古典を現代に甦らせる人気シリーズの最新作、現代能楽集Ⅸ『竹取』
ビジュアル公開、演出家・出演者よりコメント

2018.06.18

《小野寺修二 × 小林聡美・貫地谷しほり × ダンサー × 能楽師》実力派ぞろいの出演者により日本最古の物語文学『竹取物語』の再生に挑む!

 

「現代能楽集」シリーズは狂言師である世田谷パブリックシアター芸術監督・野村萬斎が、古典の知恵と洗練を現代に還元し、現在の私たちの舞台創造に活かしていきたいと考え、生まれたシリーズです。第九弾となる今回はフィジカルシアターの旗手、小野寺修二を構成・演出に迎え、日本最古といわれる物語文学『竹取物語』の再生に挑みます。出演には演技派女優の小林聡美・貫地谷しほりのほか、ダンサーや能楽師など各界の実力派が共演。異色のコラボレーションにより立ち上がる新たな『竹取』の世界にご期待ください。

 

【コメント】
≪構成・演出 小野寺修二≫
日本最古の物語といわれる竹取物語。昔絵本で読んだかぐや姫は、やんごとなき美しさとの噂がめぐっていくのを「怪物だと周りにバレたら掌を返すから、気をつけて!」と神経質になって読んだ記憶があります。(実際、急激に成長した不思議な子どもであることは膨らまされずでしたが)子どもの天井知らずの万能感はきっと今も昔も、何の迷いもなく文字通りすくすくと成長し、かぐや姫を育て始めてから翁の元には黄金が竹の中からザクザク出てくるのも何だか説得力を持つ気がします。その子どもの世界がある時トンと天井にぶつかって守られていた境界線がなくなり、女性となったかぐや姫は世間に投げ出され浮標のない状態、ああだこうだ勝手に評され、かぐや姫の五人衆に対するわがままな無理難題も、胸のすくような共感するような、何とも読み切れない孤独感あり。月への帰還を阻止しようと皆が空に向かって無駄に弓矢を射るところが印象深く、その確かにいたのに結局いなくなってしまう、悲しいともハッピーとも違う、言ってみれば中庸さ、そんなことを表出したいと思っています。
今回、小林聡美さんと貫地谷しほりさんというお二人にご出演頂けることになり、最古であり現代でもある何か新しい普遍を見つけられればと思います。

≪小林聡美≫
小野寺さんは優しい顔をして、実は厳しい(笑)。身体を全力で絞り出す様な感覚と集中力と瞬発力が求められます。そこを覚悟して、楽しく稽古に挑めたらと思います。
貫地谷さんとは初めてお会いしましたが、身長が私と全く同じでとても親近感を感じました。芯の強そうな女優さんで、共演がとても楽しみです。他にも能楽師やダンサーなど、共演者に様々なジャンルの方々がいらっしゃるのがこの作品の魅力だと思います。『竹取』がどういう作品になるのかまだ
わからない段階ですが、皆様に驚きと楽しさを感じていただけるよう、頑張りたいと思います。

≪貫地谷しほり≫
元々「かぐや姫」のお話には興味がありましたが、今回小野寺さんが演出されるということで、ただ物語の美しさだけでなく、人間の影の部分みたいなものも描かれるのではないかとさまざまな期待が膨らんでいます。自分自身不安な部分はありますが、フィジカルシアターというか、新しいジャンルに挑戦できる機会ですので楽しみです。小林さんはお芝居から伝わってくる潔さが気持ちよく、ずっとご一緒してみたかったのでとても嬉しいです。今日初めてお会いしましたが、ビジュアルの撮影で一緒に面白いポーズをとってみたり、小野寺さんとのやりとりも和気あいあいとした雰囲気でしたのでこれからの稽古が楽しみです。

 

【プロフィール】
小野寺修二
■おのでら しゅうじ 日本マイム研究所にてマイムを学ぶ。1995年~2006年、パフォーマンスシアター水と油にて活動。2006年、文化庁新進芸術家海外留学制度研修員として渡仏。帰国後、カンパニーデラシネラを設立。マイムの動きをベースとした独自の演出は、親しみやすさとアーティスティックなムーブメントを併せ持ち、幅広い世代から注目されるとともに、ミュージシャンやデザイナーなど異なるジャンルのアーティストからも熱く支持されている。第18回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞受賞。主な演出作品に、『異邦人』(2013年/世田谷パブリックシアター)、『カラマーゾフの兄弟』(2012年/新国立劇場)、『変身』(2014年/静岡県舞台芸術センター)、『あの大鴉、さえも』『ロミオとジュリエット』(以上、2016年/東京芸術劇場)など。「瀬戸内国際芸術祭2013」では、野外劇『人魚姫』を発表するなど、活動の場は劇場内にとどまらない。また、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出『キネマと恋人』、白井晃演出『ペール・ギュント』など、舞台作品の振付やステージングも手掛ける。2015年度文化庁文化交流使。

小林聡美
■こばやし さとみ 東京都出身。1982年『転校生』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。主な出演作に、TV『やっぱり猫が好き』、『すいか』、『2クール』、『コートダジュール N゜10』、映画『かもめ食堂』、『めがね』、『プール』、『紙の月』、『海よりもまだ深く』など多数。著書も多く『ワタシは最高にツイている』、『読まされ図書室』、『ていだん』などエッセイストとしても活躍。主な舞台出演に、『オイル』(野田秀樹演出)、『ハーパー・リーガン』(長塚圭史演出)、『24番地の桜の園』(串田和美演出)など。小野寺修二演出作品へは『あの大鴉、さえも』に続いて2作目。

貫地谷しほり
■かんじや しほり 東京都出身。2004年の映画『スウィングガールズ』で注目を集め、2007年 NHK 連続テレビ小説『ちりとてちん』で主演。2008年 第32回エランドール賞新人賞受賞。2013年 初主演映画『くちづけ』で第56回ブルーリボン賞主演女優賞受賞。
主な作品に、映画『白ゆき姫殺人事件』、『バンクーバーの朝日』、『悼む人』『望郷』、ドラマ『女くどき飯』、『おみやさんSP』、『おんな城主 直虎』、『リピート~運命を変える10か月~』、『ミス・シャーロック』、ナレーション『プロフェッショナル 仕事の流儀』、『アーシストcafé 緑のコトノハ』、舞台『ガラスの仮面』(G2演出)、『もとの黙阿弥』(栗山民也演出)、『ハムレット』(ジョン・ケアード演出)など。

 

撮影:久家靖秀