放送作家の鈴木おさむがドラマ版の脚本と舞台版の脚本・演出を手掛ける、WOWOWオリジナルドラマと舞台の連動プロジェクト「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」。実在する火星移住計画に着想を得た、火星を舞台にしたシチュエーションコメディで、ドラマは毎週異なるキャストが登場するオムニバス形式で総勢26人が出演することになっている。そして、舞台版キャストには、三浦翔平、矢本悠馬、崎山つばさ、須賀健太の4名がキャスティングされた。この新たなる試みに三浦はどのように挑むのか、話を聞いた。
――今回はドラマと舞台という形の企画ですが、最初に聞いたときはどのような印象でしたか?
舞台と映像が連動した新しいプロジェクトをやるかもしれないと聞いていて、今回このような形でお話をいただきました。僕にとっても初めてですし、WOWOWでも初めてのことと聞いていますので、みんなが初のプロジェクト。不安もありますけど、楽しんでやりたいですね。脚本・演出の鈴木おさむさんとも、お話をいただいたころにお話する機会があったんですが、余り時間がなくて…。「ちょっと、映像と舞台で連動してやるから。がんばって!」くらいのざっくりした感じでした(笑)――舞台の面白さってどういうところにあると思いますか?
やっぱり“生”だということ。観るのは好きなので、最近もいろいろな作品を観に行っているんですけど、その日の公演でしか生まれないもの、その日にしかできないもの、っていう生の面白さが一番デカいんじゃないかな。まだ舞台に関してはそんなに本数も積んでいないので、吸収できることは毎回吸収しようと思っています。今は、舞台をやりたい気持ちがあるので、楽しみですね。まだまだ足りない、という気持ちもある。今回はシチュエーションコメディで4人芝居。舞台のコメディって難しいですよね…。そういう不安と楽しみが入り乱れた気持ちです。
――舞台をもっとやってみたいと思ったきっかけは?
映像作品とはまた違って、いろいろな表現に挑戦できる感じがするんですよ。舞台をされている役者さんが「映像は監督さんのものだけど、舞台は幕が開いてしまえば自分たちのものだから」って言っていたんですね。もちろん稽古では演出家にお芝居をつけていただくんですけど、幕が開いたら演出家さんに「なんで居るの?」って言ってしまえるくらいの自由さ(笑)。映像には映像、舞台には舞台の良さがあって、僕は映像作品が多かったから、たまに舞台に出させていただくと新鮮さや発見があるんです。だから、最近すごく好きなんですよ。
――今回は4人だけで、かつコメディなので、アドリブや自由度にも拍車がかかりそうな感じもします。
崎山つばささんはまだ舞台を拝見したことがないんですが、この2人(矢本悠馬と須賀健太)は…多分、回収できなくなると思います(笑)。ってなると、回収するのは崎山さんと僕なんじゃないかな? 僕はおさむさんの魂胆的なものを見ようとするので、それぞれに何を求めているのかな?って。お互いに話し合って、面白くできればいいな。須賀くんはこの間も舞台で一緒だったんですけど、アドリブを振ると面白いんです。真面目だから。だから、ぜひ、イジってあげようと思います(笑)――実際に火星に移住するというプロジェクトに着想を得たストーリーですが、お話の印象についてもお聞かせください。
なんというか、メソッド的なものが使えないですよね。経験がない、知識もない、資料もない。実際に行った人の話もないんです。だから最初は困りました。想像でしかないんですよ。…火星、行きたくないですもんね(笑)。実際のプロジェクトでは、当初の計画で2025年に火星に行くという話で、まだメンバーは決まっていませんが日本人の方も候補にいらっしゃるとか。今後、世界を変えていくようなプロジェクトだと思います。でも、我々の方はコメディですので(笑)。別のものとして楽しんでいただければ。でも、想像するのは楽しいですね。
――もし火星に移住できるようになったとして、衣食住ある程度が揃っていたとしても、これだけは必ず必要!というものは何ですか?
火星にですか? 水と食べ物さえあればなんとかなるかな。火星に地球外生命体みたいなものは存在しているのかな…。そういう存在がいるのであれば、武器が必要ですよね。――戦う前提なんですね(笑)
火星からすれば、侵略者ですからね(笑)。地球もいずれ数百年で住めなくなってしまうというデータもあるそうです。そうなった時、必然というか必要というか。だから火星に行くという話なんでしょうしね。
――三浦さんにとって理想的な火星の生活ってどういう感じ?
地球で生きてきたから、それと変わらないといいですよね。絶対コンビニとか無いじゃないですか(笑)。コンビニが火星に初出店、みたいな。でもそういう話にもなってくるのかな? 今はプロットがある段階なんですけど、おさむさんの場合はプロットなんて関係ないですから(笑)。最終的に、このイメージからどんどん変わっていくので。――役柄についてはいかがですか?元ビジュアルバンドをやっていた、ロックな魂を大事にしている医者という人物像ですが。
ロックが好きだったり、熱い奴と見せかけて、実はすごく弱い人物だったりするんじゃないでしょうかね。陰と陽をしっかり出せたらいいな。両極端な人物だと思うので。…まだ全然イメージわかないですけどね。オールマイティに動けるようにしないと。
――このメンバーを見ると、そういうポジションになりそうですよね
一番、嫌なんですけどね(笑)。やり逃げが一番いい。そういう意味で、ズルいですから、この人たちは(笑)――何か計画とかを立てるときは、率先するタイプ?
モノによりますけど、割と誰かがやってくれないか待ってるタイプ。一回、様子見ます。石橋叩いて渡ります(笑)。だって、嫌じゃないですか。もしかしたら穴があるかも知れないし、底が抜けてるかもしれないし。
――このためだったら自分から動いて頑張れる、とかありますか?
今だと何だろう…ご飯とかかな? 結婚もしたので、2人で行ける美味しい店を探したり、旅行先を探したり。でも最近、あんまり美味しいお店で食べれてないんですよ…。サイトとかを検索して行きたい店をみつけて、お店を予約してある日の前日はものすごく頑張れます(笑)。今回のメンバーで行く店ですか? 肉でいいんじゃないですかね。フレンチとかじゃないでしょ(笑)。肉代は…おさむさんにお願いしましょう(笑)――鈴木おさむさんの演出の魅力や、今回の稽古で期待していることは?
何がくるか分からないところですね。一見、ありえないでしょって思うんですけど、意外と計算されていて…頭いいなぁ、って思います。すごく社会派な作品の中にも“なんで!?”っていうようなのが入ってきたりするんですけど、それも意外と面白くて。僕は全面的に信頼していますんで、もう何を言ってくれてもいいです。期待することは…なるべく台詞量を抑えてくれたら。長台詞とかは、全部、須賀くんに回して(笑)。稽古は一番楽しい。その場で生まれてきたものや思いついたものがが、すごく面白かったりするし。幕が開いたら恥はかけないですけど、稽古なら恥もかけますからね。
――最後に、作品を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!
僕自身、予測できていないですし、それが舞台上でも出ると思います。予測のできない面白さ。次、何が来るのかな?っていう期待やワクワクや驚きですよね。エネルギッシュな舞台、映像作品にしますので、元気を与えられるものを作っていきたいと思います。笑顔で帰っていただける楽しいお芝居にしていきますので、ぜひ楽しみに来ていただけたらと思います!取材・文/宮崎新之