ももクロ一座特別公演 佐々木彩夏 インタビュー

この夏、ももいろクローバーZが「ももクロ一座」として明治座の舞台に初登場する。第一部で行なわれるお芝居『大江戸娯楽活劇 姫はくノ一』では、最年少メンバーの佐々木彩夏が“主演”となっており、同時に彼女が本公演の“座長”という大任を仰せつかっている。

佐々木「やっぱり座長という響きはものすごく重いですけれど、いつものももクロのステージと一緒でみんながいてくれるからできる舞台になるんじゃないかな、と思っています。私たち、時代劇の経験がほとんどないので、勉強しなくちゃいけないこともたくさんあるだろうし、そこはもう不安とドキドキでいっぱいですね」


ライブの印象が強いももクロだが、実はこれまでにも役者として舞台は経験してきている。2015年5月には平田オリザ原作の『幕が上がる』、そして昨年秋にはボックスミュージカルの『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』。いずれも数週間に渡る公演を主演としてしっかりと務めあげた実績がある。ちなみに今回の作・鈴木聡、演出・本広克行のコンビは昨年の『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』と同じ座組になる。

佐々木「最初の舞台から昨年のミュージカルまで3年以上も空いたので、またしばらくないのかなぁ~、と思っていたんですよ。だから、今年もまた舞台をやりますと聞いたときには、ちょっとびっくりしました。それと同時に、また新しい挑戦をさせていただけるのはありがたいなぁって。

本広監督とは最初の舞台や映画でもお世話になっているんですけど、いつも私たちの素の部分に役を寄せてくださるんです。今回も役名が全部、私たちの本名から取っているんですよ。だから、きっと今回もモノノフ(ももクロのファン)さんたちが見たら、あぁ、わかるわかるっていうシーンがたくさん出てくるんじゃないですかね? ただ、運動音痴の私がくノ一って……ひょっとしたら、この舞台で新しい自分が見つかるかもしれないですね、アハハハ! アクロバティックな動きはしおりん(玉井詩織)が得意なので、いろいろと教えてもらいます!

あと共演者のみなさんも、私たちのライブにいつも大事なお知らせを持ってきてくださる松崎しげるさんや、よく番組でご一緒するオラキオさんもいらっしゃるので心強いです。ただ、松崎さんには歌手のイメージしかないんですよね。スタッフさんたちは、今回、ご一緒する国広富之さんとのドラマ(『噂の刑事トミーとマツ』)をみんな見ていたそうなんですけど、私たちの世代だとそういう印象がほとんどないので、いつもと違った松崎さんの一面をこの舞台で知ることができそうで、それも楽しみです。

きっと、いろんな方が「えっ、ももクロが明治座で公演?」とか「えっ、ももクロが時代劇?」と意外に思われていると思うんですけど、今、お話ししたようにスタッフさんや共演者のみなさんとも、いままでにずっとお仕事をしてきているので、きっと『ももクロらしさ』がしっかりと出せる舞台になるんじゃないかなって思っています。いつもの私たちのライブと同じく、たくさんのお客さんに楽しんでいただいて、笑顔になれる公演を作っていきたいですね」座長の佐々木彩夏は6月23日に横浜アリーナでソロコンサート『AYAKA NATION2019』を控えており、さらにももクロとしても8月3日、4日の両日、埼玉・メットライフドームで夏のコンサート『Momoclo Mania2019』が待ち構えている。そんなハードなスケジュールを乗り越えた先に明治座での公演がある、という事情もあり、今回の取材ではじめて明治座に足を踏み入れた、という。

佐々木「すごいですよね! 一歩、足を踏み入れた瞬間に『豪華!』って感じでしたし、やっぱりみなさんおめかししてやってくる場所なんだなぁ~って。私たちや、私たちよりも若い世代にとっては、なかなか足を運ぶことがない格式の高い場所だと思うんです。そこで私たちが公演をやらせていただくことで、若い世代の方たちが『入門編』として、明治座に足を運んでいただけたら嬉しいですね。ちょうど夏休みですし、ファミリーデー公演もあるので、ぜひご家族でも遊びに来ていただきたいです。

逆に普段、あまりアイドルとかに興味がない方たちにも、ももクロの『入門編』として、これを機会に私たちに会いに来ていただければ。曲を知らないからコンサートには行きにくい、という声をよく聴くんですけど、この公演の第一部に関しては一曲も知らなくても楽しめますからね(笑)。もちろん第二部(ももいろクローバーZ 大いに歌う)では、たっぷり曲をお届けしますけど、大きな会場でのライブとはひと味違った、明治座ならではのステージにできたらな、と思っています」

 

5月17日にデビュー11周年を迎えたももいろクローバーZ。12年目の新境地が明治座の舞台で花開くことは間違いなさそうだ。

 

インタビュー・文/小島和宏
Photo/岡田晃奈