十字の舞台の四方を観客が取り囲む特設ステージ!
蒼井優演ずるアンチゴーヌと生瀬勝久演ずるクレオン
互いの信念が、緊密な小空間でぶつかり合う!!
本作は、時代を超え世界中で上演され続けている、フランスの劇作家ジャン・アヌイの代表的悲劇作品「アンチゴーヌ」。栗山民也演出のもと、岩切正一郎の新訳・豪華俳優陣の競演で現代によみがえります。
法と秩序を守り、権力者として政治の責任を貫こうとする冷静な王クレオンに対し、自分の良心にまっすぐに従い、自己の信念を貫くアンチゴーヌ。2つの相対する立場と信念は、そのまま国家と個人・現実と理想の対決でもあり、それぞれが抱える想いは通じ合うことなく、物語は悲劇へと進行します。クレオンとアンチゴーヌの対決を通して、私たちは生きることの矛盾や人間存在の本質を目撃することとなるでしょう。出演者にはアンチゴーヌ役には、パルコプロデュース公演には初出演となる蒼井優。10年前から繰り返し読んでいた思い入れのある戯曲だという本作に挑みます。そして、アンチゴーヌと対立するクレオン役には、映像・舞台にと幅広く活躍し、圧倒的な存在感と演技力を放っている生瀬勝久が挑みます。
また、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤誓ら実力派俳優陣が脇を固め、人間が社会の中で生きる矛盾と葛藤が危ういくらいスリリングに映し出された世界観をつくり出します。
【ゲネプロ写真】
【初日前会見 出演者コメント】
――お二人は、2009年の「楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~」で生瀬さんは演出家、蒼井さんは出演者としてご一緒されているかと思いますが、今回出演者としては初共演となるかと思います。現在のお互いの印象をお聞かせいただけますか?
生瀬「2009年に演出した時には、存在感、透明感というものが、本当に役者になるために生まれてきた女優さんなんだなという印象がありました。実際、今回は役者として対峙した時に、力だけではどうにもならない、全部自分の技かかからないような感じの女優さん、とにかく存在感が凄い素晴らしい女優さんです。」
蒼井「栗山さんのお稽古は時間がとても短くて、1時に始まって4時位には終わるのですが、その後、役者同士で話し合ったり、役を落とし込む作業の時間を下さっているんです。そこで生瀬さんが「こういうふうにやってみたら。」とういことを教えて下さり、役者でありながら、今回は演出助手みたいな役割をして下さったので、凄く勉強になりました。舞台上では、生瀬さんは凄すぎて、(その演技に)のみこまれそうになるんですけど、それはアンチゴーヌもそうだったと思うので、蒼井優としても、生瀬さんのお芝居にうっとりしてしまう部分もありますが、アンチゴーヌとクレオンという関係で、王様にぶつかっていきたいと思います。」
――演出の栗山民也さんは「あわれ彼女は娼婦」での蒼井さんの演技を見て、蒼井さんにアンチゴーヌ役をオファーしたとのことですが、最初にこのお話が来た時、どのようなお気持ちでしたか?
蒼井「19歳の時に初めて「アンチゴーヌ」を読んで、時間がある時に触れてきたのですが、12年後自分がまさか演じるとは思っていなかったので、驚いたのと同時に、「ああ、こんなことってあるんだな」と思いました。自分が読んだ時と、実際演じるとなると全然印印象が違って。ずっとアンチゴーヌの目線で読んでいたので、実際動いてみると、少しクレオンの立場が理解できたりして、客観的に読んでいるのと、中に入るのとは違うんだなという面白さを感じでいます。」
――今回は、十字型の舞台機構となりますが、いかがですか?
蒼井「今までで一番お客様と近い舞台になっています。とにかく舞台の上に集中しながらも、客席におりていく機会も多々あるので、お客様にご迷惑をかけないように、頑張りたいとおもいます。」
生瀬「僕は小劇場出身なので、昔は、とても近い距離で演技をし、お客様をいじっていましたが、今回はいじれないので(笑)、お客様を意識せずに、アンチゴーヌと対峙するのかということを集中しようと思います。お客様が見えちゃうと緊張するので、それは気をつけたいと思います。」
――本作での「ここが一番の見所!」というところを教えてください。
蒼井「この舞台は一番はじめの5分10分で、一人の役者さんが全部ストーリーを喋ってしまうんですね、その作りがまず面白いなって私は思っています。」
生瀬「古畑任三郎みたいだね、最初に全部ね、結末まで話ちゃうんです。」
蒼井「それでも面白くしなくちゃいけないし、あとは自分として頑張りたいなと思うのが、劇中で、生瀬さんと二人だけのシーンが45分間あるのですが、そこは頑張りたいなと思っています。」
生瀬「僕は基本コメディによく出るんですけど、今回は一切笑いをおこすところがない役。そういう人間がどこまで舞台でやるのか、多分、世間の方々にとっては、できるのかと思ってらっしゃるでしょうけど、できるんですよ(笑)
本当に蒼井優さんと二人で、このアンチゴーヌを演劇史に残るものにする自信があります。観なきゃだめですよ。
去年、実は、稽古をしていて、吐きそうになりました、台詞を覚えることや、とにかくストレスで…。そのくらい自分を追い込んでいますから期待してください!」
撮影:阿部章仁