舞台『ひらがな男子』稽古場レポート

日本テレビのバラエティ番組「アイキャラ」から誕生した、ひらがなの擬人化キャラクター「ひらがな男子」。
バカリズム、小出祐介(Base Ball Bear)、夢眠ねむ(でんぱ組.inc)の3名が、視聴者の意見を取り入れながら“世界中に愛と笑顔をふりまく2次元キャラクター”として作り出し、ゲームや劇場版アニメなど、様々な展開を見せてきた「ひらがな男子」が、遂に舞台化! 脚本はバカリズム、演出はSUGARBOYの川尻恵太が務める。7/20(金)の初日を目指し、作品に磨きをかける稽古場を取材した。

 

ローチケスタッフが訪れたのは7月上旬。
この日は午後から通し稽古、キャストたちが全員集合していた。

10分後には通しが開始するという時刻だったが、「あ」役の佐奈宏紀と数人のキャストたちはシーン稽古の真っ最中。お互いの芝居を見ながら調整を重ねていた。

時間になると、それぞれが稽古場の席に座り開始を待つ。
演出の川尻が「まだ決まっていないところもあるけど、確認のためにやっていこう」と声を掛けて、通し稽古が始まった。

物語は“文字”が失われてしまった世界。
人々は情報を伝達する手段を失い、混乱に陥っていた。そんな中、各地に散らばったひらがなが人の姿となった「ひらがな男子」たちが、世の中に“文字”を取り戻すべく、仲間を集めて奮闘する――!

まずは子役の春日レイと春日結心が演じる、小さい「ぁ」と「ぃ」が世界観を説明。キュートな振る舞いと、しっかりしたセリフ回しに、見守っていたキャストたちから拍手が送られていた。

仲間探しにやってきた「あ」は、占いの館的なお店を訪れ、高橋健介が演じる「う」と出会う。
お互いの好きな食べ物や趣味を言い合うと、それぞれ見事に「あ」と「う」から始まるモノばかり。そこに武子直輝が演じる「ち」もやってきて、自己紹介でまたしても「ち」から始まる好物を述べていく。

ところどころで「ん?」と思うような趣味や好物があるのだが、ツッコミは不在。シュールなキャラクター設定が可笑しみを醸し出している。

佐奈と高橋のコメディセンスが光る。旧知の仲である役者同士ということもあってか、フラットな関係性が伺えて心地良い。武子は、そんなふたりの緩和剤ともなるキャラクターだが、ポジションをしっかりと確立して物語を先へと進めてくれた。

軽快なやり取りを繰り広げる3人の様子に、他のキャストたちからも笑いがこぼれる。佐奈が演じる「あ」が「う」のモノマネをするシーンや、「ち」の呼びかけによって、とある舞台装置が登場し、「あ」がホンモノであるかを「う」と「ち」が確認するシーンは、稽古場も爆笑の渦。劇場での反応が楽しみになった。

明るい楽曲に乗ったダンスシーンも入る。客席を煽る振り付けに、元気よく応えるキャスト&スタッフたち。お互いの場面から目を離さず、笑顔で応える姿から、カンパニーの温かい雰囲気が感じられた。

物語は、稲垣成弥演じる“おおらかな探検家”の「た」と、星乃勇太演じる“妖狐”の「よ」が出会い、他の仲間探しに旅立つシーン。「あ」たちが後藤大の演じる“のんびりした農民”である「の」を見付けて、仲間になるように呼びかけるシーンへと続く。

困難(?)を乗り越えながら、着々と仲間集めを進めていく「ひらがな男子」たち。

ラストはバトルシーンの連続&驚きの展開となるのだが、そこはぜひ劇場で確認していただきたい。

まだ舞台セットは組み立てられておらず、振付の一部はこれからという段階ではあったが、キャストたちは既にキャラクターも芝居のテンポもバッチリ掴んでいる様子。
時折、演出サイドから「ここで映像が入ります」と声がかかるため、映像が入ったらどのようなステージになるのかと期待が高まった。

1部はお芝居、2部は芝居仕立てのライブショーという2部構成であることも明らかになった。2部のライブではペンライトを使用することができるということで、よりポップに楽しめるステージとなりそうだ。
上演期間中は、お見送りや前説、抽選会などの“おたのしみきかく”も実施される。

7/20(金~7/29(日)まで、東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。
チケットは好評発売中。

 

取材・文/片桐ユウ