「七月大歌舞伎」二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 取材会レポート

一月の歌舞伎座から始まった高麗屋、親子孫の三代襲名披露公演。7月3日(火)から27日(金)まで行われる大阪松竹座での襲名披露公演は、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎が出演。2人が公演に向けて、想いを語った。演目は下記の通り。

昼の部:一、『廓三番叟』 二、『車引』 三、『河内山』 四、『勧進帳』
夜の部:一、『御浜御殿綱豊卿』 二、『口上』 三、『女殺油地獄』

「奇跡に近い」三代同時襲名

このたびの親子三代同時襲名について、「37年ぶりに再び三代揃って襲名披露できることは奇跡に近い」と白鸚は語る。一方、幸四郎は「父自身が奇跡の存在」といい、父が元気で舞台に立ち続けているからこそ、親子三代同時襲名が叶ったことを強調し、また長男の染五郎については、「歌舞伎俳優として生きていく覚悟をもってくれていると、改めて実感」しているといい、その状況を「噛みしめながら自分も舞台に立ち続けたい」と語った。

「昼の部と夜の部ではカラーが違う」
「歌舞伎を知ってもらうのに、とてもいい機会になるだろう」

昼の部では、『廓三番叟』、『車引』、『河内山』、『勧進帳』の四演目。白鸚は『河内山』の河内山宗俊、幸四郎は『勧進帳』の武蔵坊弁慶を演じる。昼の部は「これぞ歌舞伎」というような、歌舞伎を見たことのない人でも、誰もがイメージする歌舞伎を楽しめるという。
『河内山』の河内山宗俊を勤める白鸚は、「世の中、歯切れが悪く、本当か嘘かわからないニュースが多いが、河内山の啖呵でさあっと吹き飛ばしてみせます」と気合十分。「夏のムシムシとした暑さの中でも、気晴らしに松竹座へ来ていただければ」と述べた。
夜の部では『御浜御殿綱豊卿』、『口上』、『女殺油地獄』の三演目。幸四郎は『女殺油地獄』で河内屋与兵衛を演じる。「(夜の部は)ドラマを追っていただけるお芝居」と幸四郎はいい、大阪で『女殺油地獄』を演ることが、自らにとって最終目標であり、「今までのものをすべて出せるようにしっかりと勉強して、七月を乗り切りたい」と語った。続く『口上』について白鸚は、「口上の文句ひとつで、上手い、下手はわかってしまう」と話し、「『口上』も力を入れて、一つの狂言ぐらい楽しんでいただきたいです」と熱い想いを語った。
また、今回は昼の部と夜の部のカラーが異なっていることから、「歌舞伎を知ってもらうのに、とてもいい機会になるだろう」と語り、「その中でご当地の皆様に襲名披露ができることはうれしい」と公演への想いを述べた。

 

本公演は歌舞伎ファンのみならず、歌舞伎をあまり知らない人にとっても、楽しめる演目が目白押し。二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎の奇跡ともいえる親子同時襲名を見ずして、大阪の暑い夏を超えることはできないだろう。
高麗屋の迫力溢れる歌舞伎をどうぞお楽しみください

 

取材・文/ローソンチケット