気鋭の演出家、小林香が手掛ける固定概念から踏み出そうとするゲームチェンジャーの物語。
2022年4月から東京・よみうり大手町ホール、兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて、Musical「The Parlor」が上演されることが決定した。
『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』やオフ・ブロードウェイミュージカル『The Last 5 Years』など数々の海外ミュージカルの演出を手掛け、演出・脚本・作詞を一手に担う「オリジナルミュージカル」の創作も得意とする演出家・小林香。演劇界で確かな評価を得ている小林が今回手掛けるのは「パーラー」を舞台に描く、女性たちの物語。
曽祖母の時代は談話室、祖母の時代は美容室、母の時代は喫茶室と、ある家族の女性たちが連綿と守り継いできた部屋「ザ・パーラー」。子供たちの未来のため、パーラーに集う人たちのため、そして、今の日本で、どこか生きづらさを抱えている人たちのためによりよい社会をと願い、開かれてきたこの部屋で、「娘」の時代が来た今、彼女は何を思い、行動するのか。
オリジナルミュージカルを創作するうえで、ジェンダーギャップ指数120位と発表された日本で、小林自らがいま一番伝えたいものとして「女性たちの物語を描きたい」と企画し、実現した本作。窮屈さをこれまで以上に感じている今だからこそ、過去から現代へと繋がれてきた、そしてこれからも繋がっていく女性たちの物語をありありと描き出す。
また本作で作曲・編曲を担当するのは、アメリカで活躍する新進気鋭の作詞作曲家、アレクサンダー・セージ・オーエン。ASCAP 財団のルシール賞とジャック・イエレン賞の作詞家賞を受賞し、ミュージカルの音楽も手掛けるなど、今アメリカで大注目のアレクサンダーの楽曲にも期待ができる。
パーラーを守り継ぐ三世代の母娘を美弥るりか、花乃まりあ、剣幸が体現
主演は、宝塚歌劇団月組出身で2022年の主演ミュージカル『ヴェラキッカ』での妖艶な演技も記憶に新しい美弥るりか。
今作の主人公であるパーラーの娘であり、孤高の人気ゲームクリエイター・円山朱里を演じる。パーラーで美容師として腕をふるい、パーラーに喫茶室を作った朱里の母・円山千里と、朱里の妹・草笛灯の2役を演じるのは、元宝塚歌劇団花組トップ娘役で、ミュージカルやストレートプレイ、ドラマのほか、日本テレビ「ZIP」でリポーターを務めるなど幅広く活躍する花乃まりあ、パーラーの常連客でシングルファーザーの小澤巧を植原卓也、千里の幼馴染でクロスドレッサーの名座龍之介を舘形比呂一、朱里のゲームのファンで、パーラーの常連客となったゲーム好きの専業主婦・アリスを北川理恵、おもちゃ会社の社長で千里の元恋人である草笛遊史を坂元健児、そして、朱里の祖母で、パーラーを守り続ける円山阿弥莉を、元宝塚歌劇団月組トップスターで退団後も数多くの作品に出演し、第18回菊田一夫演劇賞、第17回、第21回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど、確かな実力のベテラン女優・剣幸が演じる。本作の主軸となる母娘役には、役同様それぞれの時代で宝塚を牽引してきたキャストが揃い、脇を実力派キャストが固める。
ストーリー
世代を越えて受け継がれ、さまざまな人の思いが交差してきた場所があった。そこは「ザ・パーラー」。
ロス在住のゲームクリエイター・円山朱里(美弥るりか)は、祖母の阿弥莉(剣幸)に呼ばれて数年ぶりに帰国する。朱里は、母の千里(花乃まりあ/二役)がある悲劇によってこの世を去ってから、育ててくれた祖母に複雑な思いを抱えていた。阿弥莉は、パーラーを閉店すると朱里に告げる。しかし、パーラーの常連である、幼い娘を育てるシングルファーザーの巧(植原卓也)、クロスドレッサーのザザ(舘形比呂一)、ゲーマーの主婦アリス(北川理恵)はパーラー閉店に反対する。
そこへ、千里にそっくりな女性が現れる。千里の死後すぐに、大手おもちゃメーカー・トイッスルの社長で父親である草笛遊史(坂元健児)に引き取られた、朱里の妹の灯(花乃/二役)だった。灯は朱里にトイッスルの人気ボードゲーム「トイ・トイ・トイ」のPCゲーム版の制作を依頼するが、事態は思わぬ方向に・・・
コメント
作・演出:小林香
私たちの現在に、“自由”があるのだとしたら、それは過去の誰かが自由を願い、行動し、身を削ってくれたからだと思います。歴史に名を残さない、数多の無名の人たちの汗と涙が流れた地面の上に、私たちは立っています。この舞台には、未来の誰かのために汗をかこうとする名も無き人々が出てきます。みんな、私のヒーローです。
さて。このミュージカル、楽しく面白く格好良く、を目指しているわけですが、アナログなパーラーでデジタルなゲーム世界が繰り広げられます。eスポーツには現実世界とはまた違う“自由”の可能性があります。
それはどんなものなのか・・・ぜひ劇場まで遊びにいらしてください。
作曲・編曲:アレクサンダー・セージ・オーエン Alexander Sage Oyen
初めまして、アレクサンダー・セージ・オーエンです。新作オリジナルミュージカル「The Parlor」の作曲家です。
この新しいミュージカルを、大胆不敵な作・演出の小林香さんと一緒に作り上げることができて、とても光栄です。「The Parlor」は、世代、誠実さ、そして現代社会で自分の道を見つけることをテーマにしたミュージカルで、これ以上タイムリーなメッセージはないと思っています。
私たちの初の試みとなるミュージカルを楽しんで頂ければ幸いです。
美弥るりか
『The Parlor』の母娘3代の物語を通して、誰もが無意識に心に織り込まれていた「常識」について考えたり、「新しい感覚」や「大切な事」をじんわりと心に感じていただけるミュージカルになると思います。
私自身、等身大の自分に近い役に初めて挑戦をさせていただくことになります。「円山朱里」と共に学び、私も成長をしていきたいと感じています。
ゴールデンウィークは劇場でお待ちしております!
花乃まりあ
生まれ育った環境や、性別、職業、容姿。
もしも、あらゆることに捉われずに、自分が愛するものを堂々と愛することができたら…
明日がどうなるかさえわからないような今この時代に、懸命に生きる全ての人たちへの、エールとなるような作品だと感じています。
小林香さんの情熱溢れる演出を受けられること、そして素晴らしい俳優の皆さまとご一緒出来る日々が今からとても楽しみです。
精一杯頑張ります。
植原卓也
去年「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」でご一緒させて頂いた、小林香さんが作・演出を手掛ける新作ミュージカルという事で、出演させて頂きとても光栄に思います。全てがオリジナルというのも、僕自身久しぶりなのでどんな仕上がりになるか今から楽しみです。様々な価値観や悩み、希望が交差する新たな世界”パーラー”で皆さんと会える日を楽しみにしています。
舘形比呂一
一番の楽しみは、演出の小林香さんとの久しぶりの舞台。セットや衣装の細やかなこだわりや、演者とのコミュニケーションをとてもフレンドリーな距離感で設けてくれるところなど、一つの作品をカンパニー一丸となって構築してゆくとても魅力的な演出家です。そんな香さんの演出の下で、今回の作品、役柄を通じて新たな自分との出会いができるよう頑張りたいと思います。
北川理恵
はじめまして、北川理恵です。
小林香さんの新作ミュージカルに出演できること、本当に嬉しく、ありがたく思っていますし、今からお稽古が心から楽しみです。
私自身、3世代同居の女系家庭で育ったので、この物語にご縁を感じております。
携帯アプリのゲームくらいしかやったことがない私がゲーマーの役ということで、コントローラの購入を前向きに検討しております…!
精一杯努めます。宜しくお願い致します。
坂元健児
今回トイッスル社社長の草笛遊史を演じさせて頂きます。多様化する社会において、保守的で仕事の鬼で頑固な男です。ただ見方を変えれば孤独で可哀想な人。夕食には必ず自分専用のお刺身がなければいけないと決めていた、警察官をしていた僕の祖父とどこか通じるものを感じます。そういう人間の考えや人柄みたいなものがじわっと染み出るといいなと思います。演出の小林香さんの元、楽しく頑張ります!
剣幸
小林香さんが創る作品に出演させていただけること、本当に嬉しいです!
今回は3世代に渡って憩いの場となる「PARLOR」をとりまく人々のお話です。私はPARLORを継いできた祖母を演じます。
対面で人と交流したいと考える祖母と、人との接触を嫌ってゲームクリエイターになった孫。
歩み寄っていく様は、香さんが描き出す愛すべき人物たちとともに、鮮やかな糸となって美しい物語を織ってゆきます。
GWはぜひPARLORに癒されにきてください!