『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!》 高野 洸×松田昇大×永島龍之介 ロングインタビュー

写真左から、松田昇大、高野 洸、永島龍之介

舞台『ヒプノシスマイク』(通称ヒプステ)の新作公演『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!》が、東京にて9月23日(金・祝)からいよいよスタート。ヒプステ次章の皮切りとなる本作では、オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”とイケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”がラップバトルを繰り広げる。今回は“Buster Bros!!!”より、山田一郎 役の高野 洸と山田二郎 役の松田昇大、そして、山田三郎 役として新たに加わった永島龍之介の3人に、ヒプステにかける熱い想いをたっぷりと語ってもらった。

──今作では、ヒプステ次章として《2nd D.R.B》の時間軸が描かれます。稽古もスタートしていますが、どんな作品になりそうですか?

高野 ストーリーはとても面白いですし、新たなヒプステを届けられると思います。track.1のころから、原作ファンの方々にも驚いていただけるような演出や、ヒプステが求められている形みたいなものがあったと思うのですが、脚本を読んで感じたのは、それをさらに一新するような感じでアプローチしていく作品になるのかなと思いました。演出の(植木)豪さんもこれまでと違ったことを考えてくださっていると思うし、僕らもそれに応えて、舞台上でしっかり新しいものを作っていく気持ちで取り組んでいきたいですね。誰が観ても面白いと思っていただける作品を目指して頑張ります。

松田 《2nd D.R.B》という原作の時間軸に沿ってシーンが描かれるので、まずは単純に、めちゃくちゃ楽しんでもらえるんじゃないかなって。個人的に、原作はもちろん原作の良さがあって、ヒプステはヒプステならではの良さがあると思っているのですが、その2つがちょっと近づくというか、どっちの良さも取り入れたものになるんじゃないかなと思っています。役者としては気合いの入る作品になりそうだな、と。原作ファンの方にもヒプステファンの方にもすごく楽しんでもらえるような作品になればいいなと思っています。

永島 今回から新しい構成に変わったり、これまでのヒプステとは違う、原作により近い内容になったりするということもあって、ここから大きく変わっていくヒプステが観られるのかなというところが個人的にもすごく楽しみです。脚本を読んだ時、原作のヒプマイと同じ時間軸で進んでいて、それを三郎として演じられることがすごく嬉しいし、原作ファンの人たちにも楽しんでもらえる作品になるんじゃないかなって僕は思ってます。

──稽古が始まってまだ序盤ということですが、過去にキャストの方にうかがった話から、ヒプステはかなり早いペースで稽古が進んでいくのかなと思っていますが、いかがですか?

高野 そうですね (笑) 。

松田 けっこう早いです (笑) 。楽曲も多いし、ダンスの振り付けもあるので早いペースで進まないといけないというか。ラップの中で芝居に入ったり、芝居からラップに行ったりもするので、まず、振り付けを覚えるところから始まるんですけど、それを一気にガッとやる感じ。ヒプステは振り入れの速さが尋常じゃないんですよ (笑) 。1回踊って「もういけるよね?」みたいな。誰に合わせた1回なんだ!?って (笑) 。

永島 まだ誰も踊れてない (笑) 。

松田  (笑) 振り入れは本当に早いなって思います。もしかしたら、公演の回数を重ねていくごとにどんどん早くなってるんじゃないかな……。ね?

高野 うん。本当にヒプステはさくさく進むなぁ、ありがたいなぁって (笑) 。僕らは稽古3日目ぐらいですけど、“D.D.B”(ディビジョン・ダンス・バトル)のみなさんは少し前から稽古に入っていて、僕らが(振り付けを)渡される時には、みなさんほとんどできている状態なんですね。渡された後は各々仕上げていくって感じ。今の時点で何曲ぐらいついてるかな……たぶんほとんど入ってるはず。稽古3日目だけど、もうだいぶ見えてきてるなって感じはあります(笑)。

──高野さんと松田さんはこれまで何度も経験していると思うのですが、永島さんは今回初出演のヒプステの稽古で戸惑うことはないですか?

永島 あ……稽古もう終わり? そっか……あとは家で練習してきます、みたいな空気感になることは多々あります(笑)。でも、おふたりが教えてくれるので、すごく助けられてます。それがなかったら多分、僕、忙殺されてます(笑)。

一同笑

──先ほども取材前の少しの合間にダンスの練習をしていたので、普段の様子を少し垣間見られた感じがしました。高野さんと松田さんにお聞きしますが、track.1からこれまでの公演で印象深いエピソードがあれば教えていただけますか?

松田 いろいろありましたね……。ひとつだけじゃないんですけど、やっぱり演出がすごいなって、毎回思います。自分でやっていても思うので、観てくださっているお客さんはもっと感じているんだろうなって。最初にシースクリーンが開いて、キャラクターが一人ずつ出てくるところもそうだし、映像が3Dに見えるヘルメットを着けたり、LEDスーツを着たりとか。印象深いというか、そういう演出あってこそ「ヒプステだな」だなっていうイメージがすごくあるので、そこはヒプステで絶対欠かせないなって思っています。

──演出の面では、他のキャストの方もみなさんと同じようなことをおっしゃっていました。「植木さんの演出は脚本を超えてくる」と

松田 そうですね。それこそ、二郎と三郎の『兄弟喧嘩』は、本番になって映像がついたので、稽古場では最初「(歩く動きとか)何をやらされてるんだろう?」みたいなことはありました (笑) 。実際の映像を観て、「なるほど。こうなってるんだ!」って。映像の技術を使って面白い演出をされるなとは常に感じています。次、高野さんはどうですか?

高野  (笑) 。具体的にこれっていうのがすぐに出てこなかったんですけど、記憶をたどってみたら、やっぱりtrack.1の時は今思うと懐かしくて……カズ(舞台オリジナルディビジョン、アカバネ・ディビジョンの堂庵 和聖)がいて、カズとバラードをやって、メロウなラップもやったなぁって。あと、一番記憶に新しいのがtrack.5ですが、“T.D.D”(The Dirty Dawg)としてリーダーたちが仲良く戦ってた時代があって、最後にディビジョン・ラップバトルに繋がっていくんですけど、僕としてはそれ以来のヒプステになるので、あの時の一郎じゃないんだなって。“T.D.D”の一郎を一回忘れなきゃなって、この質問で、あらためて気付かされました (笑) 。

松田 そういえばそうだね。

高野 声の出し方も、若々しさがあったので、“T.D.D”時代の一郎のほうがより高野 洸に近かったというか。ただ今回は、“どついたれ本舗”と戦う“Buster Bros!!!”の一郎は威厳がないといけないと思うので、今からしっかり仕上げていきます。

──確かに、自分の年齢と演じる役の年齢をどう調整していくかというのは、ご自身が年を重ねていくと難しくなることもあるかもしれないですね。今回の公演で楽しみにしていることはありますか?

高野 そうですね…エモいラップバトルがあります (笑) 。

松田 あそこね! あそこは本当楽しみだね! (笑)

高野 もちろん、ディビジョン・ラップバトルに出場している時も本気のラップバトルなんですけど、各々の魂というか、プライドや誇りをかけた戦いというか。今回はそれが顕著に出るストーリーのような気がしています。「自分の守るべきものを突き通すべき時が来た」という感じで、より深いラップバトルが見られるんじゃないかなって。リリックにも、自分たちがかける想いみたいなものが込められていて、より熱いものが見られると思います。

松田 僕も洸と同じシーンが楽しみですね。あとは、物語だけでなく、ラップだったりお芝居だったり、それぞれがこれまで公演をやってきた上での成長みたいなのが今作で見せられたら嬉しいなっていうのもありますね。

──永島さんは山田 三郎役でヒプステ本公演に初出演となります。おふたりから、どんなアドバイスがありましたか?

永島 すごくたくさん教えてもらっています。「キャラクターに忠実であるべきだけど、その先でヒプステでしか見られない等身大のキャラクターがあってもいいんじゃないか」とか、ラップシーンで「この読み方はこうした方がいいんじゃない?」とか。僕は2.5次元の舞台に出るのが初めてで、分からないことだらけなのでしょっちゅう聞いているんですけど、全部ていねいに教えてくれるのですごく助けてもらっています。分からないことがあれば、自分からすぐに聞きに行くって感じです。

──頼れるお兄ちゃんが二人もいて良かったですね

永島 はい! 頼れるお兄ちゃん二人にいろいろ聞いてますし、稽古場でもずっとくっついてます (笑) 。

松田 たしかに (笑) 。

永島 他の人のところにまだ行けなくて、昇大くんがどこか行く時は「あ、俺も行きます」って (笑) 。

一同笑

永島 本当の弟みたいな感じで過ごしてます (笑) 。

──実際にご兄弟は?

高野 実際、末っ子なんでしょ?

永島 はい。三兄弟の末っ子です。だから、この関係はめちゃくちゃ居心地がいいです (笑) 。昇大くんは一人っ子でしたっけ?

松田 ううん、姉がいる。二人とも三兄弟だっけ?

高野 僕、長男です。だから、僕と龍之介は役と同じポジションなんですよ。

永島 しかも、僕のお兄ちゃん、洸くんと同い年なんです。

──たしか、高野さんと永島さんは福岡出身でしたよね

高野&永島 そうなんですよ。

松田 おいおい! 俺だけさっきから仲間外れじゃん! 会話に入れてくれ! (笑)

一同笑

──“真ん中あるある”な感じになってしまいましたね、すみません (笑) 。では、みなさんへの質問です。“Buster Bros!!!”に対するそれぞれの想いを聞かせていただけますか?

高野 さっきも話したように僕にも兄弟がいて、きっとそれがあるから、“Buster Bros!!!”を演じる一人としてキャラクターに投影できる部分もあると思っています。一郎がどれだけ二郎と三郎を愛しているかは、僕にはまだ計り知れないところもあるんですけど、これからどんどん追及していきたいです。血が繋がっているからこそ、兄弟ならではの絆をもって、“Buster Bros!!!”で勝ちたいという気持ちは誰にも負けないと思っているので、一郎の気持ちと、僕自身の「“Buster Bros!!!”でもっと高みを見たい」、「ラップバトルで勝ちたい」、「ヒプステを成功させたい」という気持ちを全部集結させて、新作に臨みたいなと思います。やっぱり、僕らは唯一の兄弟ですからね。そこは強みだと思ってます。

松田 洸が言ったように、唯一の兄弟だから、この兄弟にしか出せない雰囲気感はあると思います。これまで何公演もやってきたなかで、ラップの掛け合いで、韻を踏むところを3人で歌ったりもしてきて、そういう兄弟ならではの絆、“Buster Bros!!!”でしか出せない色を全面に出していきたいです。音楽としては、“Buster Bros!!!”は王道なラップが多いので、その中で、それぞれのキャラクターをどれだけ出せるか……。二郎だったらどんどん前に出すラップをどれだけできるのかを常に考えているので、今回の公演でもそういうところも見せていきたいです。一郎をリスペクトしてて、三郎とはよく喧嘩もするけど、それでも間に立ってどっちのことも気にかけてる。そんな愛らしい部分が二郎ちゃんにはあると思うので、そういうところがすごく素敵だな、そういうところも出していきたいなと思っています。

永島 僕は、それぞれのディビジョンには三位一体の信念と、キャラクター一人ひとりの信念があると思っていて、“Buster Bros!!!”には、一郎には兄弟愛と強い信念、二郎にも兄弟愛と一郎の信念についていくという意思を感じています。三郎も含め、僕らは“兄弟愛”が見えるのが一番“Buster Bros!!!”としての魅力が出ると思っています。僕ら“Buster Bros!!!”がどれだけ兄弟として繋がっていけるか……みたいなところが一番大事になると思うんです。だから、そこをさらにもっと追及して、お芝居にも“Buster Bros!!!愛”みたいなものを出していきたいし、それを届けられることが一番かなと思っています。

──ちょうど永島さんの話にも出てきたので、“どついたれ本舗”を演じるキャストのみなさんの印象やエピソードも教えていただけますか?

高野 荒牧(慶彦)くんは何度か違う作品で共演していますが、リスペクトする部分が多くて、物事の考え方が好きですね。役者として絶対的な経験もあるし、役に対するアプローチも素晴らしいし。共演経験はあるけど、ここまでガッツリお芝居ができるのは初めてなので、すごく楽しみにしてます。(里中)将道くんは、BoP(『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Battle of Pride-)の時に知ったんですけど、めちゃくちゃ熱い男なんです (笑) 。今回の稽古場では、誰に気を遣っているのか分からないですけど (笑) 、まだ隠してる気がしますね。というか、稽古中はその熱い感じを見せないんですよ。

松田 めちゃ熱いよね (笑) 。稽古では見せないけど、プライベートになるとすごく熱い男なんですよ。友情とか……友だちのことでも泣けるような人だし、お芝居に対しても、ね? 聞いた話によると、関西弁の台詞のことで、まっきーさんにメールを送ってるらしいです。将道ちゃんは大阪出身だから、台詞の正しいイントネーションとか。そういうことをやってると聞いて、すげえなぁと思って。お芝居が本当に好きだよね。

高野 うん、芝居好きっすよね。だから今回、ガッツリ共演できるってことで、めっちゃ楽しみにしてます。

松田 それと、昨日初めて郷本(直也)さんとお会いしたんですけど、めちゃくちゃノリがいいというか。

高野 なんでしょうね、あのトーンというかオーラというか……。人を笑わせてくれる、周りを明るくしてくれる魅力のある方ですね。もとから笑いが絶えない稽古場だけど、今回本当に笑いが絶えないよね (笑) 。

松田 うん。稽古場、かなり盛り上がってます (笑) 。

──全キャストがそろったらもっと楽しくなりそうですね。それでは、本公演に対する意気込みやメッセージをお願いします

松田 じゃあ、龍之介から……。

永島 俺からでいいんですか? (笑)

松田 最後は洸に締めてもらわないと。

永島 そっか。そうですよね! やっぱり、兄弟感みたいなものを、演技中もそうだし、歌ってる時、踊ってる時にも出して、自然な兄弟の関係性っていうのをどれだけ見せられるかが大事になってくると思います。僕は、圧倒的な弟感、年下感を出していけるようにしたいので、そのへんも楽しみにしていただいて、公演を観に来ていただければなと思っています。

松田 今回は山田 二郎としても、松田昇大としても、いろんな姿を見てもらえるかなって。前とはまた違った姿を見てもらえるかなと思っているので、そういう部分をお客さんにしっかり感じてもらえように、これから役と作品に向き合っていきたいと思っています。《2nd D.R.B》ということで、ヒプステの次章のスタートになるので、熱のこもったお芝居とラップができればなと思います。

高野 最初に言ったように、今までと違うアプローチで挑む作品になると思います。一人ひとりがフォーカスされるような物語になっているので、僕としては、より視野を広げて、いろんなものを見ながら、作品全体を考えて作っていきたいなと思っています。隙がないように、ここからもっと詰めていきたいです。今作の《どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!》で、この2つのディビジョンでより高みを目指していければいいなと思っています。

──最後にひとつだけ。ローチケ演劇宣言!のインタビューということで、「ローソン」でお気に入りの商品など、あったりしますか?

高野 昨日ちょうど『メガアイスコーヒー』を飲みました (笑) 。でも、昨日はそんなに暑くもなかったので、Mでもよかったかなって……。メガをちょっと舐めてました (笑) 。あと、「ナチュラルローソン」の商品が好きで、なかでも『ルイボスティー』と『あんこギッフェリ』がめちゃくちゃ好きです (笑) 。

永島 僕、『からあげクン』の柑橘系の味……レモンとかカボスとか。そういうのが出たら、必ず買っちゃいます。あとは、デザートが好きで、ちょっと前にマカロンがあったと思うんですけど、お店で見かけたら必ず買ってました。

高野&松田 かわいい~。

永島 ローソンのマカロン、めっちゃ美味しいんです。マジ、うまいっす (笑) 。最近は見かけないのでもう売ってないのかも。

高野 マカロンうまいのか。

松田 そういうのは早く言ってよ (笑) 。

永島 まだその時、知り合ってなくて (笑) 。

松田 そっか、ごめんな (笑) 。唐揚げと言えば、僕、唐揚げ弁当を買おうとしてレジに行ったんですよ。並んでる時、ホットスナックが目に入って、「『からあげクン』うまそう……」と思って。気づいたら、唐揚げ弁当に『からあげクン』まで買ってた……っていう (笑) 。

永島 唐揚げがめっちゃ好きな人だ (笑) 。

高野 それ唐揚げ10個ぐらいいったんじゃない? (笑)

松田 たぶんね (笑) 。唐揚げばっかりだって、袋に入れてもらった時に気づいた (笑) 。でも、ペロリといきましたね。いつもお世話になってます! (笑)

インタビュー・文/佐藤則子
撮影:篠塚ようこ

【プロフィール】

高野 洸(たかの あきら)●1997年7月22日生まれ

松田昇大(まつだ しょうた)●1996年1月5日生まれ

永島龍之介(ながしま りゅうのすけ)●2001年11月20日生まれ