見ながら得ています。
――新キャラの女性クロエ、ニコラ、そして男性のチャールズ。それぞれの見どころを教えてください。
マルアパの住人に負けないくらい皆、クセが強く描けたら嬉しいです。前回はオスカーという男性に住人が振り回されたのですが、今回のチャールズは全く違う性格であり大人です。
それによって女性たちのあり方も前回とは全く違いますし、クロエ・ニコラもマルアパにはいない新たな刺客となっています。彼らのクセ強な性格をぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです!
――絶賛稽古中です。前回は女性のリアルな生態を伝えながら稽古をされているとのことでしたが、今回はいかがですか?続投キャスト、新キャストそれぞれにどんな言葉をかけていますか?
そこは前回から変わらない部分です。女性のリアルをなるべく伝えてディスカッションしています。
「女性のそんな姿、見た事ない」と言われたりしながら、全ての女性がそうなわけじゃないと焦りながら釈明したり、理解してもらうのが一番大変です。
前回男性役だった井阪さんは特に大変そうです。足を閉じて!を100回くらい言ってると思います(笑)
――最後に、公演を楽しみにしているファンの皆様へのメッセージをお願いします。
前回観にきてくださったお客様が盛り上げてくださったおかげで新作に辿り着きました。
前回から知っていただいているお客様の期待を越えられるよう、そして今回初めてマルアパに辿り着いてくださった方々に魅力が伝わるよう精一杯、暴れたいと思います。
劇場では遠慮せずに盛り上がってくださると嬉しいです、ビビ・ゾーイ・イザベラ、そして新キャラの クロエ・ニコラ・チャールズがみなさんをお待ちしています!





取材・文・撮影/双海しお
