2020年のこんな状況だからこそやってみよう・・・ そんな思いから、この新たなプロジェクトは始まった。しかも、とてつもないスピード感で!
新型コロナウイルスによる影響でシス・カンパニーは公演中止、延期を余儀なくされ、まさに予測不能の2020年の渦中の真っ只中。それでも、この9月から新国立劇場小劇場で待望の公演を再開。しかし、その再開までの道のりで、実は当初の計画よりも公演期間を短縮することになり、必然的に、10月頭の劇場に数日の空きが…。そこで、こんな状況なのだから、”何か面白いことをやってみよう“と、すぐに声をかけたのが新進脚本家として注目を集め、主宰する<劇団た組。>で純度の高い劇世界を生み出してきた加藤拓也。そして、急遽、書き下ろされたのが、短編小説のような手触りをもつ本作『たむらさん』なのです。
恐らく、突発的で意外に感じられたに違いない<シス・カンパニー×加藤拓也>の組み合わせ…。でも、実は以前より、2021年以降で数本の大きなプロジェクトが進行中で、その密なコミュニケーションの積み重ねが、今回のとてつもないスピード感で成立した緊急企画の原動力であったことは違いありません。そして、そのスピードに飛び乗ってきてくれたのが、出演の橋本淳、豊田エリーの2人。作者の世界観をよく知る2人の参加は、シス・カンパニー初の“短期集中決戦”にとっての大きな力です。
物語は、ある男が淡々と語り始める冒頭から、そこは『たむらさん』の世界。謎を投げかけているようなタイトルに想像力を刺激されるままに、設定も登場人物の紹介も事前には出ません。劇場空間で是非『たむらさん』と向き合ってください。何が待っているのかは劇場でのお楽しみ。シス・カンパニー公演『たむらさん』にご期待を!
作・演出:加藤拓也 コメント
加藤です。劇を書いている時は複雑な事は複雑なまま理解できる大人になりたいと思ってたのですが、なんといざそんな世界になると難しくて嫌になってしまいました。
簡単な世界の方には簡単には戻らないのでしょうけれども楽がしたいのでどこかでずるできないか考えてしまいます。今回の劇では複雑な事をそのまま持ってる人と簡単にしてしまった人が出てきますが、何度か一緒してる橋本さんと豊田さんは、ややひねくれつつ、やや真っ直ぐなので、そういうものがうまく舞台の上にやや乗せできると思っています。
出演:橋本 淳 コメント
「たむらさん」のお話を頂いたとき、すぐに飛びつき、面白いと心から思える企画に心躍りました。しかし、その数秒後には、恐ろしいほどの恐怖感が襲ってきました。今現在もずっと襲われています。わたくし、襲われ続けています。しかし、恐怖心が大きいほどに、それは返ってくるものも大きいということ。どうせなら思い切り楽しもうと思ってなんだか開き直ってもいるという不思議な現状。皆様への情報開示もそこまでしていないので、どんな内容かは分厚いベールに包まれていますが、期待大の”挑戦作”です。憧れであったシス・カンパニーさん、そしてとても信頼している作演の加藤拓也氏と共演の豊田エリーさん、この上ないほどの贅沢な場で、思い切り羽を広げさせてもらいます。コロナ禍でなかなか劇場に足を運びづらい時節ですが、皆さまに届く歪な作品をお届け出来る様に、最後まで闘います。お楽しみにしていてください。
出演:豊田エリー コメント
加藤さんの描く人間は、確かに生きていると信じてしまう実在感に溢れていて、橋本さんもまた人の弱さや歪みも含んだリアルな様を表現するのが素晴らしいので、これからはじまる稽古が楽しみで仕方ありません。今回の作品について、まだお伝えできることは少ないのですが、脚本を読んだ時に味わった、足元がぐらつくような感覚をみなさまにもお届けしたく思っています。憧れのシス・カンパニー公演。これまでに幾度となく足を運んだ新国立劇場小劇場。どひゃー、ドキドキです。