ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 Produced by TBS <上弦の月>霧丸役 平間壮一 インタビュー

2017年3月にオープンして以来、“花・鳥・風・月”、そして“極”まで、5シーズンにわたって脚本、演出、キャストを大胆に変えながらロングラン上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』。観客席が360°回転するという画期的な新劇場、東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて現在上演中の“Season月”(上演は2018年2月下旬まで)では、“上弦の月”と“下弦の月”の“ダブルチーム制”という劇団史上初のチャレンジを決行! 同じ台本を使い、ベースの部分は同じ演出ながら、キャストに合わせてかなり雰囲気の違う作品になっていると大きな話題だ。その“上弦の月”チームで<霧丸>を演じているのは平間壮一。新感線にはこれが記念すべき初参加となる平間に、製作発表時の段階で意気込みを聞いた。

―――『髑髏城の七人』の“Season月”への出演の話を聞いた時、まずどんなことを思いましたか。

平間「最初にポンと浮かんできたのは、(演出の)いのうえ(ひでのり)さんの顔でした(笑)。あのいのうえさんの演出を受けられるのか!という気持ちでいっぱいだったので。実は以前、いのうえさんの演出作品のオーディションを受けさせてもらったことがあるんです。その時、今まで言われたことがなかったアドバイスをいただいて。自分のセリフの、最初の頭の音を変えてみなさいって言われたんです。セリフの入りの音の質、というか。

――音程を変えるということですか?

平間「単純に言えば、そうですね。入りの音質が一緒だと、それだけでつまらなくなるから、と。そのたった30分のオーディションの時間で、自分の身になることを言われたので、いざ自分が本当に稽古を受ける時には今度はどんな芝居の引き出しを作ってくださるだろうと、ものすごく楽しみにもなりました。それに、なんだか噂ではいのうえさんの稽古には“千本ノック”があるとか。」

――あるみたいですね(笑)。

平間「須賀健太くんに聞いたところによると以前、千本ノックを経験したことがあったらしく、一言のセリフを40分くらいずーっとやらされたとか。僕は今回初めて作品に関わらせてもらうので、すっかりビビっています(笑)。」

――『髑髏城の七人』という作品に関しては、どんな印象をお持ちでしたか。

平間「ざっくり言うと、アクションのイメージが強かったですね。同じ事務所の仲里依紗ちゃんが2011年版の舞台に参加していましたから、ものすごく動くことになるんだろうなあ、と。だけど動くことは苦手分野ではないので。とはいえ、そこに逃げずにやっぱり一番はお芝居の部分を大事にしたいと思っています。」

――仲さんは沙霧役だったから、今回平間さんは同じ役まわりだということになりますね。

平間「いや~、不思議ですよね。女性がやってた役を自分がやるなんて。実際に台本をもらうまでは、もしかして女装をするのかなとか、それとも捨之介のことが好きな男の子の役なのかなとか思っていたんですよ。でも、違いました(笑)。」

――今回、これまでの『髑髏城~』と一番わかりやすい違いはそこだったりするかもしれないですよね。蘭兵衛は女性が演じたこともありましたけど、沙霧のポジションを男性が演じるのは。

平間「今回、初めてですからね。ただ僕が少し不安に思っているのは、兵庫と霧丸の関係性なんです。」

――そうなんですか?

平間「気にしすぎなのかもしれないですけど。だって兵庫役の須賀くん、めちゃくちゃ若いじゃないですか。これまでの兵庫役は沙霧より年上の方々だったので、霧丸のほうが年下のイメージなんじゃないかと思って。」

――今までのパターンと比べると。

平間「はい。須賀くんと僕を比べると、なんなら僕が兵庫でも良かったんじゃないかって思ったりして。そのあたりは稽古をしながら、いのうえさんに相談しつつ、須賀くんと僕とでいい空気感を出していけたらな、と思っています。」

――“上弦の月”と“下弦の月”というダブルチーム制というのも、新感線としては初めての試みです。“下弦”チームのことを意識したりしそうですか?

平間「あまりしていないつもりですけど、どこかではそういう意識もあるのかなあとも思いながら。でも気持ちとしてはやはり“上弦”と“下弦”とで一緒にひとつのものを作るという気持ちではいます。みんなで『髑髏城~』という作品をよりよくしよう、このメンバーだからこそできることをやろうという意識で意見を出しあっていけたらいいのかなと。全体的に「“Season月”は良かったね」と言っていただけたらうれしいですね。」

――確かにチーム別という感じではなく、みなさん仲が良さそうな様子ですよね。

平間「今回のキャストはホント、ビックリするくらいにいい人ばっかりなんですよ。嘘のない、自然な方が多いからラクにいられて。初対面の時から、ドギマギしないでいられました。ガチガチな感じになる時ってあるじゃないですか。空気の探り合いみたいな、あれが最初からなかった気がします。」

――稽古、本番に向けての一番の楽しみはどういうことですか。

平間「今回、稽古場では良い意味でバカでいようと思っているんですよ。今まで結構、ダメ出しも真に受け過ぎて、「ああ、自分はできてない、マズイ!」ってなると演出家が怖くなったりしていたんですけど。今回はどんどんツッコんでいこうかな、と。必死に、メゲずに、凹まずに噛みついていこうと思っています。」

――同世代のキャストも多いから、稽古後も盛り上がりそうですね。

平間「ですよね。早速今日も、このあと行ける人みんなでごはんに行くことになったみたいですよ。それぞれの取材が終わり次第、集合するように、(早乙女)太一くんがみんなに声をかけてくれて。」

――え、早乙女さんが?

平間「意外ですよね。「今日、どうするー」って言ってくれて、太一くん、本当はこういうことしないタイプだったんじゃないのかなーなんて思いながら。」

――今回、一番の新感線経験者だからですかね。

平間「そうかもしれないですね。太一くんからも早く「心配ないじゃん、壮一!」って言われるくらいになりたいなと思います。」

――ではお客様へ向けて、平間さんからお誘いのメッセージをいただけますか。

平間「既にもう『髑髏城~』を観られた方もたくさんいらっしゃるでしょうけど、観ていない方に向けて僕が思ったまんまを紹介しますと、映画と舞台の間のエンターテインメントだなと、衝撃を受けたので。みなさんもたぶん同じように驚きつつ、楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。この記事を細かく読んでくださった方は、もしかしたら「壮一、今回自信ねえなー」って思われたかもしれませんが、でもここからみんなと一緒に必死で稽古をがんばった先に本番があるわけですから。なので、親心的な目線で「よくここまでがんばった!」って温かい目で見ていただけたらうれしいです。若者ならではのガムシャラ感や、戦いのスピード感とかキレをたっぷり楽しんでいただけるよう、僕たちも精一杯がんばります!」

インタビュー・文/田中里津子

Photo /村上宗一郎 【プロフィール】

平間壮一

■ヒラマソウイチ 1990年2月1日生まれ。北海道出身。2007年、岸谷五朗演出の舞台『FROGS(フロッグス)』で俳優デビュー。以降、その抜群の身体能力と歌唱力を活かし、映像作品や数々のミュージカル等で活躍中。近年の主な出演作に、ドラマ『あなたのことはそれほど』(2017年)、舞台『RENT』(2017年、2015年)、『ロミオ&ジュリエット』(2017年)など。劇団☆新感線には本作が初参加となる。今年8月に上演されるミュージカル『ゴースト』にてカール役で出演。