「ハイロー」10年の熱量と哲学
さまざまなメディアで展開されている総合エンタテインメント・プロジェクト『HiGH&LOW』。10周年イヤーを飾る1作として、舞台『HiGH&LOW THE 戦国 外伝』の上演が決定した。2024年に上演された「HiGH&LOW THE 戦国」のアナザーストーリーで、主演は小野塚勇人が務める。本作で演出を担う平沼紀久は、ハイローシリーズが掲げ続けてきた哲学をこう語る。
平沼 シリーズタイトルに複数の意味がありますが、その一つは『ハイ(HiGH)もロー(LOW)も関係ない、みんなでやろう』ということ。誰かが一番上ではなく、スタッフもキャストも全員が作品を作るためのピースであり、全員主役。この10年間、既存の固定観念や忖度を超えていくことにこだわり続けてきました。その根底にあるのは、面白いものを届けるための純粋な熱量。挑み続けることこそがハイローの魅力です。
第1作にも出演していた小野塚にとっては、同シリーズは特別な作品。この10年を身近に感じていたからこそ並々ならぬ想いがある。
小野塚 最初から参加させていただき、プロジェクトが世に出るまでの熱量を間近で見てきました。当時抱いたワクワク感は、今も鮮明に覚えています。今や下の世代の俳優さんからも『ハイローを見ていました』と言われるようになり、そんな作品に携われていることを誇りに思いますね。先輩たちが繋いできた熱いバトンを、主役という立場で受け取る責任を強く感じています。ただ頑張るだけでなく、自分なりにコツコツ積み上げてきた経験を集約して、ちゃんと次へと繋いでいけるように形を残したいです。
若者らの抗争と絆を描いてきた同シリーズだが、戦国の世を描くことで、テーマの解釈にはさらなる深化を得られたという。
小野塚 現代の『死ぬ気でやる』と、戦国のそれとは、言葉の重みが違います。死生観がまったく違いますから。恵まれない環境下でも、誇りを持って何かの熱を持って生きること。それは、天下を目指すような大きな夢でも、幸せに暮らしたいという切実な願いでも、極限状態にあるからこそ伝わる“本気度”があるはず。
平沼 戦国時代は、天下という明確な目標があって『夢が濃い』時代。フェイクや情報が溢れる現代ですが、昔の人間が抱いた“濃い夢”がどう響くかを感じてもらいたい。また、ハイローには『魂の座標』という概念があって、時代や役柄は違えど根底で繋がっている部分があるんですね。それは役者個人の魂もそう。その普遍的な魂を、どう表現するか。見えないものをどう信じるのか。断定的な答えではなく、皆さんに委ねる余白を大切に演出したいです。
今回の物語では、天下をも動かすという『龍の秘宝』をめぐり、四つ巴の奪い合いが描かれていく。外伝ではあるが、前作の登場人物にとっても重要な基点となる物語だという。
平沼 今作は単なる外伝ではなく、ハイロー戦国の流れにおいて、次に続く物語への重要な架け橋ともなります。前作で命を落とした瀬央ゆりあさんが演じた村上吏希丸や藤原樹さんが演じた姫川弦流のファンにとっても、小野塚が演じる颯斗の活躍をぜひとも応援して楽しんでいただきたいですね。
小野塚 僕が演じる颯斗は、葛藤の中で答えを探し求めているキャラクター。一歩ずつ着実に進む泥臭さは、自分自身の人生とも重なります。派手なアクションや歌の裏側にある、繊細な人間模様も受け取ってもらえたら嬉しいです。この夏、皆さんの心に熱い火を灯せるような舞台にします。前作を知っている方も、初めての方も、ぜひ劇場でこの熱量に触れてください。
インタビュー・文/宮崎新之
撮影/篠塚ようこ
※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】
平沼紀久
■ヒラヌマ ノリヒサ
俳優、監督、演出家、脚本家。舞台『HiGH&LOW』シリーズの脚本・演出を手掛けるほか、多才なクリエイターとして活躍中。
小野塚勇人
■オノヅカ ハヤト
『仮面ライダーエグゼイド』の九条貴利矢役で注目を集め、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍する。
