コロナ禍により全公演中止となってから約2年――
幻の作品が、新たなキャストを迎え、待望の上演!
この度、2023年11月に東京・PARCO劇場、12月に大阪・森ノ宮ピロティホールにて、PARCO劇場開場50周年シリーズ『月とシネマ2023』の上演が決定しました。
2021年4月、新生PARCO劇場オープニング・シリーズの掉尾を飾る作品として上演を予定していた『月とシネマ』。殺伐とした気持ちを抱きがちな現代だからこそ、“観た人に温かい気持ちになってほしい”、”日々の暮らしに小さなエールを送れたら”、との想いを込めて創り上げた作品でしたが、コロナ禍で、あとは上演するのみという状態まで仕上げたところで全公演が中止に。残念ながらお客様にお届けすることはかないませんでした。
しかし、どうしてもお客様にこのハートウォーミングな舞台を観ていただきたい!という、作・演出のG2と中井貴一をはじめとするキャスト陣の熱い想いが実り、今秋、バージョンアップした『月とシネマ2023』の上演が決定いたしました!
とある町にある映画館を舞台に繰り広げられる、ハートフル・コメディ。
作・演出は、1995年より演劇ユニット「G2プロデュース」を主宰し、2013年の解散まで80本以上の作品に劇作家、演出家、プロデューサーとして関わってきたG2。出演は、父の死をきっかけに、さびれてしまった実家の映画館を存続させるため悩み、奮闘してゆく映画プロデューサー・並木憲次役に、1981年にデビューして以来ドラマ、映画、声優とジャンルを問わず活躍し数々の賞を受賞、舞台にも意欲的に取り組み各方面から高い評価を集め続ける中井貴一。映画会社の宣伝部の若手社員で、映画マニアでもある小暮涼太役には、2021年になにわ男子のメンバーとしてCDデビュー、バラエティ番組やドラマでも存在感を発揮する藤原丈一郎。今回がデビュー後初の舞台出演となります。そして、並木の元妻でフリーライターの高山万智子役は、2015年に第17回台北映画祭最優秀主演女優賞を受賞するなど国内外でその確かな演技力が評価され、チャーミングな役や芯の強い役など幅広い役柄を演じ分ける永作博美が務めます。小さな町の、古くも素敵な映画館を舞台に、個性的で一生懸命な登場人物たちが繰り広げる、想いと笑いが溢れる映画愛をめぐる物語。
満を持してお贈りする『月とシネマ2023』に、どうぞご期待ください!
コメント
◆作・演出:G2
前回、上演中止になった際、中井貴一さんに「これは、きっと演劇の神さまが『まだ早い、この作品はもっと練り上げてから観客に見せなさい』と仰しゃっているんだよ」と慰めて頂きましたが、それは即ち、叱咤激励でもあり、2023年「月とシネマ」は大きくバージョン・アップすることになりました。尊敬する貴一さん、大人になったであろう丈一郎くん、そして20年ぶりの永作さんとの嬉しい再会。やっと皆さんにお見せできるという嬉しさの前に、まずは稽古が楽しみでなりません。
◆中井貴一
一ヶ月稽古を積み重ね、衣裳をつけてのゲネプロ終了後での中止でしたので、戸惑い、この作品はここで終われと言う運命なのかなーなどとも考えました。が、演劇にかかわらず、我々のエンターテイメントの世界に於いて、最も必要なものは、それを楽しんでくださるお客様あってこそと、その事も、強く思い知らされる瞬間でもあり、今回の演目をやらせて頂くことになりました。演出のG2さんとともに、誰にも観ていただいていない前作ではありますが、それを上回る面白い作品に出来るよう努力をして参ります。是非、劇場にお越しください。
◆藤原丈一郎
2021年の「月とシネマ」は中止になってしまったので、まずは、お客様にお見せできることが嬉しいです。前回、G2さんには約1か月みっちり稽古をしていただきました。そこから2年ぶりにまたご一緒できるので、この2年間で成長した姿を見せられればと思います。大先輩であり、大尊敬している中井貴一さんとまたセリフの掛け合いができることはとても嬉しいことなので、11月・12月の本番へ向けて一緒に素敵な作品を作り上げたいなと思っています。僕自身も皆様に披露できなくて悔しい部分もありましたが、そのぶんパワーアップしたものをお見せできるように頑張りますので、劇場でお待ちしています。
◆永作博美
PARCO劇場は久しぶりで、新しくなってからは初めてなので、すごく楽しみです。G2さんとは20年ぶりにご一緒するので、どういった演出をされるのか、どういった言葉で伝えてくださるのか楽しみですし、私もG2さんにどう応えられるか楽しみにしています。中井(貴一)さんとは30年くらいぶりの共演になります。当時はまだ芝居の“間”というものがわかっていないころだったので、中井さんのお芝居を見て「間というのはこういうことなのか」と勉強させていただいたことを覚えています。今回も、いろいろ盗みたいと思います!「月とシネマ」は、G2さんらしい、優しくて、人と人とのつながりを描いた、人情味あふれる大人の皆様に納得していただける作品になると思いますので、ぜひ劇場に観にいらしてください。
[ストーリー]
とある町にある映画館「ムーンシネマ」は、映画プロデューサー・並木憲次(中井貴一)の父である館長が亡くなったことにより閉館の危機。同じ映画関係の仕事だが、30年以上父子の交流は全くない絶縁状態だった。映画プロデューサーとはいえ、経営のノウハウがない彼は映画館を売ろうと地元の不動産屋・佐々木に見積もりに来てもらうも、映画会社宣伝部の 若手社員・小暮涼太(藤原丈一郎)や「ムーンシネマ」のボランティアスタッフで、市の「まちづくり推進課」職員でもある 朝倉瑞帆、映写技師の黒川庄三(愛称:ロクさん)らから猛反対を受けてしまう。そこへ並木の元妻でフリーライターの 高山万智子(永作博美)が現れ、映画館の相続権が瑞帆にあることを知らされるが—。