写真左より 水田航生、木村達成、生田絵梨花、小関裕太、唯月ふうか
2020年7月に上演予定だったミュージカル『四月は君の嘘』が、2年の時を経て、メインキャスト6名が再集結し、ついに世界初演を迎える。フランク・ワイルドホーン全曲書き下ろしの本作は、2020年には上演はできなかったものの、コンセプトアルバムを制作しており、上演前から聴き込んで準備している観客も多いことだろう。また、いくつかのTV歌番組でも楽曲が披露されており、すでに耳馴染みのある楽曲となっていることも、開幕へのプレビューとして準備万端だ。有馬公生役をダブルキャストで演じる小関裕太と木村達成、宮園かをり役の生田絵梨花、澤部椿役の唯月ふうか、渡亮太役の水田航生(寺西拓人とダブルキャスト)、キャスト5名による座談会をお届けする。
『四月は君の嘘』は、原作は新川直司が講談社「月刊少年マガジン」にて連載(全11巻)し、2012年度マンガ大賞ノミネート、2013年講談社漫画賞少年部門受賞、その後、フジテレビ「ノイタミナ」枠にてTVアニメ化、さらには実写映画としても大ヒットを記録している傑作コミックで、過去に舞台化もされているが、今作は初めてのミュージカル化。音楽家青春ラブストーリーでありながら、音楽に引き合わされた若き音楽家の卵たちが、大切な人との出会いと別れを通してその才能を開花させていく、普遍的な人間愛と音楽の魅力が詰め込まれた名作だ。
『ジキル&ハイド』『デスノート THE MUSICAL』などを手掛けるミュージカル界の巨匠、フランク・ワイルドホーンの豊かな楽曲と、役達が奏でるクラシック音楽がどのように融合されるのかも楽しみなところ。訳詞と演出はミュージカル『キューティ・ブロンド』『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』の上田一豪、脚本はジブリ映画『かぐや姫の物語』、『メアリと魔女の花』共同脚本の坂口理子が担当する。
■(生田)「モノトーンの世界」を経てどう色づいて行くか
――リベンジ公演が決まった時のお気持ちと、2年前の自分とは違うところがありましたら、教えてください。
小関 役が決まってからずっとこの作品のことを考えながら過ごしていたので、中止になった時はショックで喪失感が大きかったです。その時間を経て、再び初演が上演できるようになり、ようやくあの時の気持ちが報われるかもしれないと、すごくプラスの想いです。違うところは、原作を見た回数で、なくなった時間の隙間を埋めるために、ずっとアニメやCD(コンセプトアルバム)を流していました。
――何回くらい見ましたか?
小関 7回くらい。
一同 (口々に)すごいね! 7回って結構だね!
木村 中止を聞いた時はもちろんショックでしたが、改めて2年越しのチャンスをいただけました。当時いろんな作品が世に出ずに終わってしまいましたが、この作品も、絶対に出なければいけない作品のひとつだと思うんです。若干キャストは変わってしまいましたが、2年前の気持ちも込めつつ、新しいものを作る気持ちで、作品に臨んでいけたらと思います。変わったところは、ユーモアは付いたかなと思います。
一同 おお! 楽しみ!
生田 中止になってしまいとても残念でしたが、歌番組やアルバム制作でチーム感はすでに感じていたので、またメインキャストが同じ仲間で再始動できるのは本当に嬉しいです。この2年、『四月は君の嘘』の中で言うところの「モノトーンの世界」をそれぞれが覗いたと思います。それを経て、どう色づいて行くかがこの作品ならではですし、楽しみたいと思います。
唯月 私も青春するぞという気持ちでいましたので、中止が発表された時は、どこにこの感情をぶつけて発散すればいいのか分からない、もやもやした気持ちが残っていました。また皆さんと再出発できることも嬉しいです。この2年間は、作品と自分の演じる役と向きあう時間が増えたので、より濃く役や作品に向きあっていけると、ポジティブに考えられるようになり、ワクワクしています。
水田 意外とあっと言う間でした。なくなった時は残念でしたし、とてもやりたかったですが、みんなには絶対に会う気がしていたというか。だから、実際にこうやって集まれることになって嬉しかったです。台本を読んだり曲を聴いたりすると、意外と懐かしい気持ちがあまりなくて、ずっと続いて繋がっていた感覚ですね。変わったことと言えば、歳をふたつ重ねただけなと。心の熱さはそれに伴って燃え上っています。
一同 おお! さすが!
水田 高校生には逆に近付きましたね(笑)。ベンジャミンバトンかもしれない。
――再結集して集まった時はどんなお話をされましたか?
生田 まだそこまでお話ししていたわけではなかったので、改めましてみたいな感じです。
唯月 お稽古が始まる前に終わって、いったん区切りになってしまったので。
小関 上演決定を聞いたのは去年の夏から秋くらいかな?
――アルバム収録されている時も、どうなんだろうという感じでしたか?
水田 あの時はせめて形に残そうということで作ったCDでしたので、公演ができるかどうかが決定している状態ではなかったです。
木村 力に変えていきたいですよね。公演前にCDが出る作品は、なかなかありませんから。お客様も予習して観に来られるので、ここでこの曲が来るんだというワクワク感は、めちゃくちゃあると思いますね。
■(唯月)小関さんは癒しの方。公生のようにふわふわほんわか
――ご自身の右隣にいらっしゃる方の印象をお聞かせください。
唯月 小関さんは、すごく癒しの方だと思います。漫画やアニメの公生のように、ふわふわしていてほんわかしているけれど、周りの人が放っておけないみたいなイメージです。
小関 嬉しい! やった! 『MUSIC FAIR』の収録で、プレビューをみんなで見ていたのですが、絵梨花ちゃんは「旅に出よう」と歌う部分の目線が、すごく目力とピュアさがあって。本番は対峙して「旅に出よう」と言ってもらう役ですが、心強く温かい印象です。
生田 ありがとうございます。照れますね……。達成君は、ロミジュリ(『ロミオ&ジュリエット』)で4秒くらいだけ一緒のシーンがありました。その時にすごく遠くから見ていましたが、場を引っ張っていくムードメーカーの印象が、今も変わらずあります。そんな達成君が、公生の抱えるトラウマみたいなものをどう演じるんだろうなとすごく楽しみですし、達成君以上に私がパワーを持たないと、引っ張っていけないと思いますので、頑張りたいです。
木村 航生君は、同じ役をやったことはあるのですが、一緒にお芝居を作る機会はありませんでした。それでいて、最初に会った時から初めて会った気がしないような、心をすぐに打ち明けられるような先輩で心強いです。幼馴染役でもありますし、一緒に作品を作るなかで、航生君の人柄が、有馬公生だけでなく木村達成という人間も助けてくれるんじゃないかと思っています。
水田 ふうかちゃんは、すごく裏表のない屈託のない笑顔でいつも癒してくれる“癒しキャラ”だと思います。ただ、実はちょっとつついたら、ぽろっと出るワードだったりが、なんかこう……若干人を刺すようなこととかを(笑)。
小関 僕、さっき一瞬体験しました。
水田 笑顔で言ってる感じが、「すっげー怖いな」と思ってるんです。それも多分分かってやってらっしゃると思うんですが(笑)。
唯月 怖くない怖くない!
水田 すごく一番俯瞰で人を見てくださっている、裏のムードメーカーなんじゃないかなと思っております。
唯月 嫌なイメージついてないですか? ムードメーカーとして頑張っていきたいと思っています!
水田 ふうかちゃんは、自転車を漕ぐ役ですが、この2年間で漕げるようになりました。
生田 えっ、なったの!? すごい!
唯月 はい。あとは段差をクリアすれば完璧です!
(一同拍手)
■(水田)みんなは公生を成長させていくひとつのピースになる
――役への印象が深まったことや、逆に印象が変わったことはありますか?
生田 はじめて読んでいる時は、かをりちゃんはすごく明るく自由な子だなと思っていました。もう少し見つめていくと、自分を奮い立たせようというところがあるのかなと。公生君を励ましているようで励まされているとか、目に見えるところ以外がたくさんあるんだなと思い始めているので、稽古でもそこを探れたらと思っています。
小関 役柄の印象は変わっていませんが、台詞や言葉回しが改めて素敵だなと思いつつ、より読み深められたのかなと思っています。例えば、歌詞に出てきますが、「死んでも忘れない」という言葉は、かおりちゃんにとっての「死んでも」と、公生にとっての「死んでも」という言葉のベクトルが違うことに、美しい意味で気付けたので、より大事にしていきたいと感じました。
木村 僕もあまりイメージは変わっていませんが、逆に思い込みなどを強く持ち過ぎずにと思っています。核になる闇の部分はもちろん、見え方や居方みたいなものを作ってくださるのは皆さんなので、その時に応じて自分の考え方も変わるだろうし、他のメンバーのお芝居を見ながら作っていけたらと、あまり考えすぎないようにしています。
唯月 私も印象はそんなに変わっていません。活発な女の子がちょっとずつ自分の恋心に気付いていく瞬間だったり、いつも公生と一緒にいたり、他のそれぞれの役の人と一緒にいる時から、時間が経つにつれて見方が変わっていったりする繊細な心情の変化を、表現できるように研究していきたいと思っています。
水田 最初に原作を読んで感じたことは、達成が言ったように、公生がみんなとどう関わってきたのかですね。ウジウジしているところから、みんなに出会って、何か起きて変わっていく。みんなは公生を成長させていくひとつのピースになる。渡君は誰もが憧れるスター、スーパーマンみたいな男の子だと思いますが、彼なりの目線から、この作品を捉えて作っていくんだろうと考えています。
――今のお話にもありましたが、この物語は多感な時期に人に出会って変化していくことが描かれていると思います。皆さんご自身の思い出に残る出会いや、感情が変化した出来事などはありますか?
生田 私はやはりグループですね。乃木坂46との出会いは大きくて、結構その前は血の通っていないロボットみたいと言われていました。
一同 ええ〜なんで!?
生田 感情が表に出ないというか、言われてやることをやるみたいな感じでしたが、たくさんの人と接して人が好きになりました。本当に感情が豊かな子たちが集まっていたので、それをすごく分けてもらった感じです。
小関 僕は、中学2年生くらいの時にYouTubeが普及し始めて、友達に教えてもらって。父親が好きなアーティストから派生して、出会って衝撃を受けたのがスティービー・ワンダーです。首を振りながら弾いている姿を見て、声にも、その姿にも衝撃を受けて、ひたすら多感な中学生時代に聴いて見ていたので、影響されましたし、僕の根底にある音楽だなと思います。
木村 カッコいいなぁ。
唯月 私は今がちょうど、自分の中で変化かなと思っています。今までは人とあまり深く関わろうとしないというか、壁を無意識のうちに作っていました。もう少し人と関わって、何を考えているんだろうとか見ていきたい、変化の最中だなと感じます。
――今回の皆さんとの関わり方も変わってきますね。
唯月 ぐいぐい行っちゃうかもしれないです。
一同 (笑)。
水田 僕もどちらかというと、すごく引っ込み思案で、音読の時とかは顔を真っ赤にするような子でしたが、この仕事に出会ったことも素晴らしい出会いでした。仕事をやっていく中で、自分の意思や意図を発言できなかったりしましたが、初めてニューヨークに行った時に、街中を歩いている全員が、「俺はここにいるぞ」と吠えるように自己アピールしているのを目の当たりにして、自分が透明人間みたいな気にもなりました。泊まっているマンションの1階で、掃除している黒人のおっちゃんに、初めて誰も知らない土地で、「Hey!」とハイタッチしたんです。その瞬間に何か変わったなと。
一同 (拍手しながら)ええ〜!
生田 いい話!
唯月 映画みたい!
水田 これでいいんだと思った。毎朝ベーグルを買いに行くのも、「ベーグル」じゃないな「bagel」だなと思い、「Can I have a bagel?」と言ってる自分にすごく嬉しくなったなという話でした(笑)。
木村 いい話プラスユーモアもある!
一同 素敵!
木村 まだ僕は多感な時期です(笑)。人生が変わった衝撃的な出会いは、今までやってきた作品の数々です。役を通じて、元々自分が持っていた気持ちが全部ぶっ壊れますし、役を通して学び、作品が終わるごとに、自分の人格が変わっていけている気がしています。自分の考えを素直に言葉に出すこと、誰かに気持ちを届けなければいけない職業ならではの難しさなどを、絶賛吸収しています。逆に、作品ごとに、本来の自分はどこに行っちゃったんだろうと思うようになりました。プライベートをどれだけ木村達成としていられるか、存在価値を見出す作業のためにも、今年の目標は、友達100人作って、よりカラフルに見える世界を見つけていければと思います。
唯月 みんな友達!
生田 友達になろう!
■ワイルドホーンさんの楽曲は高カロリー
――ワイルドホーンさんの楽曲が聴きどころにもなるかと思いますが、これまでに聴いていた時と、実際に歌ってみた印象をお聞かせください。
一同 (口々に)キャッチーだよね。
生田 ちょっとポップス寄りですよね。
唯月 歌うと難しいです。
生田 ふうちゃんは、デスノート(『デスノート THE MUSICAL』)もやってたよね。
唯月 デスノートも難しかったです。聴いているとポップで、ドラムなども体の中で響く感じですが、歌ってみるとすごくビートに引きずられてしまって、なかなか前に出しきれなかったりします。音程の上下などもすごく難しくて。
生田 ずっと上の音を当てる曲もあるし。
唯月 椿ちゃんのソロもそうですが、前に前にメロディーと気持ちを出すのが難しくて、そこがクリアできないなと、いつも思っています。
木村 ハンバーガーみたいな曲だよね。高カロリーというか。
一同 確かに!
小関 作品自体に感情的なシーンが多いんです。苦悩に満ちていたり。曲も感情的なものが多くて、だからこそカロリーが高いみたいな感覚になりますね。
水田 伸ばすの多くない?
一同 多い!
水田 ワイルドホーンさんの「その白玉音符の中でも感情が動くだろう?」というメッセージだと思いますが、そこをどう表現するか、技術的にすごく難しいと思います。
――「彼の曲を歌うと、とにかくお腹が空く」と聞いたのですが、皆さんがステージに立たれるときの力飯、勝負飯があれば教えて下さい。
小関 バナナ。
唯月 おにぎりと豚汁です。
生田 私はステーキ。朝焼くの。
木村 毎公演、朝ステーキ?
生田 うん。
一同 えーーー! すごい!
小関 お腹重くならない?
生田 ならない。食べないと動けないし、本番直前は食べれないから、ちょっと前に食べておくの。
水田 僕はもずくスープです。
一同 優しい!
水田 成城石井で売っているもずくスープ、みんなに差し入れに買っていくね!
一同 やったぁ!
木村 僕はルーティーンがないので、これといって食べるものもないです。というか、ほとんど食べないです。
小関 よく舞台ができるね!
生田 お腹空かない?
木村 空くよ。限界を感じている時のほうが、自分に戻れるというか、我になれる。
一同 カッコいい!
■(小関)クラシックからJ-POPに移り変わっていく体験がミュージカル版ならでは
――皆さんが考える、ミュージカル版ならでは見どころをお聞かせください。
生田 コンクールのシーンで、クラシックの音楽を実際に弾いているところから歌に移行していくのは、楽曲としても面白いし、どんな演出が付くのかすごく気になります。
小関 アニメ化も映画化もされているけれど、舞台は生だから、リアルにコンサートホールにお客様がいるような緊張感や臨場感があるので、一番躍動感があって舞台らしいのかなと思います。
一同 そうだね!
木村 公生が見ているカラフルに色づいて行く景色を、どうやって舞台の照明やセットで表現していくのか、ワクワクしています。視覚から入る何かを早く見たいなと。
唯月 アルバム収録時に、指導の先生のお話を前のめりで聞いている、部活みたいな空気感でした。その熱血な熱量を、お客様にダイレクトにぶつけられるので、本当に学校みたいな熱量を肌で感じられるんじゃないかなと思います。
小関 クラシックからJ-POPに移り変わっていく様がすごく自然なので、その体験がミュージカル版ならではなのかなと。聞き覚えのあるクラシックの曲から、この作品の新曲につながっていくというのは、面白い体験なんじゃないかなと。
生田 ピアノ大変じゃない?
小関 歌いあげて動いたりもするので、ずっと弾いているわけではないですが、これから大変なんだろうなと。
木村 芝居して、歌って、弾いて。
水田 ミュージカルだから踊りもあるでしょう?
木村 踊るの!?
小関 一回、FNS歌謡祭で、机の上で踊りましたね。
唯月 あれ楽しかった。
生田 ふたり(水田と唯月)はスポーツをやらないといけないよね。サッカーとソフトボール。
木村 僕は野球経験者だから教えられる。
生田 ユニフォームがめっちゃ可愛いじゃん!
唯月 自分がレゴブロックみたいなの(笑)!
――生田さんはピアノコンクールで入選されたり、相当なピアノの腕前ですが、今作のコンクールやガラコンサートのシーンに共感するようなことはありますか?
生田 「Perfect」という曲のAメロで描かれている、舞台袖での胸の鼓動や、周りの歓声が聞こえてきたりする緊張感は、すごくリアルにイメージができます。音楽家たちが華やかにパフォーマンスするだけではなく、葛藤や不安など、重なるところはありますね。今回の舞台ではヴァイオリンですが、弾く姿に説得力を持たせられるように頑張ります。
■(木村)「四月が来ると思い出す」来年の春に思い出してもらえる作品に
――この機会に、共演者の方々に言っておきたいことはありますか?
水田 これだけ喋っているけれど、稽古場では結構静かで、割と黙々とひとりで何かやっていることが多いです。
木村 僕がみんなにしてほしいことはあります。多分、闇や影を抱えながら生きていかなきゃいけないから、航生くんと一緒で、稽古場で静かになっちゃうので、できるだけ話しかけてほしいです。
小関 逆にね。開いていいんだ。
木村 闇の部分はひとりで考えるから、みんなと楽しく描いている青春時代がもっと明確に出たいなと。それぞれとの仲の良さが舞台上に出るものなので、仲良くしてください!
一同 ぜひぜひ!
小関 取材撮影の時に、ピースしていいんだって思いました。この作品が持っているテーマが青春だから、カッコつけなくていいんだ、型にハマりすぎなくていいんだと、カジュアルな部分がいい意味で見えたので、よりみんなと一緒に楽しんでいきたいなと思いますね。
唯月 私も椿ちゃんとリンクさせて、積極的にいったりしようと思います。距離感がおかしくなるかもしれないですが、よろしくお願いします。
水田 (顔のすぐ前を示しながら)ここにいても何にも言わないから。
一同 近い!!!
小関 そういうのもアリの稽古場がいいですよね。
生田 普段は気を使ったりすることがあるけれど、みんなが嫌いにならないでくれるなら、普通だったらずうずうしいコミュニケーションでもよろしいでしょうか?
一同 もちろん! いいと思う!
木村 一豪さんが、その方向に引っ張って行ってくれるんじゃない?
一同 そうだよね!
――その演出家の上田さんと一緒に、どんな舞台にしていきたいか、一言ずつお願いします。
水田 2年待ってくださっていたお客様に、このカラフルな青春をお届けできるように、稽古から健康に気を使って、千穐楽まで駆け抜けられるように、頑張っていきたいと思います。
木村 セリフの中にもありますが、「四月が来ると思い出す」という言葉を、来年の春にお客様に思い出してもらえる作品にしていきたいと思います。
一同 素敵!
生田 お客様も一緒に青春を思いっきりしたいですね。今は、いろいろと我慢や制限を強いられていると思いますが、劇場の中だけはカラフルに楽しんで、みんながまた明日を生きよう、進もうと思ってもらえるようなエネルギーを、共有できたらと思います。
唯月 高校生や学生さんの一生懸命さを、私たちも同様に一生懸命に泣いたり怒ったり壁にぶち当たったりして、お客様に何か感じ取ってもらえたら嬉しいです。
小関 公生君は、みんなに「君のピアノが聞きたい」と言われながら、何とかもがいて、かをりちゃんのおかげで前に進むことができます。原作を読んだ時に、無理でもやらなければいけないんだと、背中を押されることも多かったです。この作品が、観にきてくださる方の、前に踏み出す一歩のきっかけになれたら嬉しいです。
取材・文・写真 岩村美佳