2019年9月12日(木)東京・サンシャイン劇場にて、東映ムビ×ステ 舞台『GOZEN -狂乱の剣-』が開幕しました。初日に先駆けて行われた囲み取材の登壇者コメントとゲネプロの模様をお届けします。
本作は、映画と舞台を完全連動させる東映渾身の新プロジェクト【東映ムビ×ステ】の第1弾作品です。舞台『GOZEN-狂乱の剣-』は、今年7月に公開された映画『GOZEN -純恋の剣-』からつながる作品世界。脚本・演出の毛利亘宏(少年社中)が、シェイクスピア「ハムレット」をモチーフにしてエンターテインメントかつ、リアルが内在するドラマとして創り上げ、舞台ならではの表現で新たな時代劇エンターテインメントに仕上げました。
【望月八弥斗(もちづき・はやと)役 矢崎広】
「東映ムビ×ステ」という新プロジェクトの第1弾ということで、お話をいただいた時から僕自身とてもワクワクしていました。7月に映画が公開し、いよいよ舞台が初日を迎えるということで「ついに来たな」という気持ちでいっぱいです。緊張もありますが、どんな風にお客様に観ていただけるのだろうという気持ちの方が大きいです。毛利さんからいただいた台本を開いた時に「僕は最後まで駆け抜けられるだろうか…?」と思うところもありましたし(笑)、ハードな稽古ではありましたが、ここにいるキャストの皆様始め、素敵なカンパニーに支えられながらここまでやってくることができました。映画を観たら舞台を観たくなり、舞台を観たら映画を観たくなる、そんな作品になったのではないかと思います。映画と舞台の連動企画は色々ありますが、『GOZEN』はまさに“ムビステ”というジャンルを確立したひとつの作品として、皆様にお届けできるものになっていると思います。たくさんの方に観ていただき、どんどん進化して頑張っていきます!映画が「純愛ストーリー」だとしたら、舞台は「超大作」。僕は主軸を走らせてもらっていますが、いろんな関係性の軸があって、僕が演じる望月八弥斗はそれぞれに全力でぶつかっていきます。どの関係性も見逃さずに観ていただけたら、『GOZEN』の世界にどっぷり浸かれるのではないかと思います。「令和」という時代の始まりにふさわしい作品になったのではないかと思います。僕らは汗を迸らせながら、皆様に全力でメッセージをぶつけていきたいと思っています。大千穐楽まで駆け抜けていくので、応援の程お願い致します。
【流狂四郎(ながれ・きょうしろう)役 元木聖也】
去年の12月、寒い時期から映画の撮影が京都で始まったので、かなり長い期間関わっている作品になります。映画の方では深く描かれていなかった人物が舞台の方ではより濃く、「この人はこんな風にしゃべるんだ」「こんな風に動くんだ」と分かる部分がたくさん描かれています。毛利さんの台本を読んだ時に、僕は「こんなに大きなスケールの舞台になったんだ!」と思いました。世界観がすごくて、どんどん引き込まれていくようでした。殺陣のレベルも高いですし、あっと驚くような展開もたくさんあるので、ぜひご期待ください。個人的に、東映さんとは去年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』からずっと関わらせていただいていますので、ルパパトのメンバーにも「ぜひとも観に来て、宣伝もお願いします!」と言ってあります。たぶん来てくれると思います(笑)。この作品に携われて本当に最高です。千穐楽までケガのなきよう頑張っていきます!一番の見どころは殺陣。激しい乱戦がたくさんありますし、一度だけでは目が足りないくらい駆け回っています。殺陣の熱量が間近で感じ取れるのは舞台ならでは。刀がぶつかる音や足音をぜひとも聞いて欲しいです。映画では明かされなかった狂四郎の正体も明らかになるので、劇場に観に来てください。
【結城蔵人(ゆうき・くらんど)役 前山剛久】
「もう初日なのか」と、あっという間の稽古期間だったように感じています。台本を読んだ時は、僕も「蔵人ってこんな感じなんだ!?」とビックリしました。他の役もそうですが、映画では考えられなかった台詞や立ち振る舞いがあるので、映画をご覧になった方は驚くかと思います。そこを楽しんでいただけたら嬉しいです。毛利さんの演出の元、すごく華やかになっているので、観る人が視覚も聴覚も満足できる作品だと思います。個人的には仮面を付けているので、呼吸困難に陥らないか心配しています(笑)。そのくらい出る度に戦っています! 最初の台詞も衝撃的で、「お」から始まる卑猥な言葉を発します。楽しみにしてもらえたら嬉しいです(笑)。
【小松原蓮十郎(こまつばら・れんじゅうろう)役 松村龍之介】
映画の撮影からここまでが本当にあっという間で、充実した日々だったなと思います。そう思えたのも共演者の皆様、スタッフの方々、そうそうたるメンバーが集まっていて、毎日刺激のある稽古期間を過ごせたからです。それを経て、自信を持って初日を迎えられたことを本当に嬉しく思います。個人的なところで言いますと、僕が演じる蓮十郎の父上と妹が舞台に出ますので、映画ではそこまで深く語られていなかった家族に対する想いや、八弥斗との関係性だったりも舞台で紐解かれていきます。映画とあわせて、それぞれのキャラクターの深いところを楽しんでいただけたらと思っています。見どころは衣裳。映画とは少し違う方もいらっしゃいますし、もしかしたら劇中に変わる人もいらっしゃるかもしれないので、ご注目いただければと思います。
【小松原奈奈(こまつばら・なな)役 若月佑美】
映画と舞台それぞれのヒロインの違いを楽しんでいただければと思います。映画は儚くて切なくて、少し脆いところが素敵なヒロイン。舞台はちょっと強めというか、芯がしっかりある女性というところでヒロインをやろうと思っています。男性キャストの皆さんがたくさん戦っている中で、私とAKANE LIVさん、女性キャストがどのように立ち回って、この作品に彩を添えていけるかが勝負だと思います。頑張ります!ヒロインといえば真っ直ぐで正統なキャラクターが多い中、奈奈は様々な表情と声色をお見せできると思います。世の中には色々な愛がありますが、この物語にも家族愛や恋愛、友情の愛などたくさんの愛がちりばめられています。その愛にみんなが狂っていく生き方がとても美しいなと思いますので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思っています。
【望月甲斐正(もちづき・かいのしょう)役 波岡一喜】
私事ですが…と言っても東映を買収するという話などではありません(笑)。先ほど毛利さんとも話していたのですが、我々ふたりがこういう豪勢なところでご一緒させてもらうということはとても嬉しいことだなと。というのは、もう21年前くらいの話になりますが、僕は早稲田大学演劇研究会、通称「劇研」の出身でして、僕が1年で入った時に、毛利さんが4年先輩で「少年社中」が立ち上がる瞬間だったんです。その第一回公演の時に、僕は主役を演じていた井俣平良さんにピンスポットを当てていました。その時代を思い出して、21年越しに毛利さんとこういう形でお仕事させていただけるのは、我々も出世したな~という気持ちです(笑)。「頑張ってきたらこういう風になれたんだ」ということと、「これだけ成長しました」ということを昔の先輩に見せて、恩返しもできたらいいなと思って今回は臨みたいと思っています。映画はBL的な匂いがあったりするのですが、僕が演じる甲斐正は前山くんの演じる蔵人のコトを何かにつけて呼んでいるので、きっとこの話の中には、僕と蔵人の恋物語があるのではないかと。ちゃんと見てもらえたら伝わると思います! 今回のテーマは“GOZENずラブ”です!
【脚本・演出 毛利亘宏】
エンターテインメントを作っている東映さんが新たなジャンルに踏み出すところに、僕を選んでいただいて本当に光栄に思っています。映画は『平成仮面ライダー』シリーズの巨匠・石田監督。僕は脚本家として何度もご一緒していますが、石田監督に胸を借りながら、舞台はここにありという……「映画に勝ちたい」という想いです!……というのは冗談で(笑)、映画と舞台、ふたつの大きな作品が連動してより大きな大作になるというのは、クリエイター冥利に尽きますし、このダイナミズムをお客様に楽しんでいただけたら非常に嬉しいなと思っています。映画を観たお客様はビックリするような展開が待っていますし、この舞台を観てから現在配信中の映画を観ても楽しいと思います。両方観るとより面白い作品になっています。色んな面で自分が培ってきた全てを投入しました。僕が今できる集大成です。ご期待くださいませ!
【郷田半左衛門(ごうだ・はんざえもん) 役 井澤勇貴】
舞台『GOZEN-狂乱の剣-』にて、郷田半左衛門を演じさせて頂きます井澤勇貴です。今夏に映画が公開され、ようやく舞台も上演し皆様に観ていただくことで、やっと『GOZEN』という作品が完成すると思っています。主演の矢崎広さんが演じる望月八弥斗の台詞の中で大好きな台詞があり感銘を受けました。人それぞれ心に響く言葉は違うとは思いますが作品を楽しむ他に皆様の人生の背中を押してくれる台詞を、生き方も見つけて楽しんで頂けると光栄です。ご来場お待ちしております。
【田宮源三(たみや・げんぞう) 役 松本寛也】
舞台『GOZEN-狂乱の剣-』で田宮源三役として出演させていただきます松本寛也です。もちろん、舞台としても楽しめるのですが、映画『GOZEN-純恋の剣-』と併せて観ていただけるとより一層楽しめる作品となっております。映画では語られなかったお話や、舞台との連動している物語を探すのも、東映ムビ×ステならではの醍醐味ですので、是非併せてお楽しみください!
【白河三太夫(しらかわ・さんだゆう) 役 井俣太良】
映画『GOZEN-純恋の剣-』に引き続き、舞台『GOZEN-狂乱の剣-』 で白河三太夫を演じさせていただく井俣太良です。三太夫は鎖鎌とカギ爪を武器に、純粋に強さと名声を求め、腕利きの武芸者に果たし合いを申し込んでしまうような豪快な剣豪。見た目に似合わずチャーミングなところもあるので、その辺りも楽しんでいただければと思います。映画の作り上げた世界観を、演劇の世界に引き継いだ時に生まれてくる未知なるケミストリーを是非、劇場で感じていただきたいです。御来場お待ちしております!
【原田貞之(審判)(はらだ・さだゆき)役 廿浦裕介(つづうら・ゆうすけ)】
舞台『GOZEN-狂乱の剣-』にて、原田貞之を演じさせて頂きます廿浦裕介です。魅力的なキャストが1ヶ月間稽古を積み重ね、『狂乱』の名に相応しい作品が出来上がったと思っております。映画『GOZEN-純恋の剣-』をご覧になっていない方でも楽しめますし、映画を観て下さった方はより一層楽しめる作品です。精一杯演じて参りますので、映画とはまた違った舞台ならではの『GOZEN』をお楽しみ頂ければ幸いです。劇場にてお待ちしております!
【土御門月暗(つちみかど・げつあん) 役 梅津瑞樹】
この度、土御門月暗を演じさせていただきます梅津瑞樹です。
舞台『GOZEN-狂乱の剣-』の見所は、ひとえにアクションに次ぐアクション、これに尽きます。様々なキャラクターが織り成す、色とりどりの殺陣。戦いの数だけ目を見張ること請け合いです。
きっと観劇後は昂ぶった気持ちをどう発散しようか迷うことになる、はず。今のうちにフィットネスクラブへのご入会をオススメします。ご期待ください。
【興
津清順(おきつ・きよのり) 役 上遠野太洸(かとおの・たいこう)】
興津清順役を演じる上遠野太洸と申します。本作の主人公・望月八弥斗の親友という立ち位置です。『GOZEN』には舞台からの参加となりますが、この作品の世界に、戦う人間以外の目線を生み出せたらなと思っております。そして、目紛しい立ち回りの中の、些細な感情の揺れを感じる時の目線のひとつを目指して、板の上に立ちたいと思います。どうぞ最後まで『GOZEN』をお楽しみ下さいませ。
【朝霧(あさぎり) 役 AKANE LIV】
舞台『GOZEN-狂乱の剣-』にて、矢崎広さん演じる望月八弥斗の母親である、朝役を演じさせて頂きますAKANE LIVです。稽古場で初めて第2幕後半の立ち回りのシーンを観た時、男性キャストの皆様の殺陣のスピード、迫力に圧倒されました。そして、その緊迫したシーンの間に交わされる台詞にも心をギュッと締め付けられました。時代劇+ハムレット+ファンタジー的要素が混ざり合い、演出の毛利さんにしか作り出せないとても素敵な作品になっていると思います。皆様、是非劇場でお待ちしております!!
【小松原烈山(こまつばら・れつざん) 役 山本亨】
演出の毛利さん、スタッフ、役者達と稽古場で創りあげた事を信じ、足を運んで頂いたお客様の応援で千秋楽まで一日一日成長出来れば幸せです。とにかく素敵な若者達の汗を力に突っ走っていく所存です!無理せずで!劇場にてお待ちしております!
リポート
立木文彦による力強いナレーションで物語の背景が説明されるやいなや、ステージに現れた剣士たちが次々と必技を繰り出す。障子風のスクリーンを活かした華やかな演出で、観客の気分を高揚させるダイナミックな幕開けだ。アクション・殺陣やダンス、音楽、音響効果、照明、映像、ありとあらゆる舞台ならでは演出で、観客は「GOZEN」の世界観に浸っていく。
時は徳川二代将軍秀忠のころ。北陸の海沿いに府月という藩あり。その府月藩の藩主・望月甲斐正(波岡一喜)が催した御前試合には、藩内に潜伏した幕府や他藩の隠密を炙り出し、公開処刑しようという企みがあった。その真意を知りながらも、望月八弥斗(矢崎広)は御前試合に参加することを決意する。八弥斗は前藩主の嫡男であったが、他国での修行から帰ってきてみると、叔父の甲斐正が藩主となり、母・朝霧(AKANE LIV)はその妻になっていた。父の亡霊から真相を聞いた八弥斗は「復讐」という運命から、死闘に参戦せねばならなくなる。だが、同じく御前試合の参加者であった怪しげな剣士・流狂四郎(元木聖也)との出会いによって、八弥斗の運命は思いもよらぬ方向に転がっていく……。
心優しいが頼りなげな主人公・八弥斗を、矢崎広が生き生きと魅せる。若武者としての純朴な姿と、傾奇者を装った際の軽快な物腰。恋人の小松原奈奈(若月佑美)を始めとした取り巻く人々へ見せる表情など、矢崎特有の色気と愛嬌が全開だ。元木聖也を筆頭に若手俳優陣がキレのある殺陣で場面を躍動させ、山本亨らベテラン勢が流石の貫禄で物語に説得力を加えている。ウィリアム・シェイクスピアの「ハムレット」をモチーフにした八弥斗の主軸に合わせて様々な人間関係が動き、1幕終盤の衝撃的展開によってストーリーは一気に加速。最後の最後まで目が離せない。
新たな企画にかけるキャスト・スタッフ全員の気迫が感じ取れる、「全てが見どころ」の舞台である。
© 2019 toei-movie-st
カメラマン:金山フヒト