2018年2月末まで、東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて絶賛上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』。これまで“花・鳥・風・月”とシーズンごとに脚本、演出、出演者を大胆に変えつつ上演を続けてきたが、その第4弾“Season月”では“ダブルチーム”制を実施し“上弦の月”と“下弦の月”という2チームが交互でステージを務めている。その“上弦の月”で<兵庫>に扮しているのは須賀健太だ。新感線には初参加の須賀に、製作発表の段階で作品への想い、意気込みなどを聞いた。
――『髑髏城の七人』へ出演することになり、まずどう思われましたか?
須賀「いや、もううれしかったです。こんな簡単に「うれしかった」って言うのもイヤなくらいに本当にうれしかった(笑)。もともと、実は自分が舞台をやりたいなと思ったきっかけが劇団☆新感線さんの舞台『IZO』(2008年)だったんですよね。当時は僕、まだちっちゃかったので内容とか全部は把握できずに観ていたんですけど、とにかく熱量がすごくて、こんな世界があるんだ!と思い、いつか自分も舞台に立ちたいなと決意しました。『髑髏城の七人』は2011年版をナマでは観られなかったのでゲキ×シネで観て「なんだこれ?うわ、やっべーな!」と思って(笑)。それでDVDも買って、何度も繰り返し観ていたんです。そんな作品にまさか自分が出られるなんて、思っていなかったですね。だけど7年周期で再演しているということは知っていたので、そろそろやるのかな、次は誰がやるんだろうと思ってはいました。で、もしも自分がやれるとしたら、さらにまた次の7年後くらいなのかなーなんて(笑)。」
――では、ご自分が予想していたタイミングより、7年も早く念願が叶ったと。
須賀「はい。「嘘でしょー!」と思いつつ、兵庫という役柄も大好きだったからすごくうれしかったです。欲を言うなら捨之介や天魔王とかもやりたかったですけど(笑)、なにしろ背が小さいからカッコよくやれないですし。現実的な自分のポジション的に誰だろうと考えると、やっぱり兵庫かなと思っていました。兵庫は真っすぐで、一番人間臭くて、可愛げがあって親しみやすいキャラクターで。もう何度もDVDを見ては、兵庫の名乗りの場面のセリフを一生懸命覚えていましたしね。あと、蘭兵衛の「野心に生きるは~」のくだりも必死に覚えて、DVDに合わせて言ったりしてました。これってもう、ただのファンですね(笑)。」
――ヴィジュアル撮影の時は、結構大変だったのでは?
須賀「いえ、ただただ楽しかったです。半分革ジャンで、デニムの生地を使っていたしバッヂもいっぱいついていて、すごく新しい衣裳でしたよね。撮影自体も楽しかったです。兵庫は特に、いろいろな表情ができるキャラクターなので。」
――実際に本番でも、笑って泣いて怒ってビックリできるようなキャラクターと言えそうです(笑)。
須賀「そうですよね。だけど『髑髏城~』は本当に大好きな作品なので当然生半可なものを提供したくはないですし、いのうえさんの演出は既に『鉈切り丸』(2013年)で経験させていただいているので、あの時よりちゃんと成長したなあって思ってもらえるように、しっかり稽古しなきゃと思っています。いかにも兵庫らしく、テンション高く、ガンガンやっていくつもりです。」
――今回のダブルチーム制というシステムについてはどうですか。
須賀「ビックリしました。だけど、過去にも『髑髏城~』では『アカドクロ』と『アオドクロ』という試みがありましたからね。だから2チームということに驚きはしましたけど、作品としてはありなのかなあとも思いました。でも『アカ』と『アオ』は脚本も演出も最初から違う内容でしたけど、今回の台本は同じものを使うわけなので、そこはやっぱり新しいなあ!と思いつつ。しかも“下弦の月”の兵庫は自分の事務所の先輩の木村了さんなので、より緊張します。」
――〔IHIステージアラウンド東京〕という、新しい劇場で上演することに関してはいかがですか。
須賀「豊洲に新しい劇場ができるらしいよと最初に聞いた段階からすごく気になっていて。しかもそこで新感線が1年以上かけて『髑髏城~』をやる?マジかよ??みたいな気持ちでしたね。そこに自分が出れるなんてね。実際に舞台袖を見せていただいたんですが、そこでやっと「あ、とんでもないことを引き受けてしまった」と気づきました(笑)。」
――ここを走るのか、と。
須賀「それにこれだけ激しい動きのある舞台ですから、舞台裏はすごく大変そう。だけど自分がお客さんとして作品を観ている時は、特に裏のことは気にせずに観てしまっていて。そのくらい面白かったし、没入感がすごかった。暗転がないなんて、本当にすごいですよね。そのおかげでのめり込み方、作品への入り込み方が全然違ってくる。そこも、この劇場にしかない特徴ですよね。」
――“上弦の月”の主演は福士蒼汰さんです。
須賀「福士さんとは映画『仮面ライダーフォーゼ』でご一緒しているんですけど、それにしても初舞台で新感線の主演をやるなんて、自分だったらとても引き受けられないなと思いますね。ちょっとすごいな、と。」
――その勇気ある姿を、支えなきゃ、と?
須賀「いや、もちろん支えたいのはやまやまですけど、たぶん僕は自分のことだけで精一杯じゃないかなとも思います(笑)。でも、そこは超ワカドクロの全員でひとつの気持ちになってやるくらいじゃないと、たぶん他のチームのパワーには勝てないと思って。ひたすら、勢いでいけたらいいですけどね。」
――兵庫は、やることがいっぱいあるし。鍛えられそうですね。
須賀「ぜひ、鍛えていただきたいと思っています! って、なんだかどんどん自分でハードルを上げて、首を絞めている気がしてきましたけど(笑)。『鉈切り丸』の時は、稽古中にお芝居の話をさせていただく以外は、ほぼ、いのうえさんとお話しする機会がなかったので、なんとか今回はいろいろなお話しができたらいいなと思いますね。」
――では、お客様へ向けてメッセージをいただけますか。
須賀「僕自身も本当にあこがれの場所に立てるということで、全力で臨みたいと思っています。
どうやら最年少兵庫になるみたいですし、どのチームよりもいかにも若く元気な兵庫を演じたい。かけるだけ汗をたっぷりかいて、360度、縦横無尽に走り回りたいと思いますのでぜひ、劇場に遊びに来ていただけたらと思います。よろしくお願いします!!」
インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎
【プロフィール】
須賀健太
■スガケンタ 1994年10月19日生まれ。東京都出身。1998年、子役としてデビュー。2002年に出演したドラマ『人にやさしく』で注目を集めた。以降、さまざまなドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。2006年公開の映画『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』で第30回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また2007年公開の映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』で第17回日本映画批評家大賞審査員特別演技賞を受賞。近年の主な出演作に映画『獣道』(2017年)、ドラマ『嘘なんてひとつもないの』(2017年)、舞台『ハイパープロジェクション演劇 ハイキュー!!』シリーズ(2015~2017年)など。いのうえひでのり演出作品への出演は『鉈切り丸』(2013年)以来2度目、劇団☆新感線には本作が初参加となる。