『メアリ・スチュアート』 開幕!長谷川京子、シルビア・グラブ ほか初日コメント到着

2020.01.30

『メアリ・スチュアート』 開幕!

演出 森新太郎、出演者の長谷川京子、シルビア・グラブ、三浦涼介、吉田栄作より、本公演初日(1/27)を終えた心境について、コメントが届きました。

 

◆森新太郎 (演出)

劇場主催ということもあり、演出家としてはものすごく恵まれた環境の中、最後の最後まで丁寧に舞台稽古に取り組めました。役者はもちろん劇場を含めスタッフ全員が私の粘りに根気強く付き合ってくれて、実は今日、幕が開く2時間前にやっとラストシーンがつくれたんです。今回の舞台セットは伽藍洞なむき出しの劇場、役者の熱量がほんの少しでも落ちたりすると、もう一瞬にして観るものがなくなってしまうとまで言えるような、綱渡りの芝居。あれだけの緊張感を持続させながらつとめあげる座組の皆に拍手を送りたいと、本当にそう思います。

初日の客席からは笑いが起こり、ほっとしましたね。ああ、お客さんがこの話を理解して楽しんでくれているなっていうのが分かって。物音ひとつ立てずに耳を傾けてくださる瞬間もちゃんとお客さんから頂くことができましたし、非常にいい状態で客席と舞台が一体となった初日だったと思います。世田谷パブリックシアターの、この空間でしかできない表現をやっている上に、この長大で骨太な戯曲はこれだけのクオリティのある俳優陣がそろわないと上演不可能なんです。自分の演出作品のなかでも、ここまでそぎ落としてお客さんの想像力に委ねるような芝居もなかなかないので、ぜひ観てもらいたいなと心底思っています。

 

◆長谷川京子 (スコットランド女王メアリ・スチュアート)

1ヶ月半稽古してきたものの結果が今日だと思っていたけれど、「今日からだな」「ここからだな」と改めて思いました。そして本当に、舞台はお客さんが入って完成するものなんだなって、今日すごく実感しました。客席の場所によってはお客さんととても距離が近いところまで踏み込んでいくので、自分の息づかいとかちょっとした目の動きとかまでも大事にしなきゃいけない。今回は熱量がすごく大事な舞台なので、その熱量を味わって欲しいなと思います。ステージに特に何か装飾があるわけでもないスタイリッシュなこの世界観の中で、ライブで人間が体でぶつかり合う、エネルギーのぶつかり合いみたいなものを見てもらいたいです。

 

◆シルビア・グラブ (イングランド女王エリザベス一世)

まさか今日のこの日が来るとは思っていなかったですね(笑)辿り着けるとは思わなかった(笑)
本番では思っていなかったところで客席から笑いがおきたり意外な反応があって、いろんな発見がありました。これからお客さんと一緒にもっとこの作品を育てていきたいと思います。
古典劇で、200年前に書かれていて、「メアリ・スチュアート」という題材的にもちょっと難しいのかなって思っている人達は多いかもしれないけど、誰でも楽しめる作品だと思います。今日のお客さんのリアクションもわりと笑いが多かったので、気難しい気持ちじゃなく、フランクな気持ちで観に来てくれたらすごく嬉しい。もっといろんな人に観て欲しいです。

◆三浦涼介 (サー・エドワード・モーティマー)

稽古中はたくさんのことを吸収し、なかなか発散できないでいましたが、舞台稽古とゲネプロを重ねていくうちに心から楽しいと思い、早くお客様の前で思い切り表現できたらと楽しみにしていました。無事に初日を迎え、お客様の反応を感じながらステージに立てたことで、今は胸がいっぱいです。僕が演じるモーティマーは、ピュアである以上にすごい熱を秘めている人間で、恐ろしささえ感じる…。それを押し殺してでも、真っすぐな思いで大切なものを守り抜こうとします。そんなはかなさや切なさを抱えた彼が愛おしく感じます。お客様に楽しんでいただくのはもちろん、明日から生きていくパワーを受け取っていただけるように精一杯愛を持って演じますので、ぜひ劇場にお越しください。

 

◆吉田栄作 (レスター伯ロバート・ダドリー)

初日が開けるのはどの舞台でも感慨深いですが、まだ18分の1が終わっただけで、むしろこの後の一回一回のステージが大事だと思います。今日もらえた反応が、明日以降もあるとは限らないので、しっかりと熱量を落とさずに、千秋楽まで駆け抜けたい所存です。最後にはメアリの処刑が待っている悲しいお話ではありますが、思わず笑ってしまうシーンがあったり、決して難しい作品ではありません。森さんの演出によって、当初の僕のイメージとはかけ離れたとても人間らしいレスター像ができあがっているんですが、それは芝居と演出のセッションの賜物なので、最後まで深めていけたら、と思います。

 

世田谷パブリックシアター『メアリ・スチュアート』
撮影:細野 晋司