ホリプロタレントスカウトキャラバンが2020年も開催!
ホリプロだからこそ”今”できるオーディションとは?
石原さとみや深田恭子らを輩出したホリプロの伝統あるオーディションが2020年も開催されることになった。「ホリプロ60周年企画 第44回ホリプロタレントスカウトキャラバン 未来のキング&クイーンを探せ!ミュージカル次世代スターオーディション」と題し、9月1日より募集を開始、12月中旬にはグランプリが発表される予定となっている。
今回は国籍やジャンル、自薦他薦は問わず、11歳から20歳までのミュージカル、演劇に興味のある男女を対象に応募を受け付けている(※)。なぜ2020年は「ミュージカルスターの発掘」なのか。実行委員長・川畑良太さん(ホリプロマネージメント第二事業部プロダクション二部主任)と実行委員の大屋佳枝さん(ホリプロ公演事業部ファクトリー部主任)の2人に話を聞いた。
※親権者の同意、および現在芸能プロダクションに所属していないものに限る。
――伝統あるホリプロタレントスカウトキャラバンが今年も開催されるとお聞きしました。まずは開催経緯など、実行委員長の川畑さんからお聞かせいただけますでしょうか。
川畑「ざっくり申し上げますと、今回はミュージカルスターを発掘するオーディションです。新型コロナウイルスの影響で、我々の担当しているタレントも舞台などの中止や延期がありました。そのころ、会社としては別の企画のスカウトキャラバンが走ろうとしていた矢先で、それも中止になってしまっています。ですが、何かできないか、という話を上層部に持ち掛けたんです。中止にするのは簡単ですし、会社としてベストな選択であることはわかります。でも、本当にそれでいいのか。新しい芽や希望の光…若い人たちのチャンスをひとつ失うことにならないか、という思いから、開催したいと考えるようになりました。中でも、自分自身がよく仕事をしている分野であるミュージカル、舞台で勝負できる俳優、女優を広く募集することにしました。これまでのスカウトキャラバンとは勝手が大きく違う進行スケジュールですが、2020年のうちにグランプリを発表する予定です。」
――今回ならではの特徴にはどのようなところがありますか?
川畑「これまでのスカウトキャラバンでは、マネージャー陣であるプロダクション部が主体になって開催していました。ですが、今回はミュージカルスターを発掘するということで、公演事業部と共同で開催することになりました。公演事業部は、これまで舞台に特化したオーディションを数多く、また質も高いものを実施してきています。そういったミュージカルオーディションのノウハウはたくさん持っていますので、非常に心強いです。」
大屋「そうですね、最近でもオーディションで集まった人たちをトレーニングしながら、選出するような形で実施したりしました。今回のオーディションに限って言えば、ミュージカルではもちろん、ストレートプレイでも映像でも輝くような、息が長く活躍できるような人を見つけて、育てていきたいと考えています。」
川畑「ホリプロは作品も数多く抱えていますし、そういった目線をもったオーディションができるというのは非常に強みになる。とはいえ、ミュージカルスターを求めるオーディションではありますが、“ミュージカルだから”というものはないと私は考えています。これまでのスカウトキャラバンのグランプリがそうであるように、人としての魅力や人を惹き付けるような魅力があることが、ひとつの条件。歌の技術やダンスの技術があるには越したことはありませんが、あくまで育てるという感覚で見ていますので、短いオーディション期間ではありますが、どれくらい成長できるのか、向き合う姿勢なども重要ですね。その人を見たい、という気持ちです。」
――将来のミュージカルスターを夢見る人にとって、とても魅力的なオーディションになるかと思います。合格者はホリプロ所属になるわけですが、ホリプロならではの魅力はどんなところにありますか?
川畑「ひょっとしたら厳しいかも知れません(笑)。でも僕が思うに、先輩方がたくさんいるというのは大きな魅力だ思います。楽しさ、つらさ、いろいろな経験をしている先輩がホリプロにはたくさんいます。ホリプロという会社の独特の社風もあるのかもしれませんが、例えば、弊社所属の妻夫木聡が後輩を集めてワークショップを開くなんてこともあります。面倒見のいい先輩がたくさんいますので、ぜひ、飛び込んできてほしいです。」
大屋「私たちのように舞台を専門に作っている部署もありますし、映像を作っている部署もある。そういう会社全体で育てていく土壌、活躍できる場所を提供できるというのは、とてもいいところだと考えています。」
――スペシャルアンバサダーには、大先輩である市村正親さんが就任されていますね。
川畑「目指せ市村正親!は育成していく我々にとっても非常に険しい道ですが、それくらい長く活躍できる俳優の理想像だと思っています。マルチに活躍されていて、舞台を拝見すると「本当に70代なの?」と思うようなパワーなんですよ。あのパワーはどこから来るのか…。未来のキング&クイーンの理想像で、目指すべき最大の目標なのですが、市村さんは「やれるものなら、やってみろ!」なんておっしゃるかもしれませんね(笑)」
大屋「幅広いフィールドで長い時間にわたって活躍されている方は、市村さんを筆頭にホリプロにはたくさんいます。でも今回はミュージカルスターということで、市村さんがアイコンとして一番ベストな存在ではないでしょうか。」
――タイトルもプリンス&ヒロインではなく「キング&クイーン」を探せ」となっているところもにも、想いが込められているように感じられます。
大屋「今、プリンスもヒロインもたくさんいます。でも、そこにとどまることなく、市村さんのようにキングやクイーンに、そこまで長く活躍できる人を求めていますから。だから、今はまったくの未経験で大丈夫ですよ!」
川畑「そう。次世代ということで、育成期間もちゃんと考えているということも含めて、キング&クイーンです。」
大屋「見ている私たちも「あの子がこんなになったんだ!」っていう感動ってあると思うんですよね。みんなが成長していく過程を見てもらえるような企画を考えていきたいですね。みんなで応援して、みなさんに見守っていただけたらと思います。」
――ホリプロスカウトキャラバンは過去に男性が対象になることもありましたが、主に女性を対象にしているイメージが強いと思います。今回、男女問わず募集していることについてもお聞かせください。
川畑「前々回も男女対象になっていますが、チャンスに性別は関係ないと思っています。男性、女性、キング、クイーンという言い方をしていますが、そういう表現が正しいかどうかも。性別関係なく、お芝居に興味がある方にエントリーしてもらいたいです。」
――今回、史上初めてとなるリモートオーディションが導入されるそうですね。
川畑「リモートオーディションもホリプロタレントスカウトキャラバンとしては初めての試みになります。キャラバンですので、本来は全国を周るものですが、今回はリモートで全国からエントリーを募集します。とはいえ、僕らも直接会って審査したいという気持ちもあります。きちんと対策をした上で対面するという選択肢も想定はしています。」
――1次審査は30秒から1分のアカペラ動画の自撮りだそうですね。
大屋「はい、一番最初の審査は、好きな歌をアカペラで歌っている映像を30秒から1分くらい撮ってもらうことになっています。ミュージカルと聞いてしまうと、敷居が高く感じるかもしれないですが、そういうのは関係なく、自分の好きな歌を大きな声で歌っていただきたいと思います。その後リモートで対面して質問やリクエストをしていくことになります。」
川畑「極端なことを言うと「大きな声で歌っている」っていうだけで、マルを付けるかもしれないです。歌のテクニックがあることはもちろん素晴らしいけれど、やっぱり前のめりな姿勢があるかどうか。リモートでのオーディションは初めてですが、ご自宅の環境で有利・不利が出るということには絶対にしないので、いろいろ考えていきたいと思います。」
――どんな子がオーディションに通りやすいとか、着目しているポイントなどはありますか?
川畑「「努力する素質」、というとありきたりかもしれませんが…。オーディションの話ではないんですけど、僕の同じチームに小島瑠璃子がいまして。直接担当したことは無いんですが、僕がさまぁ~ずを担当していた時に、当時、小島は千葉の高校生でした。それで小島は、「さまぁ~ず×さまぁ~ず」の収録を千葉から毎回見学に来て、スタジオの隅でずっと立っているんです。スタッフが椅子を用意しても、大丈夫です、ってずっと立ってて。少なくとも1年以上は続いていたと思います。正直、おじさん2人がしゃべっているのを高校生が見て、何の勉強になるんだって思うかもしれないけど(笑)、マネージャーの立場からすればすごく正解で。努力というか、本人が好きで続けていただけかもしれないけど、強く印象に残っていますね。そういったアンテナの張り方が、彼女の今につながっているようにも思います。」
大屋「私は舞台の現場にいて、その小島のエピソードじゃないですが、俳優さんたちが稽古開始の何時間も前にやってきて、自主練をして…っていう努力を惜しまない才能を目にしてきました。稽古が終わった後も、演出家に言われたことを自主練して…。若手だけじゃなく今テレビで大活躍しているようなスターたちの中にも、そういう努力を惜しまない人がたくさんいらっしゃいます。努力を惜しまない才能が備わっているんだな、と思います。あと、私はこれまで海外公演なども担当してきているんですが、どんな劇場で上演しても、たとえ日本語が伝わらないお客様の前で芝居をしたとしても、伝わるものは伝わる。そんな人を見つけられたらいいですね。」
川畑「他には、僕がゼロからスカウトした俳優の中に、上田堪大というのがいまして、今は2.5次元舞台などで活躍しているんですけど、知り合った当時で26歳くらい。スカウトするタレントとしては遅いんです。でも、グイグイ来たんですよ。自分の人生を懸けてきた感じ、っていうんですかね。細かいところにもよく気付くし、カラオケみたいな場所で初めて会ったんですけど、歌ったときにグッと来た。それで、ちょっとやってみたいな、と思いました。10代の子たちに同じものを求めるのは違うかもしれないんですけど、自分の人生を考えて、直球で挑戦することは大切なんだと思います。それが相手にちゃんと伝わるので。」
――ミュージカルスターの夢に、人生を懸けている…それを1分の映像に込められるか、というところですね。
川畑「そうなんですけど、あんまり気負わずに来てほしいですね。よく芸能界はこうしなきゃいけない、とか考えたりされると思いますが、そういうのは気にせずに。悔しいときは悔しいって思ってほしいし、嬉しかったらそのままの感情を表に出していいので。作る必要はないです! なので、画像・動画の加工はしないでほしいかな(笑)」
――今の若い世代は自撮りも加工も上手ですからね(笑)。最後に、今ミュージカルをはじめとする劇場のエンタテインメントは非常に厳しい状況にあります。冒頭でも少しお話はされていましたが、なぜ今ミュージカルオーディションなんでしょうか。
大屋「私自身、2月に東京で公演していたものが途中で中止になっていて、その後の地方公演や海外公演もなくなりました。その後の担当作品も、海外の方を招いて行う公演だったので、中止になってしまっています。さまざまなクリエイションができなくなった今、こういう時だからこそ人材を見つけよう、人材を育てようという時間に充てたいと考えています。ちなみに、オリジナルのミュージカル作品が作れる音楽家と脚本家を発掘しようとするオーディションをやっています。ホリプロスカウトキャラバンでも、新しいものを作れる人材を育てていきたいですね。」
――こういう状況の中でも、ミュージカルをやりたい!と志す子供たちがいることが、公演を作る側にとっても大きな希望になりますね。
大屋「暗い話題が多いですが、新しい明るい話題をつくっていければと思います。」
川畑「僕の思いとしては、子供たちの気持ち、ですね。会社としては、やめたほうがいいというか、実際一度中止になっていたものです。僕は学生時代にずっとスポーツをやっていましたが、オーディションや劇場公演だけでなく、さまざまなスポーツの大会も中止になっています。もし自分に置き換えて考えてみたら、その気持ちをどこにぶつけていいのか…。ニュースを見ていて、とてもつらい気持ちでいました。ホリプロはエンターテインメントの会社です。やっぱり子供たちを、そういうつらい気持ちにさせたくない。ホリプロは、子供たちにチャンスをつくることができる、将来を背負える会社です。今オーディションができるのは、ホリプロという会社だからだと思っています。いろんな人材を求めていますし、チャレンジしたいと思っているのであれば、ぜひエントリーしてほしいと思います!」
――審査の行方を楽しみにしています! 本日はありがとうございました!
取材・文:宮崎新之
★オーディション開催概要はこちら
https://engekisengen.com/genre/play/23695/