『はるかそよかの音楽に恋してmeets龍真咲』~クラシックから宝塚歌劇ナンバーまで~記者会見レポート

「20周年イヤー。『今だ』と思ったこの気持ちに素直になって、この機会を大切にしていきたい」と龍真咲。
約2年ぶりのステージは“はるかそよか姉妹”と三重奏!

今年、初舞台から20周年を迎えた元宝塚歌劇団月組トップスターの龍真咲が、大阪府箕面市出身で東京芸術大学卒の姉妹クラシック演奏家、林はるか(チェロ)、林そよか(ピアノ)と初共演。龍にとっては1年9カ月ぶりに舞台上で歌うファン待望のコンサートが決定し、11月25日(木)、大阪のカンテレ本社で、コンサートでMCを務める関純子アナウンサーの進行により記者会見が行われた。

舞台衣装で会見場に入場した龍真咲、林はるか・そよかの3人。その華やかさに記者から拍手が起きた。

冒頭、龍は「今回、改めてこのような機会に巡り合えたこと、与えてくださいました方に感謝しています。1年半ほどお休みしておりましたが、この約2年間、いろいろなことがあった世の中でした。最近、ようやく自分の中で浄化できてきたように感じます。それと同時に、これまでは舞台に立つ側の気持ちで見ていたさまざまな舞台も、今年に入って初めて客席側で、観客として落ち着いた気持ちで見る事ができるようになりました。そして、心が踊ったり、感動したりという自分の気持ちを自然に素直に受け入れることができました。そして今年9月の箕面市のホールでお2人のコンサートを鑑賞して、『歌いたいな』という気持ちが沸々とわいてきました。2001年に初舞台を踏み、今年、2021年に20周年を迎えました。宝塚歌劇団の慣習では4月あらためなので、(コンサートが開催される)来年2022年2月もまだ20周年イヤーなんです。待ってくださっているファンの方もいらっしゃいます。『今だ』と思ったこの気持ちに素直になって、この機会を大切にしていきたいと思っています。この巡り合わせには感謝しかありません。」とコンサート開催の経緯を語った。

龍の言葉に感激の表情を見せた林姉妹。姉のはるかは「いろいろなご縁が重なりまして、箕面市の新ホールのオープン記念演奏をさせていただき、さらにそのご縁で龍さんにも聴いていただき、ご一緒させていただくことになりました。いまだに信じられない気持ちと、少しずつ実感が沸いてきてとてもうれしい今日この頃です。箕面市のコンサートの時にはまさか今日、こんな風に会見を受けるとは思っていなかったので…。とても緊張しています。龍さんとご一緒できることが本当にうれしくて、3人でどんな風に音楽を作っていくか、ワクワクしています。たくさんの方に聞いていただきたいと思います。」と感激と緊張が入り混じった様子。

今回のコンサートは、第1部が“チェロとピアノで聴きたいこの曲!”と題した林姉妹によるクラシック演奏。龍も参加する音楽トーク、林そよかによる“ピアノ即興演奏コーナー”を挟んで、第2部が“龍真咲ヴォーカル&チェロとピアノの三重奏”(ポップス演奏)となっている。

第1部に行われるチェロ奏法紹介について、はるかは「チェロといってもどういう楽器なのかご存じない方もいらっしゃると思います。オーケストラでは伴奏を受け持つことが多いチェロですが、いろんな音、演奏方法があることを知っていただけたらと思います」と抱負を語った。

ピアニストで作曲家でもある妹のそよかは「私はピアニストとして今回参加させていただくのですが、作曲家としても活動しています。そのきっかけとなったのがまさに宝塚歌劇との出会いなんです。私が中学2年生の時、初めて家族で宝塚歌劇を観劇し、その素敵な舞台に感激しました。実は一瞬、宝塚歌劇団に憧れたこともあったのですが、歌も踊りも演劇も経験のない自分が、宝塚に関われるとしたら音楽しかない!と思って、今まで頑張ってきました。なので、9月の箕面のコンサートに龍さんがお越しくださると聞いた時は本当にびっくりして。本番中もこの中に龍さんがいらっしゃると思うとドキドキして、客席を見ることもできないくらいでした。そしてそれから2カ月が経って、横に座ってご一緒することになるなんて…。宝塚が好きで今日まで生きてきたので、本当に光栄です。」と宝塚に対する熱い思いを語った。

演奏内容については「1部は私と姉が、一度は耳にしたことがあるような有名な曲を、2部ではヴォーカル&チェロ・ピアノというシンプルな形でそれぞれの楽器の良さを出しながら、龍さんの素晴らしい歌声をオーケストラに負けないくらい壮大に奏でることができたら、と思っています。即興演奏のコーナーでは観客の皆様からお題をいただいて、即興で演奏します。」とアピールした。

“珠玉の5曲”とだけ紹介されている第2部の龍の歌唱曲について質問が飛ぶと「サプライズという形なんですけど、私、ヒントが下手くそなんでばらしちゃうかも(笑)。」とオチャメに言いつつ、「ピアノ演奏でのライブはしたことがあるのですが、チェロを入れては今回が初体験です。9月にお2人の演奏を見せていただいた時、クラシックはマイクを通すものではなく、楽器そのものがどのような音色を奏でるかを聴かせるものなんだなと思ったので、ヴォーカルもマイクを持たずにやるとしたらどんな風にバランスを取ればいいのか…。楽曲を選ぶ上で、そういう悩みもぶつけながら、おこがましいのですが、私の声を楽器にたとえて、どのような三重奏が奏でられのかを考えた上で、自分が歌いたい曲をリクエストしました。」と説明。

気になる宝塚時代の曲については「宝塚時代に主演した思い出の曲も数曲入れたいと思いました。さらに、先ほどそよかさんも言っていましたが、みなさんが必ずこどかで聞いたことのある曲も交えつつ、悩みに悩んだ究極の5曲になりました。口福という言葉ありますが、耳障りのよい音楽で“耳福”というものを表現できたら。」とコメント。さらに関アナウンサーが「曲が流れてくるたびに、これも好き、これも好き、という気持ちになっていただけると思います。」と補足した。

2016年の退団から5年の歳月が経ち、今、改めて宝塚時代の曲と向き合うことについては、「歌いたいなと思う曲はすぐに浮かんだのですが、数曲にまでしぼる作業にすごく手こずりました。宝塚時代は個性が強いタカラジェンヌだったなと自分では思いこんでいるのですが(笑)、その時の楽曲を今改めて聞いた時、『こういう風に聞こえているだろうな』という当時の理想と現実とのギャップはありましたね。今だからこそ『もうちょっとこうしたらいいのに』と自分の歌を聴きながら思うこともあります。トップ時代だけでなく2番手、3番手の頃に歌った曲も聞いているのですが、その頃のほうが、丁寧に歌っているんですよ。それを聞いて反省しつつ、トップ時代のいいところも悪いところも分析しています。」と思わぬ発見について明かした。

さらに「宝塚も今、大変な時期をひとつ越えましたが、やはりなかなか見に行くことができなくて…でも月組の公演は必ず行っています。先日も博多座まで追いかけて行きました。宝塚は今、再演も多いですが新作もあります。自分たちがいた花組、月組(宝塚歌劇団)100周年の頃、それ以前の自分がファンだったころの宝塚の公演も配信などで見ていますが、その時代ごとにカラーがあるとはいえ、花組のカラー、月組のカラーとして受け継がれ、同じ匂いがする部分も感じています。自分の故郷があるということのすごさを改めて大切にしていきたいと、年数が経つにつれ、深く思っています。」と宝塚に対する愛を語った。

今回のコンサートで披露する楽曲はすべて、林そよかが新編曲として書き下ろす。第2部での5曲についても「大好きな曲を3人の三重奏のために新編曲をしているところです。」という言葉を聞いた龍は、「チェロとピアノの伴奏で歌うのは初めてなので、想像がつかないというのが正直な気持ちですが、今回の5曲は私がリクエストさせていただいた曲なので、いろいろなアレンジや様々な方の演奏や歌を聴いてイメージを膨らませています。どうなるのかドキドキしますが、きっと素晴らしい楽曲ができると楽しみにしています。今回は三重奏という形ですが、演奏がシンプルになるほど生身がさらけ出されるとも感じています。いい緊張感もありつつ、今だからこそ、私の生身をさらけ出すことができるタイミングなんだと思います。」と意気込みした。

今後の活動について龍は「たしかに空白期間はありましたが、実は少しずつ小さなイベントでは歌っていて、ニッポン放送でのラジオも約4年間続けています。事務所を退社したことと、ウィキペディアに『活動休止中』と書かれているので(笑)、そのように捉えられていたのかもしれません。そして今は日本とモナコに約半年ずつ住んでいるので、タイミングも見つつですが、ファンの方も待ってくださっていますし、なにより私自身もみなさんにお会いしたいなと思っています。宝塚のトップスターのような究極のスターという形ではなく、ファンの方にもっと近寄ったイベントやコミュニケーションはやっていきたいと思います。」とファンへの素直な思いを語った。

最後に、「宝塚を卒業してからは海外発のミュージカルに多く出演させていただき、歌い手としての自分の正解に近づいていくと同時に正解のあるものに近づける作業が楽しくもあり大きな課題でもありました。今回はヴォーカルゲストとして、演奏してくださるお2人の音色と心によりそい、何に縛られることなく、自分が歌いたい曲を歌える空間を作り出せることに、魂と気持ちと心を込めたいと思います。お2人の演奏を聴いて自然に涙が出たのは、コロナ禍で少なからず自分の中で積み重ねてしまったストレスや苦しさがあったからだと思います。それらを解き放つことができるもの、自分がお2人のようにできるとすればそれは、歌うことだと思っています。今後も聴いてくださる方がいる限り、自分の歌いたい曲で、その方たちのハートをキャッチしていきたいと思っています。20周年は、今後、活動を継続していくエールとして迎えたいと思います。宝塚退団時に挑戦したものの日記みたいになってしまって(笑)、センスがないことが発覚した作詞にも、これを節目に挑戦してみようかと思っています。」と今後の抱負を語り、会見は終了した。

また、12月8日(水)放送のカンテレ深夜のイベント情報番組『ピーチケパーチケ』(毎週水曜深夜25時25分~※この日は25時40分~OA)に3人が出演。大阪出身の3人が、番組レギュラーの兵動大樹、桜 稲垣早希、中山優馬、川島壮雄カンテレアナウンサーと軽快なトークを繰り広げるほか、林姉妹がチェロとピアノの演奏も披露する。

龍真咲と林姉妹がタッグを組む『はるかそよかの音楽に恋してmeets龍真咲』は、来年2月19日(土)に大阪のサンケイホールブリーゼで開催。是非、新しいクラシックコンサートのカタチを堪能しよう!