8/18(土)~8/26(日)に上演されるKAATキッズ・プログラム2018 「グレーテルとヘンゼル」。演出家ジェルヴェ・ゴドロを招き、有名なグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を下敷きに、姉弟の愛憎と家族の大切さを描いた本作を、オーディションを勝ち抜いた若手ホープの土居志央梨、小日向星一で上演します。
舞台上には、たった15脚の背高のっぽのベビーチェアのみ。2名の俳優が椅子を動かしながら、お母さんのおなかから弟が生まれる瞬間、夜の森、魔女のお菓子の家や、かまど等を表現していきます。観客の想像力をかきたてる、シンプルで洗練された演出の二人芝居です。
この度、本番を約2週間後に控え、稽古場より演出家と出演者2名のコメント、稽古場写真をお届けします。
【演出家・出演者コメント】
≪演出:ジェルヴェ・ゴドロ≫
昨年11月に来日して実施したオーディションで、イメージ通りの“わたしたちのグレーテルとヘンゼル”と出逢えたのは幸運でした。俳優の演技訓練のシステムは、日本と北米では違いますが、日本人俳優には、
その文化的な背景から来る「正確さ」が、演技に表れていると感じています。舞台装置はたった15脚の木の椅子だけですが、まるで日本の「禅」の文化のように、シンプルで無駄がない。私は、空間をメタファーで
表し、観客の想像力を喚起させるような演出手法を用いていますが、「グレーテルとヘンゼル」でも姉弟の人間関係はリアルに描いている反面、空間はすべて椅子を使ったメタファーで表現しています。
ご覧になったみなさまはきっと、これまであまり観たことがない、子どもを子ども扱いしない、インテリジェンスあふれる“ものがたり”の方法を発見していただけると思います。
≪出演:土居志央梨 (姉・グレーテル役)≫
有名な童話を下敷きにして、姉・グレーテルと弟・ヘンゼルの生々しい姉弟の関係性を描いた作品です。
実際に私にも弟がいますが、この台本にはひたすら共感しか憶えないほど(笑)。兄弟喧嘩がここまでリアルに描かれるのは、これまでの子供向け演劇にはなかなかないことで、大人が見てもグッとくる、いろいろな方に共感してもらえる、とても素敵な作品です。
演出のジェルヴェさんは、とても丁寧な演技指導で、私たち俳優から出てきたインスピレーションも大事にしてくれます。演出家の指摘と自分のやりたいことがかみ合った時、とても褒めてくれるので励みになっています。
上演時間も約60分なので、ぜひ夏の想い出に、私たちと一緒に、子ども時代をふりかえって冒険するような気持ちで観にきてください!
≪出演:小日向星一 (弟・ヘンゼル役)≫
最初の1週間の稽古はずっと本読みで、1行1行どのような台詞か、丁寧に演出してもらいました。そのおかげで、立ち稽古に入っても、安心してサクサク進められるので、ジェルヴェさんはすごいなと思いました(笑)。「ヘンゼルとグレーテル」の童話を現代的に再解釈しているので、わかりやすいお話です。でも、決して子供だましではなくて、姉と弟が憎しみあったり愛し合ったり、兄弟っていいなと誰もが共感できる作品だと思います。舞台装置は、たった15脚の椅子だけ。それを自分たちが動かすことによって、森になったり、魔女のお菓子の家になったり、牢屋になったり、想像力が掻き立てられると思います。
観に来てくださったお客様に愛されるようなグレーテルとヘンゼルとを演じられるようになりたいです!
撮影/宮川舞子
【あらすじ】
兄と妹じゃなくて、姉と弟?!
カナダ発・あの有名なグリム童話とはちょっぴり違う舞台!
1歳ちがいの弟・ヘンゼルが産まれたことで、姉・グレーテルのハッピーな毎日は崩れ去ってしまいました。『どうしてみんな「ヘンゼルとグレーテル」っていうのかな。「グレーテルとヘンゼル」じゃなくて。』『弟なんて欲しくなかった。私が欲しかったのは・・・スープ。』と終始ゴキゲンナナメなグレーテル・・・。子どものころに、誰もが経験したことがある家族間の愛と憎しみ、そして大切さを描いた60分の演劇作品です。