2019/9/19(木)~9/23(月・祝)浮世企画『誰そ彼』が下北沢 駅前劇場にて上演される。浮世企画は多彩で濃厚な座組、さらに役者一人一人の魅力を最大限引き出すことを特徴に、主宰・今城文恵によるプロデュース形式で公演を行っている。作品は“登場人物全員駄目人間”による群像劇で、「観客の記憶に作用する」リアルな会話と人物設定が持ち味。今作『誰そ彼』では、登場人物に人間でない妖怪を含み、微ファンタジー家族劇を届ける。本日の稽古はまずエチュードから始まった。ムジナの九兵衛役・小野匠、鬼婆のサリー役・櫻井馨織、ぬらりひょんのじいやん役・本井博之、時計の付喪神役・成瀬志帆がリビングで雑談をしている設定で自由に会話を進めていく。
作中では、人間の眞一郎に見つけられて初めて登場する4人だが、眞一郎に発見される前に一つの家に集い、どのように過ごしていたかを考えることで家族感を深めるねらいだ。それぞれのキャラクターの特性を捉えつつ、共同生活を送るうえでのルールや、妖怪として人間をどう思うかなどを話し合う。皆のお姉さん的立場のサリー役・櫻井馨織が周りを引っ張り、じいやん役の本井博之が的確なパスを振っていく。役が体に馴染んだところで、台本に沿った稽古に入る。人間ではないものという難しい役どころであるがゆえ、作・演出の今城は妖怪同士の関係性や各々の気持ちをキャスト陣と細かく擦り合わせ、慎重に演出をつけていく。九兵衛役・小野匠は、人間への憧れと恐れを同時に抱える葛藤を繊細に演じ、物静かだが皆を気にかける時計役の成瀬志帆は、透明感のある雰囲気を活かし純粋無垢な表情を見せる。稽古後半には松本亮、田中博士、綾乃彩、松本D輔、髙橋龍児、鈴木アメリ、ぎたろーも合流し、全11名のキャストが顔を揃えた。終盤シーンでは、自分が見ていると思っていたものは一体何だったのか、誰の見ていたものが本物だったのか、といった物語の核心に迫る。描かれる景色の何を真実と捉えるか、見る人によってそれぞれ違った楽しみ方ができそうだ。さらに、生まれた瞬間から繋がれてしまっている、家族という厄介で愛しい存在についても改めて考えさせられる作品である。公演は9/19(木)から9/23(月・祝)まで駅前劇場にて。チケット好評発売中。