牧島 輝が子供の頃の夢「消防士」を舞台で演じる
「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載中のバトルファンタジー漫画『炎炎ノ消防隊』(作・大久保篤)が初めて舞台化される。普通の人が突如、炎の怪物“焔(ほむら)ビト”となって破壊の限りを尽くす“人体発火現象”の発生が日常化した世界で、焔ビトに立ち向かう特殊消防隊の姿を描く作品は、19年からTVアニメ化もされている人気作。その主人公・森羅日下部を演じる牧島 輝は、元々原作の大ファンで「お声がけいただいたとき、すぐに『やりたいです!』と言いました。とにかく嬉しい」と目を輝かせた。
牧島「大久保篤先生の漫画はずっと読んでいました。ストーリーが面白いし、少年誌らしからぬ闇が描かれているところも好きで。『炎炎ノ消防隊』の主人公・シンラも重いものを抱えているんです。特殊消防隊として大きなものと戦いながら、自分のトラウマとも戦っている人です」
そのシンラは牧島にとって「憧れ」なのだと言う。
牧島「彼は子供の頃にお母さんと弟を火事で亡くしたのですが、ある能力のせいで犯人じゃないかと疑われ、『悪魔』と呼ばれて後ろ指をさされながら生きてきた。それでも前を向き、特殊消防官になって、ヒーローになろうとしています。その状況で前を向けるって普通では無理です。でもきっと信念があるから強くいられるんだろうなと感じて。僕もこの作品の主人公として舞台に立たせていただくからには、『お客様を楽しませる』という信念を持って演じたいと思っています」
憧れのキャラクターだからこそ、芝居の構想も湧いてくる。
牧島「シンラは最初から強くてなんでもできるわけではなく、出会いや経験の中で成長していく。そこが面白いんじゃないかと思っています。原作ファンとして大切にしたいのは、彼の笑顔。“緊張で顔がこわばると笑ってしまう”という癖があるので、本当に嬉しいときの笑顔と、こわばったときの笑顔の違いをちゃんと見せたい。表情の違いを舞台で表現するのは難易度が高いと思いますが、離れた席のお客さんにも伝わるように考えたいです」
登場人物それぞれが特殊な能力を持ち、アクションシーンも賑やかになりそうな作品。
牧島「炎を使った技や派手なバトルを舞台でどう表現するのか、僕自身も楽しみにしています。ストーリーとアクション、両方で楽しんでもらえる作品になると思います!」
幼い頃の事件が理由で消防士になったシンラ。では牧島が役者という仕事を選んだきっかけは?
牧島「漫画が好きで、その世界に入ってみたいと思ったことと、もうひとつ、僕は昔、自分があまり好きになれなくて。それで『別の誰かになれる』と思ったのが役者を始めたきっかけです。今では自信も持ててきて、自分のことも好きになれましたし、できるだけたくさんの人を笑顔にできたらと思うようになりました」
と、ヒーローを目指すシンラともどこか繋がるコメント。さらに「実は小さい頃の夢は消防士だったんですよ。自分の命を懸けて人を救う姿がカッコよくて」と明かした彼に、俳優も別の意味で人を救う仕事では?と問うと、こう語ってくれた。
牧島「例えば舞台を2時間観ただけで、その後何日も胸が燃えていたりする。舞台は生きていくためになくてはならないものではないかもしれませんが、生きる活力を生むことができるのが演劇だと思っています。この作品が開幕する頃、世界がどんな状況になっているかわからないけど、可能な状況であればぜひ劇場にお越しいただきたいです」
インタビュー・文/中川實穂
※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
牧島 輝
■マキシマ ヒカル ’95年、埼玉県出身。ミュージカル『テニスの王子様』ミュージカル『刀剣乱舞』など舞台を中心に活躍中。