“あの河原”にいる気持ちを味わってほしい

大阪の男子高校生ふたりが放課後に河原で会話を繰り広げる、此元和津也による漫画『セトウツミ』。「別冊少年チャンピオン」（秋田書店）にて連載され、実写映画化、ドラマ化も人気を博した。舞台化は今回が初。クールでミステリアスなツッコミ担当・内海想を牧島 輝、元サッカー部でやや天然なボケ担当・瀬戸小吉を有澤樟太郎が演じる。ふたりの絶妙な掛け合いと意気込みをお届けする。

――おふたりが「『セトウツミ』をやりたい！」と話していたことが上演のキッカケと伺いました。

牧島　“俳優あるある”だと思うのですが、「どんな役をやりたいか」「ふたりで舞台をやれるなら何がやりたいか」という話をしていた時に、ふたりとも挙げた作品が『セトウツミ』だったんです。まさか実現するとは思わず、驚きました。

有澤　劇場も東京芸術劇場 プレイハウスに始まり、ツアーでも公演できるとは！想像していたよりずっと規模感が大きくて……動揺が止まらないよね？

牧島　じんわり汗をかいています。でも『セトウツミ』には「あの場所だから」という良さがあると思うので、僕らと客席の皆様が同じ空間と時間を共有する舞台でこそ、それがより濃く感じられるのではないかと思います。臨場感が舞台版の魅力になるのではないかなと。

有澤　映画もドラマもめちゃくちゃ面白かったので確立されていると思いますが、輝が言う通り舞台向きの作品だと感じる部分も大きいです。没入感や空気感をお客様と一緒に作れたら。

―― 瀬戸と内海の配役はおふたりのイメージした通りですか？

有澤　互いに「順当にいけばこうだろうね」と言っていた配役です。

牧島　「逆でも面白いかもしれない」とも話していましたが、ビジュアル撮影でカメラ前に立っている樟太郎を見たら「あれ？　瀬戸がいる」と思いました。元々仲が良いので、どうしても本人のイメージが強いんです。親しいからできる部分もあれば、できない部分も出てくるのではないかと思っていたのですが、心配無用でした。

有澤　輝は初めてのメガネキャラなのですが、メガネをかけたらまんま内海！　ふだんの輝からは想像できないインテリジェンスを感じる（笑） 。でも根暗だし、素が生かせるんじゃない？

牧島　内海はモテていたりとイケメンキャラでもあるから、やっぱり僕が内海役だなと思う。

有澤　やかましいわ （笑）

――おふたりが思う原作の魅力は？

牧島　作品の世界に入ったような感覚になれる漫画だと思いました。自分も河原に居るかのような気持ちになれる。樟太郎は「おもちろいとこ」でしょ？

有澤　うん、おもちろいとこです。

牧島　彼からは以上です。

有澤　オイ！ （笑） 自分も関西人ですし高校生活もこんな感じで、共感できる部分が多いです。漫才のような掛け合いをしている二人組もいたな、と思い出したり。あとは……おもちろいとこ。

牧島　（笑） ただ瀬戸と内海は自分たちの掛け合いで笑うってことはあまりないんだよね。駆け引きを楽しんでいる。自分のしゃべっていることに僕らが釣られないようにしなければ！

―― お客様にメッセージをお願いします。

牧島　僕が原作を読んで感じたキャラクターへの愛おしさを皆様にも感じていただけるように、『セトウツミ』を愛しながら丁寧に作っていきたいと思います。劇場で“あの河原”にいるような気持ちをぜひ味わってください。

有澤　作品の舞台は実際に大阪に存在する場所でもあるので、リアリティも出していければと思っています。幅広い方にご覧いただけたら嬉しいです。お待ちしています！

インタビュー＆文・片桐ユウ／Photo・中田智章

※構成／月刊ローチケ編集部　2月15日号より転載

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